<本日も2話連続アップです~。シリアス入ります>
僕はグレート井上くんと会うのが憂鬱でした。
仲違いになっているから、ではなく、井上家の家族と会いたくなかったのです。
優等生のご家族というのは、諸問題の根源をとかく「交友関係」のせいにしたがります。
しかもそれは否定しきれないところもあるわけで。
グレート井上家。
心なしか、サチコの出迎え方も違います。
いえ。いつも唸るのですが、唸り方に敵意がある、というか。
「サチコ。かんべんしてくれよ」。
台詞だけ聴くと、愛人に「わたし産むわよ!」を迫られている浮気夫ですが、
実態は犬にあやまってる高校生。
どっちにせよ情けない。
玄関先で出迎えたのはグレート母さんでした。
「うちの息子が停学なんてねぇ・・・」。
やはり落ち込んでいます。
「あなたは・・・何度停学でしたっけ?」
「えっと。登校禁止も含めると・・6回・・ですかね?」
するとグレート母さん。
突然元気になって
「ええええ?6回ぃ~~~?3年で6回も~~~~?」
「え?ご存知でしたでしょ?」
「3年で6回~~~~~~~~」
めちゃくちゃウケてる・・・。
「だからご存知でしたでしょ?」
/_ /_ /_
聴いてないし・・・。
ようは比較対象として、より低いやつがいると安心するわけですね?優等生一家としては。
「何しに来た?」
それがグレート井上くんの第一声。
覚悟はしていましたが堪えます。
が、グレート母さんが、
「そんなこと言っちゃ失礼でしょ?停学6回のベテランさんにむかって!」
いや・・・お母さん・・・。
しかしグレート母さんのおかげで部屋にあがることができました。
中学時代からずっと来ていた井上くんの部屋。
今日は少しモノクロームです。
「井上。すまな・・・」。
僕がそう言おうとするより早く、井上くんが言いました。
「美奈子さん。ゼミをやめたぞ?」
「え・・・」。
そんなところにまで影響が?
「そっか・・・」。
グレート井上くんの怒りの根源がわかりました。
これはもう、僕と井上がどうこう言ってる問題じゃなくなってる。
僕は
「あのな。井上。信じるかどうかはお前の勝手なんだが・・・」。
こう前置きして、子細を話し始めました。
グレート井上くんは、ひととおり聞き終わるとしばらく黙っていましたが、
いくつかは思い当たるふしがあったらしく
「それって。ホントなのか?」
「ああ。僕がお前にウソをついたことがあるか?」
「あるっ!」
う・・・。
なんの迷いもなく・・・。
普段嘘つきだとこういう時に困ります(わかりましたか?みなさん)。
しかしショックと怒りは隠せないらしく
「柳か・・・ひっかかってはいたんだ」。
ひとりごとのように言いました。
「すまなかった」。
極めて短く謝ると
「夕子!夕子いるか?」
となりの部屋の夕子ちゃんを呼びました。
「なぁに?お兄ちゃん・・・」。
僕が来ていることをすでに察していたのか、気まずそうにドアのところに立つ夕子ちゃん。
「夕子ちゃん。こんちは」。
「こんにちは・・・。いらっしゃい・・・」。
「夕子。聴きたいことがある」。
「なぁに?」
「お前らのクラスでノート盗難事件ってあったろ?」
「あ・・・・うん・・・・あった・・・」
「その時。お前はなにも盗られなかったのか?」
「・・・・・」。
夕子ちゃんは少し黙りましたが、井上くんにはウソはつけないと思ったのか
観念したように
「盗られた・・・。白い本」。
<白い本=当時大流行したなにも書かれていない全ページ白紙の本。学校の卒業祝などにも使われた>

<二見書房『白い本』は、こちらで無料ダウンロードできます(大ウソ)>
「それって。なに書いてたんだ?」
夕子ちゃんは、
「・・・・日記・・・」。
とだけ、ポツリと言いました。
「日記?お前、日記盗られて黙ってたのか?」
「・・・・」。
「だいたいなんだって日記を学校になんか持っていったんだ?」
夕子ちゃんは、なにかを必死にこらえていたようでしたが、チラリと僕の顔を横目で見たかと思うと、
そのまま泣き出してしまいました・・・。
「いや。夕子。僕は責めてるわけじゃないんだ」。
しかし夕子ちゃんの肩のふるえはとまらず、
「ん。もういいよ」。
グレート井上くんは、肩をやさしくたたくと、夕子ちゃんを部屋へと帰しました。
僕はこの兄妹のやりとりを、黙って見守るしかありませんでしたが
「ごめん。なんか・・・悪いことした」。
「いや。日記を盗むなんて許せない!」
井上くんは怒りが治まらないようでした。
この調子だと、停学が解けたとたんに殴り込むのは必至。
「井上。怒りはもっともだが、少し僕にまかせてくれないか?」
「あ?なんか作戦あるのか?」
「うん。まぁね。棋士の第一条件ってわかる?」
「棋士?将棋の?」
「ああ」。
「さぁ。読み、かなぁ」。
「ちがう。”負けず嫌い”なことだよ」。
柳の「盗聴器事件」への報復は速攻でした。それだけ焦っているのでしょう。
その日の夜には、森田くんから電話がきました。
普段冷静な森田くんらしからぬ慌てふためきよう。
「やばいんだ」。
「なにが?落ち着けよ。森田」。
「これが落ち着いてられるか!恵美に、恵美に手紙が届いたんだ」。
「恵美ちゃんに?誰から?」
森田くんは一瞬口ごもりましたが
「右京だ」。
14章-第36話へ→
▲14章-目次へ
僕はグレート井上くんと会うのが憂鬱でした。
仲違いになっているから、ではなく、井上家の家族と会いたくなかったのです。
優等生のご家族というのは、諸問題の根源をとかく「交友関係」のせいにしたがります。
しかもそれは否定しきれないところもあるわけで。
グレート井上家。
心なしか、サチコの出迎え方も違います。
いえ。いつも唸るのですが、唸り方に敵意がある、というか。
「サチコ。かんべんしてくれよ」。
台詞だけ聴くと、愛人に「わたし産むわよ!」を迫られている浮気夫ですが、
実態は犬にあやまってる高校生。
どっちにせよ情けない。
玄関先で出迎えたのはグレート母さんでした。
「うちの息子が停学なんてねぇ・・・」。
やはり落ち込んでいます。
「あなたは・・・何度停学でしたっけ?」
「えっと。登校禁止も含めると・・6回・・ですかね?」
するとグレート母さん。
突然元気になって
「ええええ?6回ぃ~~~?3年で6回も~~~~?」
「え?ご存知でしたでしょ?」
「3年で6回~~~~~~~~」
めちゃくちゃウケてる・・・。
「だからご存知でしたでしょ?」
/_ /_ /_
聴いてないし・・・。
ようは比較対象として、より低いやつがいると安心するわけですね?優等生一家としては。
「何しに来た?」
それがグレート井上くんの第一声。
覚悟はしていましたが堪えます。
が、グレート母さんが、
「そんなこと言っちゃ失礼でしょ?停学6回のベテランさんにむかって!」
いや・・・お母さん・・・。
しかしグレート母さんのおかげで部屋にあがることができました。
中学時代からずっと来ていた井上くんの部屋。
今日は少しモノクロームです。
「井上。すまな・・・」。
僕がそう言おうとするより早く、井上くんが言いました。
「美奈子さん。ゼミをやめたぞ?」
「え・・・」。
そんなところにまで影響が?
「そっか・・・」。
グレート井上くんの怒りの根源がわかりました。
これはもう、僕と井上がどうこう言ってる問題じゃなくなってる。
僕は
「あのな。井上。信じるかどうかはお前の勝手なんだが・・・」。
こう前置きして、子細を話し始めました。
グレート井上くんは、ひととおり聞き終わるとしばらく黙っていましたが、
いくつかは思い当たるふしがあったらしく
「それって。ホントなのか?」
「ああ。僕がお前にウソをついたことがあるか?」
「あるっ!」
う・・・。
なんの迷いもなく・・・。
普段嘘つきだとこういう時に困ります(わかりましたか?みなさん)。
しかしショックと怒りは隠せないらしく
「柳か・・・ひっかかってはいたんだ」。
ひとりごとのように言いました。
「すまなかった」。
極めて短く謝ると
「夕子!夕子いるか?」
となりの部屋の夕子ちゃんを呼びました。
「なぁに?お兄ちゃん・・・」。
僕が来ていることをすでに察していたのか、気まずそうにドアのところに立つ夕子ちゃん。
「夕子ちゃん。こんちは」。
「こんにちは・・・。いらっしゃい・・・」。
「夕子。聴きたいことがある」。
「なぁに?」
「お前らのクラスでノート盗難事件ってあったろ?」
「あ・・・・うん・・・・あった・・・」
「その時。お前はなにも盗られなかったのか?」
「・・・・・」。
夕子ちゃんは少し黙りましたが、井上くんにはウソはつけないと思ったのか
観念したように
「盗られた・・・。白い本」。
<白い本=当時大流行したなにも書かれていない全ページ白紙の本。学校の卒業祝などにも使われた>

<二見書房『白い本』は、こちらで無料ダウンロードできます(大ウソ)>
「それって。なに書いてたんだ?」
夕子ちゃんは、
「・・・・日記・・・」。
とだけ、ポツリと言いました。
「日記?お前、日記盗られて黙ってたのか?」
「・・・・」。
「だいたいなんだって日記を学校になんか持っていったんだ?」
夕子ちゃんは、なにかを必死にこらえていたようでしたが、チラリと僕の顔を横目で見たかと思うと、
そのまま泣き出してしまいました・・・。
「いや。夕子。僕は責めてるわけじゃないんだ」。
しかし夕子ちゃんの肩のふるえはとまらず、
「ん。もういいよ」。
グレート井上くんは、肩をやさしくたたくと、夕子ちゃんを部屋へと帰しました。
僕はこの兄妹のやりとりを、黙って見守るしかありませんでしたが
「ごめん。なんか・・・悪いことした」。
「いや。日記を盗むなんて許せない!」
井上くんは怒りが治まらないようでした。
この調子だと、停学が解けたとたんに殴り込むのは必至。
「井上。怒りはもっともだが、少し僕にまかせてくれないか?」
「あ?なんか作戦あるのか?」
「うん。まぁね。棋士の第一条件ってわかる?」
「棋士?将棋の?」
「ああ」。
「さぁ。読み、かなぁ」。
「ちがう。”負けず嫌い”なことだよ」。
柳の「盗聴器事件」への報復は速攻でした。それだけ焦っているのでしょう。
その日の夜には、森田くんから電話がきました。
普段冷静な森田くんらしからぬ慌てふためきよう。
「やばいんだ」。
「なにが?落ち着けよ。森田」。
「これが落ち着いてられるか!恵美に、恵美に手紙が届いたんだ」。
「恵美ちゃんに?誰から?」
森田くんは一瞬口ごもりましたが
「右京だ」。
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- 14章-第37話 花と蝶(1)
- 14章-第36話 奪われたダイアリー(7)
- 14章-第35話 奪われたダイアリー(6)
久々です。
お誕生日おめでとうございます!!
ここ数日はぼくちゅうはじまってなんかきりきりとつらい展開で、早くどんでん返しにならないかと毎日思いながら拝見しております。
なのに案外やられてる期間長い。
森田おじいさんとの将棋を思い出させるような
展開になってますね~。
続きが待ち遠しいです。
右京?あのあ○・・・?
もう登場しなくてもいいのにぃ!!
でも、何となく恨みを抱いてる人間って・・感じはあったけど。
恵美ちゃん・・・だいじょぶかなぁ?
最近ドキドキの毎日でしたが゛やっとスッキリ!?
このままグレート君との
共同宣戦!で柳撃沈!って事には…ならないようですね…。なんで右京? 寝れない…
グレート家は全員沸点がひくいんですねw
しかしオールスターですねぇ
柳はどこまでつながっているんでしょ?
実は交友関係が広いとか?
1年ぶり?位に米書いてます。
右京からの手紙かぁ・・・。
やっぱり本物?
お誕生日おめでとうございます!
やっぱり出てきましたね右京さん!
ザビエル…だったかな。
グレート井上君と夕子ちゃんのやり取りって実はそんなにないですよね
いつにも増して彼がお兄ちゃんなんだなぁ、と感じました。
ママチャリ軍団頑張って…!!
あ・・・。
なんか展開からして出てくるかも とは思ってたけど出てきますか。カッパ野郎。
おとなしくきゅうりでも食ってりゃいいものを。
とりあえず柳くん。
お前、ベルリン生まれのシティ派の熊に、食い殺されるの決定な。
よかったぁ
仲直りしてくれてよかったです(涙p+3+`q)
安心したぁ♪
グレート家ステキだなぁ
さちこに敵意もたれたら怖い
柳のやつは、右京まで焚きつけたんですか!?
こりゃ、先輩を追い越してみたいとかのカワイイ問題じゃ無くなってきましたね。
ん~~~、取り敢えず、お誕生日おめでとうございます。
いつもお世話になってっます。
よいお歳をお過ごしください。
う~~~ん
次が 次が気になって益々ねむれないぃ~
やっぱり睡眠泥棒ですね(笑)
停学のベテランw
沸点が低いのは親もなのか!w
日記…
記録に残って居るのは、
それでしたか・・・・
にしても、
日記を盗むとは…最低な…
孔明のライバル、柳仲達は右京の名前まで出してきましたか…
これはいたずらで済まない禁断をついて来ましたね
禁断に手を出したアダムとイヴは…
ママパパという名の神に懲らしめられることを期待
ありゃ、ザビエルが出てきましたか。
何はともあれ、井上君とは仲直りできそうで、良かったですね。
さぁ、黒い孔明の逆襲、続きに行きます。
っとその前に、
くろわっさん、お誕生日おめでとうございます
柳って右京ともつながってたの?
井上君とは仲直りできたかなー…………?
まかせたからできたよね!
でも井上家☆おもしろい!
Happy birthday!
おめでとうございます!
今年になって読み始めたので知りませんでした。
おはようございます!
井上君の誤解がとけて良かったぁ~♪
、、、、夕子ちゃん、、可哀想。。。
やり方が汚い敵をやっつけてね!ママチャリくん!!
あ~あ…
オイタが過ぎますねぇ、柳クンとやら(´・ω・`)
既に超えてるその限度。
ママチャリくん、なんとかしなきゃでつな(´・ω・`)
ママパパ軍団が反撃に出たら、柳なんて敵じゃない!
右京からの手紙もちょっと嘘っぽいです!
ママパパ軍団の頭脳冷静派 井上君がついに復活するわけですね!
これに、ママパパ・西条・孝明の変態トリオ、チャーリー率いるのっぽさん部隊が来れば、鬼に金棒って奴だね
良かった良かった(^-^)
右京、また懲りずに!!
でも、井上くんの誤解が解けて良かったね!
井上母さん単純??でも、太助船には違いない。
よかったお~
グレート井上くんと仲直りだお~!!
夕子ちゃんはかわいそう。
さあ、グレート井上くんが戻ってきてくれたところで、
反撃開始!!
森田くん、恵美ちゃん・・・。
みんなを傷つけて・・・
柳くん、許せないんだお!!
やっぱり・・
なんとなく右京の
気配してましたね~
なつかし!!!
夕子ちゃん、傷ついてるだろうな。
デタリッピぃ~、なぐさめてあげてね。
グレートママさん、
停学ベテランだと扱いが違ってくるのか・・・。
井上君と仲直りできてよかった。
やっぱ、柳君ごときには崩せませんな。
みんなの絆は。
棋士の第一条件・・・、
森田君のおじいちゃん、役に立ってるじゃん。
あのヒトが一番、負けず嫌い・・・。
え、今度は森田君?
右京って・・・でも・・・。
えっ?ママパパくんってばもう愛人がいるんですかぁ~?
そりゃ、へらず口の嘘つきなんですが、そんなに浮気もんだとは・・・・。
夕子ちゃんもたいへんな奴を好きになったんですね。
>琳吉さん 初級長
一番載り認定~~
+30点
>なのに案外やられてる期間長い。
これでもはしょってるんです。
▼---------
>yoshiさん 副級長
2番載り認定~
>森田おじいさんとの将棋を思い出させるような
展開になってますね~。
するどいっ!
森田爺の言葉が役に立ってますね!!
でもなぜ右京・・・?
ぬぁ~にぃぃwww?
右京から手紙来たwwww??
ちょっと、ちょっと~。 気になるじゃないですか~って事で、次っ!!
女の子の日記盗むなんて…。
許すまじですね。
「負けず嫌い」かあ^^*
うん。いいね!
ってそこでうなずいてる場合ではない~!!
右京からってやっぱり!!
井上くんと仲直りできてよかったぁ~!
次は恵美ちゃんがピンチ…!?
あ、くろわっさん、お誕生日おめでとーございますっ!!
井上くんと仲直りできたみたいで
良かったけど、今度は『右京』からの手紙ですか。
次から次へと・・・・(ーー;)
そして、くろわさっさん
お誕生日だったのですね(^^;
遅くなりましたが、おめでとうございます