ぼくたちと駐在さんの700日戦争

＜お知らせ＞
みなさん、スタンプラリー、お疲れさまです。
さて。本日はうれしいお知らせから。
七夕企画での願いごとが「警察官採用試験に受かりますように」という短冊だったへっぽこさん（HNがなぁ・・・）。この度、みごと合格されたそうです。
おめでとーーー。駐在さんみたいにならないよう、ある意味、駐在さんみたいになるようがんばってくださいね！
それにしても短冊。ぞくぞくと願い事かなってるようで。馬鹿になりません。御利益御利益。

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結局、女子剣道部全員の前で仲良し3人で土下座という信じがたい屈辱の処置の上、ようやく解放された僕たち。

フィルムはどうしたか？というと、ベッド下のスプリングに挟んで来ていたため、僕たちは再び保健室へ。

が。

「げ・・・今度は別の女子が寝てる・・・・」。
なにしろ暑かったので暑気あたりが続出しているようです。

「どうしよ？」
「どうしよって取って来るしかないよ・・・・」。

「俺、海パンだから、遠慮するよ」。

ああ。誰もお前に頼まないよ。千葉。

というわけで、僕がソロソロと保健室に入ると、ベッドに寝ていたのが

げ！瑞穂っ！・・・ちゃん・・・。

なんでまたこんな時に・・・。

しかしわがまま言ってる場合じゃありません。
僕は腹這いになるとベッドの下に向かってずりずりとほふく前進。
ここで瑞穂ちゃんに気づかれたら、どういう展開になるかわかりません。

後少し・・・。
後・・・・。

が。

ベッドまで来て驚きました。
目と鼻の先にあるというのに、下に入り込めないのです！

（げ。こいつ重いんだ・・・。さっきは斜めでも入れていたのに・・・）。

なんとか手をのばして端の3本は取りました。
逆側にまわってもう3本・・・。

なんとか手が届きます。
あと・・・1本。

と、思ったらそれが手をすべり

　カシャン！

という軽い音とともに落ちました。

　やばっ！

「ん？」

とんだドジです。瑞穂ちゃん、このわずかな物音で目を覚ましてしまいました。

「んん？あれ？そこにいるのは・・・？」

どう考えても説明がつきません。女子（しかも瑞穂）が寝ているとなりで腹這いになっている男。

「あれ？先輩？」

やべ～～～～。絶対絶命～～～～。

しかたないので、僕は
「13、14、15、16」

「なにやってんですか～？先輩」

「18、19。見りゃわかるだろ？腕立て伏せだよ～～～」。
「腕立て～？なんでそんなとこで？」

「えっとー。身体能力測定に備えて」。

「え。6月に終わったでしょ？あ！わかった～～～～～～」。

なにがわかった？

「あたしが倒れたって聴いてお見舞いにきてくれたんですね～～～？」

「あ？いやぁ・・・・」。

ものすごく都合のいい勘違いです。

「みずほうれしい～～～～。やっぱり先輩ってやさしいんだから～～～～」。

く・・・。しかしここは大人しくするしかありません。

「あ・・・ああ。それで大丈夫？」

「うーん。暑気あたりみたいで～～～。気持ち悪くなっちゃって・・・」。

「そ、そうか。今日暑かったからな」。
（その上肉襦袢なんか着てるから・・・）。

「でも先輩の顔見て元気少しもどったみたい～～～～」。

うん。僕は真っ青だけどね。

「今日、練習あったの？」

「あ。1、2年だけ。新人戦の練習なんですぅ～～～」。

それで。和美ちゃんから練習がある話は聴いていませんでした。

「あたし驚きました～。まさか先輩がお見舞い来てくれるなんて～～～」。

「うん。僕も驚いた。シングルベッドに収まるんだね」。

「またまた～～～。おじょうずなんだから～～～」。

こいつ、褒め言葉と罵詈雑言の区別がついてない・・・。
なんて幸せなやつでしょう？

「あ～～～。まだ少し気分悪くって。ブラはずしたほうがいいかなぁ～～～」。

はぁ？なに言い出すんだ？こいつ。

「いや。それよりモンゴル帰ったほうがいいかも」。

「モンゴル？」

僕は瑞穂ちゃんと会話しながら、どうにかしてベッド下の一本を取りに行く算段を考えていました。

そこで

「あ。そうそう。気持ち悪い時は右を下にしたほうがいいんだよ」。

右下がいいのは消化不良の時だけなのですが、ここは口からデマカセ。
そうすれば逆を向きます。

「え・・・。だって先輩・・・。あ。わかった！先輩そんなこと言って後ろから・・・」。

後ろからなんだよっ！

「大丈夫。押し出ししないから。ね」。

「じゃ、お言葉にあまえて～～～～～」。

今だ！

俊敏な技で、ベッド下の1本もゲット！
あとは一刻も早く立ち去るのみです。

「じゃ、なるべく早くモンゴル行けよな。おだいじに～～～」。

と思ったら

「あ！先輩！」

ドキッ。

「あたし・・・VIVAアイス食べれば治るかも・・・・」。

てめぇ！
この上食うのか？

「ああ。わかったわかった。買って来てやるから」。

とにかく脱出あるのみ！

こうして苦辛の末、ようやくフィルム奪取成功。

「遅かったなぁ」。
イライラと待っていた西条くんたち。

「あ。ごめんごめん」。

「俺、もう帰んなきゃいけないんだけど」。
と、西条くん。

「あれ？西条は部活ないだろ？」
「いや。ほら。夏休みだからさ。ほら・・・」。

あ。

「ああ。ミカちゃん？今年も病院？」

「ああ。また絵日記協力しなきゃな。今年はほら。みんな商売でなかなか集めらんなくって」。

「すまないな。西条。来週には手もすくだろうから僕も行くよ」。

「いや。無理すんなって」。
「いや。行くよ」。
「だからいいって」。

そう言えばちょうど去年の今頃でした。
ミカちゃんをつれて何度も何度もプールに通って。
あの時は夕子ちゃん・・・ん？

「んんんん？西条」。

「な、なんだ、その疑うような目は」。

「みんなは集められないだろうけど。夕子ちゃんは？」

「えっと～～～。とにかく夏休みもあと2週間あまり～～～」。

やっぱり。

「時々村山も来るんだけどな」
「村山が？」

「うん。夕子ちゃん、送って来るぞ。井上が頼んだらしいんだけどな」。
「へぇ・・・」。

僕はにぶくて気づきませんでしたが、この時ちょうど井上くんが東京出張連続でしたので、思えば、奥手の村山くんには千載一遇のチャンスだったのかも知れません。
とにかくこの夏を境に、村山くんと夕子ちゃんが急接近したのは間違いありませんでした。

「ところで、ケンちゃんの名簿の方はどうだ？」

そうです。ケーキ屋ケンちゃんの持っている「得意先台帳」がないと上映会が開けません。
が、

「だめだ。社外秘だってよ」。

だめか・・・。

「俺もずいぶんと頼んだんだけどな。とりつくしまもねぇや」。

「そっか・・・・」。

しかしなんとか入手しないと元も子もない・・・。
盗むわけにはいかないし・・・。
相手、あのケンちゃんだし・・・。

なんとか・・・
「あ！そうだ！」

「ん？」

「明後日水曜だったよな」。

「ああ。木曜日の前だ」。

それくらいは知ってる。
西条くんに教えられると腹がたちます。

「水曜日、集められるだけ集めよう。ミカちゃんのプールもあるし」。

「ああ。いいけど。名簿ゲットできるのか？」

「うん・・・・まぁ。やってみるしかないや」。

ここはいちかばちかしかありません。

と、決心したところに

「先輩～～～～～～～～～～～」。

げ。瑞穂・・・。

「アイス～～～～～～～～」。

アイスって・・・。全力疾走？
暑気あたり治ってるだろ？


　　　　12章-第87話へつづく→

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