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第15話 サイジョーの約束(3)
僕たちは、日替わりで、入れ替わり立ち替わり西条くんのお見舞いに訪れていましたが、かんじんのグレート井上くんが西条くんを訪ねたのは、入院からしばらくたってのことでした。
グレート井上くんの家は、とにかく厳格なので、責任が誰にあるにせよ事件に巻き込まれたことで、しばらく外出を許可されなかったのです。
が、ようやく外出許可もおり、今日は親友村山くんと僕をつれだっての見舞でした。
「西条。遅くなってすまなかったな。これお見舞い。つまらないものだけど・・・・」
それは豪華な果物の盛り合わせでした。
僕と孝昭くんの「豚バラ」に比べたら「つまらない」に格差があります。なにしろ、当時はまだ「バナナ」がご馳走の時代でしたから。
「気い使うなよ。井上~」
と、パイナップルをなでる西条くん。メチャメチャうれしそうです。
「あとで妹も来ると思うんだ」
「え!夕子ちゃんが!?」
さらにメチャメチャうれしそうです。
「そ、それもつまらないもの、とか言っておいてくのか?」
「おいてくかっ!」
そこへ、西条くんの担当の看護婦さんが、包帯を交換に来ました。
どうしてコイツが、そういう運を持ち合わせているのかわかりませんが、この看護婦さんも本当に奇麗な人でした。
西条くんが、こんな美人にヘラヘラしないわけはないのであって、
「か、看護婦さんっ!く、果物食べませんか?つまらんものですけど」
グレート井上くん。
「つまらん、って、それ僕が持って来た見舞いだろ?」
「え!だってつまらんものって言ったろ?」
「お前が言うな!バカ」
手際よく作業をしながら看護婦さん、
「勤務中に食べられるわけないでしょ? それにしても、お友達多いわね。西条くん」
「ええ。まぁ。日頃の行いと言いますか。これだけ弔問客多いと逆に気づかれしますわ。アッハッハ」
弔問客・・・死んでるのか?お前。
「なに言ってるの!感謝しなさい。はい終わり!」
最後に包帯の腕をポンッと叩きました。
「イ、イテテテ・・・」
「そう言えば、今日はミカちゃん、来てないのね?」
ミカちゃん?
お、女?
僕とグレート井上くん、村山くんは、互いに顔を見合わせました。
いや。ある意味西条くんは、とても女っけの多い人物ですが、それは全て西条くんからの一方的なものか、妄想の賜物であって、実在の女性の名が上がるようなことはまずなかったのです。
「ミカって・・・」「・・・誰?」
思わず声を合わせる僕たちに
「うーん。西条くんの恋人。よね?」と、看護婦さん。
「こいび・・・・・・そ、そうとも言うかな?」
「なにかの間違いでしょう?看護婦さん」
「もう、毎日会いにくるんだから!とっても献身的なのよ? すっごい可愛いんだから!」
ウフフ。と含み笑いの看護婦さん。
「はぁ・・・。そうなん・・・ですか」
ありえない・・・・。
この日は、実際「弔問客」の多い日でした。
ジェミーも訪ねて来ましたし、駐在さんも再び訪れました。
もっとも、駐在さんは、事件の後処理もあってのことなのですが。
この日、駐在さんは制服でした。
そして。その日のうちに、僕たちは西条くんの「謎の恋人」を知ることになりました。
「サイジョー!」
突如、飛び込むようにして女の子が入って来ました。歳の頃なら、6、7歳といったところでしょうか。
確かにこれはカワイイわ!
夕子ちゃんの小さい頃を彷彿させます。
「サイジョー!あ、あれ?またおきゃくさん?」
「ミカ。だから呼び捨てするなって言ってるだろ?」
「このヒト、おまわりさん?サイジョー、ともだちなの?」
駐在さんを指差す小さな恋人、ミカちゃん。
「んー。この人は友達じゃなくって、カ・タ・キ。とっても怖い人なんだよ」
幼子になにを教えている?
「サイジョーをいじめるの?」
「そうそう。とっってもいじめるの」
「おいおい」と、苦笑する駐在さん。
「サイジョー、いいヤツなんだから、いじめちゃだめだお!」
うわぁ〜。日本語がおぼつかないところが可愛い!
「はいはい」と駐在さん。
「ミカ、リンゴあげるから、あっちいっててね。俺、このオジさんたちと話しなくちゃいけないから」
「ウン!ミカ、わかった!」
トットコトットコ部屋を出て行くミカちゃん。
「サイジョー!後であそぼーね♪」
「西条、お前・・・いくらモテないからって、あんな幼子にまで手を出したのか?」
駐在さん。
「バ、バカ言わないでくださいよ!」
どもる西条くん。
「お前。あの年齢だと犯罪だからな。逮捕しなくちゃならん」
「え!そ、そうなんですか?」
なぜ、そこでビビる?
「そりゃそうだ。あんな、まだ赤ん坊に毛が生えた程度の女の子だぞ」
「え?」
「どうした?」
「おまわりさん、なんにも知らないんだなぁ」
「なにが?」
「いくらなんでもまだ生えてないと思いますよ。12、3歳じゃないですか?生えてくるのって。普通」
「ば、馬鹿ヤロウ!”毛が生える”は、そういうストレートな意味じゃないんだよ!」
西条・・・・。
「ミカちゃん」は、ここに入院しているわけではなく、入院している弟の看護をしているお母さんについてきているのだそうです。
この弟が、かなりの重病らしく、お母さんは、ほぼつきっきりであるため、ミカちゃんも病院が遊び場のようになっていて、看護婦さんや先生、入院患者にもすっかりおなじみの存在になっているのでした。
この子が、西条くんにどうしてなついたのかはよくわかりませんが、(3章でもふれたように)彼は「対子供」については、天才的な才能があるようでした。
やがて駐在さんは、事後のことを伝えると、勤務へともどり、入れ替わるように、お待ちかねの夕子ちゃん訪問。
「西条先輩、大丈夫でした?」
「うーん。大丈夫なら入院していないかも」
西条くん。めずらしく正論です。
「わたし、心配したんですから」
「ほ、ほんと?じゃぁ次は浴衣で来てくれる?」
どういう脈略でしょう?
ところが、ここへ先ほどのミカちゃん再び登場!
「あら!」
驚く夕子ちゃん。
「あれ?サイジョー、このお姉ちゃんだぁれ?サイジョーのコイビト?」
「うーん、そういう言い方もあるかな?」
ないない。絶対ない。
「このお姉ちゃんは、サイジョーくんとはまったく無関係だからね。安心していいよ」
全面否定の兄。
「そっか!コイビトじゃないんだ!でもおネエちゃん、カワイイね。おにんぎょさんみたい」
「あら。ありがとう」
まんざらでもない夕子ちゃん。
「ところでさぁー、ミカ」
西条くん。
「まだ生えてないよねぇ?」
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僕たちは、日替わりで、入れ替わり立ち替わり西条くんのお見舞いに訪れていましたが、かんじんのグレート井上くんが西条くんを訪ねたのは、入院からしばらくたってのことでした。
グレート井上くんの家は、とにかく厳格なので、責任が誰にあるにせよ事件に巻き込まれたことで、しばらく外出を許可されなかったのです。
が、ようやく外出許可もおり、今日は親友村山くんと僕をつれだっての見舞でした。
「西条。遅くなってすまなかったな。これお見舞い。つまらないものだけど・・・・」
それは豪華な果物の盛り合わせでした。
僕と孝昭くんの「豚バラ」に比べたら「つまらない」に格差があります。なにしろ、当時はまだ「バナナ」がご馳走の時代でしたから。
「気い使うなよ。井上~」
と、パイナップルをなでる西条くん。メチャメチャうれしそうです。
「あとで妹も来ると思うんだ」
「え!夕子ちゃんが!?」
さらにメチャメチャうれしそうです。
「そ、それもつまらないもの、とか言っておいてくのか?」
「おいてくかっ!」
そこへ、西条くんの担当の看護婦さんが、包帯を交換に来ました。
どうしてコイツが、そういう運を持ち合わせているのかわかりませんが、この看護婦さんも本当に奇麗な人でした。
西条くんが、こんな美人にヘラヘラしないわけはないのであって、
「か、看護婦さんっ!く、果物食べませんか?つまらんものですけど」
グレート井上くん。
「つまらん、って、それ僕が持って来た見舞いだろ?」
「え!だってつまらんものって言ったろ?」
「お前が言うな!バカ」
手際よく作業をしながら看護婦さん、
「勤務中に食べられるわけないでしょ? それにしても、お友達多いわね。西条くん」
「ええ。まぁ。日頃の行いと言いますか。これだけ弔問客多いと逆に気づかれしますわ。アッハッハ」
弔問客・・・死んでるのか?お前。
「なに言ってるの!感謝しなさい。はい終わり!」
最後に包帯の腕をポンッと叩きました。
「イ、イテテテ・・・」
「そう言えば、今日はミカちゃん、来てないのね?」
ミカちゃん?
お、女?
僕とグレート井上くん、村山くんは、互いに顔を見合わせました。
いや。ある意味西条くんは、とても女っけの多い人物ですが、それは全て西条くんからの一方的なものか、妄想の賜物であって、実在の女性の名が上がるようなことはまずなかったのです。
「ミカって・・・」「・・・誰?」
思わず声を合わせる僕たちに
「うーん。西条くんの恋人。よね?」と、看護婦さん。
「こいび・・・・・・そ、そうとも言うかな?」
「なにかの間違いでしょう?看護婦さん」
「もう、毎日会いにくるんだから!とっても献身的なのよ? すっごい可愛いんだから!」
ウフフ。と含み笑いの看護婦さん。
「はぁ・・・。そうなん・・・ですか」
ありえない・・・・。
この日は、実際「弔問客」の多い日でした。
ジェミーも訪ねて来ましたし、駐在さんも再び訪れました。
もっとも、駐在さんは、事件の後処理もあってのことなのですが。
この日、駐在さんは制服でした。
そして。その日のうちに、僕たちは西条くんの「謎の恋人」を知ることになりました。
「サイジョー!」
突如、飛び込むようにして女の子が入って来ました。歳の頃なら、6、7歳といったところでしょうか。
確かにこれはカワイイわ!
夕子ちゃんの小さい頃を彷彿させます。
「サイジョー!あ、あれ?またおきゃくさん?」
「ミカ。だから呼び捨てするなって言ってるだろ?」
「このヒト、おまわりさん?サイジョー、ともだちなの?」
駐在さんを指差す小さな恋人、ミカちゃん。
「んー。この人は友達じゃなくって、カ・タ・キ。とっても怖い人なんだよ」
幼子になにを教えている?
「サイジョーをいじめるの?」
「そうそう。とっってもいじめるの」
「おいおい」と、苦笑する駐在さん。
「サイジョー、いいヤツなんだから、いじめちゃだめだお!」
うわぁ〜。日本語がおぼつかないところが可愛い!
「はいはい」と駐在さん。
「ミカ、リンゴあげるから、あっちいっててね。俺、このオジさんたちと話しなくちゃいけないから」
「ウン!ミカ、わかった!」
トットコトットコ部屋を出て行くミカちゃん。
「サイジョー!後であそぼーね♪」
「西条、お前・・・いくらモテないからって、あんな幼子にまで手を出したのか?」
駐在さん。
「バ、バカ言わないでくださいよ!」
どもる西条くん。
「お前。あの年齢だと犯罪だからな。逮捕しなくちゃならん」
「え!そ、そうなんですか?」
なぜ、そこでビビる?
「そりゃそうだ。あんな、まだ赤ん坊に毛が生えた程度の女の子だぞ」
「え?」
「どうした?」
「おまわりさん、なんにも知らないんだなぁ」
「なにが?」
「いくらなんでもまだ生えてないと思いますよ。12、3歳じゃないですか?生えてくるのって。普通」
「ば、馬鹿ヤロウ!”毛が生える”は、そういうストレートな意味じゃないんだよ!」
西条・・・・。
「ミカちゃん」は、ここに入院しているわけではなく、入院している弟の看護をしているお母さんについてきているのだそうです。
この弟が、かなりの重病らしく、お母さんは、ほぼつきっきりであるため、ミカちゃんも病院が遊び場のようになっていて、看護婦さんや先生、入院患者にもすっかりおなじみの存在になっているのでした。
この子が、西条くんにどうしてなついたのかはよくわかりませんが、(3章でもふれたように)彼は「対子供」については、天才的な才能があるようでした。
やがて駐在さんは、事後のことを伝えると、勤務へともどり、入れ替わるように、お待ちかねの夕子ちゃん訪問。
「西条先輩、大丈夫でした?」
「うーん。大丈夫なら入院していないかも」
西条くん。めずらしく正論です。
「わたし、心配したんですから」
「ほ、ほんと?じゃぁ次は浴衣で来てくれる?」
どういう脈略でしょう?
ところが、ここへ先ほどのミカちゃん再び登場!
「あら!」
驚く夕子ちゃん。
「あれ?サイジョー、このお姉ちゃんだぁれ?サイジョーのコイビト?」
「うーん、そういう言い方もあるかな?」
ないない。絶対ない。
「このお姉ちゃんは、サイジョーくんとはまったく無関係だからね。安心していいよ」
全面否定の兄。
「そっか!コイビトじゃないんだ!でもおネエちゃん、カワイイね。おにんぎょさんみたい」
「あら。ありがとう」
まんざらでもない夕子ちゃん。
「ところでさぁー、ミカ」
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- 5章:第16話 サイジョーの約束(4)
- 5章:第15話 サイジョーの約束(3)
- 5章:第14話 サイジョーの約束(2)
今日も笑いをありがとうございますぅ
saineiさん、こんにちはぁ。
いえいえ。こちらこそ、お読みいただきありがとうございます。
西条くんが登場すると、どうしても下ネタに走ってしまうきらいがございまして、困ったものなのですが、実際は、これでもそうとうオブラートかけてます。
ただですね。5章はこの後、だんだん笑えなくなってまいります。ドキュメントなのでやむをえないのですが・・・。
書いている本人もちょっと憂鬱です。
毎日必ず6時半から8時で200ポイントくらい上がる、っていうか、それが全てなんだけど。
ありえねー!
腹たつよなー。
なんかやってるんだろうけど。なんて汚いやつだ!
許せねー!
とは思いませんか?
スパイダーマンDXさん。毎度ありがとうございます。
あそこの順位の謎の1時間。気づいてはおりました。
まぁ。誰でも気づきますよね(笑)。毎日なので・・・。
別に今に始まったことではなく、以前の上位のかたにもいらっしゃいました。
思うに、携帯屋さんかなにかなのかも知れませんね。
いずれにいたしましても、地道にいくしかないので、なんとか読者様がつくようにがんばります。
応援ありがとうございます。
こんちわ!
あの1位ってねえ。なんか出会い系みたいですよ。いずれにせよろくなもんじゃないんですが。
がんばって応援ポチィ!抜け!ぼくちゅう!
Blackyさん。こんにちは!
なんなんでしょうねぇ・・・。
別に1位にこだわりませんが、問題はありますよね。
むしろ下位のかたがお気の毒です。
いろんな人。いるもんですねぇ。
応援ありがとうございます。また午後8時には入れ替わってしまいますが(笑)。
改めて読み直してみました!!!
やはり…ママチャリさんゎ奥が深いですねぇー