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第2話 秘密兵器(2)
翌日のこと。
西条くんがヘンなものを持って登校しました。いえ、『○Mファン』とかの類いではなく。
「おい。これを見ろ」
「なんだ?これ?」
それは金属でできた、奇妙なダイナモみたいなものでした。
「これはな。俺が小学校のとき、マノックから入手した万能型マッチって言うんだ」
マノック商会。これは当時、ほとんどの少年雑誌に掲載されていた怪しい通信販売です。
怪しいのですが、当時の少年たちにはとても魅力的に映る商品の数々が、それも切手で購入できるというので人気がありました。
西条くん。その不思議なマッチ(マッチには見えないのですが)で火をつけてみせると、
「これはどんな天候でも火をつけることができるんだ。これでな・・・・」
と、駐在さん攻略の作戦を話し始めたのでした。
「え~~~~」
彼の反撃作戦は、突拍子もないものでしたが、反面、彼ならではの面白さがありました。
「よし!やってみよう!駐在、泡喰うぞ」
さっそく速攻で準備にかかる僕たち。
1年坊のジェミー(丹下くん)を呼び出すと、
「いいか。この金でありったけのロケット花火買ってこい」
「え?なにするんですか?」
「んー。大花火大会だよ。大花火大会」
「えー。いいなぁ。僕もやりたいなー」
僕たちは顔を見合わせました。
「うん。いいぞ。お前も入れてやる」
「え!やったー!」
彼はメンバー1小柄だったので、自転車の後ろに乗せるにはたいへん好都合でした。
「じゃぁ、お前、在庫係な。さっさと買って来てくれ」
「わかりましたっ!」
残った僕たちは、10本のパイプを束ね、ロケット花火の発射台をつくりました。
南米の楽器「ケーナ」みたいな形。
そうです。これにロケット花火を一度に仕掛け、自転車で追撃してくる駐在さんに一気に砲撃しよう、という作戦でした。
題して「織田信長も真っ青」作戦。
これはわくわくしましたねー。西条くんにしては、かなり上出来なアイディアでした。
その頃はまだ、ロケット花火の危険性などなにも言われていなかった頃なので、僕たちはいろいろと使いまくっていたのです。
そして僕たちは、村山&千葉(4章で工藤先生の真似したやつ)コンビ、僕&西条コンビ、ジェミーくんを後ろに乗せるためグレート井上くんをひきずりこみ、3組に別れて自転車に分乗。
いざ駐在所前へと向かったのでした。
では例によって作戦を説明いたしましょう。
僕と西条くんの自転車の荷台には、一度に10発のロケット花火を打てるパイプ砲台が仕掛けてあります。これは当時のロケット花火が10本で1袋だったからです。
そしてグレート井上くんたちの自転車は、僕たちと並走してロケット花火を渡す係。これで、連続して何度でもロケット花火を打つことができるわけです。しかも10発ずつ!
村山組は初めに囮として走行。
駐在さんは、最初の二人乗り発見から追撃を開始するはずなので、こうすることで僕たち「砲台」と駐在さんの間を射程距離における、という、もう万全の作戦でした。
さぁ。作戦開始です。
「ジェミー、花火持ったな?」
「はい!もーバッチリです!けど、どこ行くんですか?」
「いいから。お前は俺らにロケット花火渡してくれればいいんだよ」
「わかりました!」
「あー。10本ずつな。袋から出して渡してくれ」
「え?10本ですね。らーじゃーです!先輩!」
村山くんたちが、猛烈なスピードで駐在所前を通りすぎると、駐在さんが飛び出して来ました。作戦通りです。
やがて僕たち4人が駐在所前を通り過ぎたその直後、
「またおまえらかー!」
昨日とまったく同じパターンで、駐在さんの自転車が追いかけて来ました。
「おまえらー、自転車2号をなめるなよぉ!」
いつの間にか2号になっちゃってます。駐在さんの秘密兵器。
が、後ろの西条くん。
「お、おい、に、2号だってさ」
「ああ」
「せ、性能、アップしてるのかなぁ?」
なにわけのわかんないとこでビビってんでしょう?こいつ。
だいたい、こっちだって今日は秘密兵器があります。
やがて僕たちは、村山組と別れ、2台並走のまま道路を左折。人通りのない通りへと移動しました。
なにしろロケット花火。どこへ飛んで行くかわかりません。まわりに迷惑をかけたら悪戯の騒ぎではありません。
でも、この道なら大丈夫。
道路が下り坂ではなくなるので、自転車を漕ぐ人間にはかなりきつくなりますが、まぁ、追いつかれることは「ありえない」と言っていいでしょう。
なんてったって秘密兵器!強烈です。
そして駐在さんが僕たちの20mほど後ろに迫って来たとき。
西条くんがセットされていたロケット花火の導火線に次から次へと火をつけました!
「ふぁいあー!!」
ピューーーーーー
ピューーーーーー
ピューーーーーー
ピューーーーーー
ピューーーーーー
ロケット花火が次から次へと発射!
もう、駐在さんびっくり!
「う、うわぁ!」
あまりの驚きによろける駐在さん。効果は抜群だ!
「よし!ジェミー、次よこせ!」
「え?は、は、は、はい!」
ところが・・・
ジェミーが渡したものは、
「な、なんだよこれ!線香花火じゃん!ロケット花火よこせよ!」
「えっとぉ・・・。あとロケット花火はありません」
はあ?
「なんでだよ!ありったけ買ってこいって言ったろ!?」
「だって・・・先輩、大花火大会だって言うから・・・ロケット花火だけじゃつまんないじゃないですか・・・。それでいろいろと・・・」
「えーーーーーーーーーーーーっ!!!」
「ドラゴンならいっぱいあります」
「ばかーーーーーーーーーーーっ!!!」
10分後、照りつける真夏の日差しのもと、前回よりはるかに広い範囲(町内ぜんぶ)を清掃する高校生4人の姿がありました。
「あらあら。毎日かんしんね~」
「はい~。街はきれいにしませんとね~」
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翌日のこと。
西条くんがヘンなものを持って登校しました。いえ、『○Mファン』とかの類いではなく。
「おい。これを見ろ」
「なんだ?これ?」
それは金属でできた、奇妙なダイナモみたいなものでした。
「これはな。俺が小学校のとき、マノックから入手した万能型マッチって言うんだ」
マノック商会。これは当時、ほとんどの少年雑誌に掲載されていた怪しい通信販売です。
怪しいのですが、当時の少年たちにはとても魅力的に映る商品の数々が、それも切手で購入できるというので人気がありました。
西条くん。その不思議なマッチ(マッチには見えないのですが)で火をつけてみせると、
「これはどんな天候でも火をつけることができるんだ。これでな・・・・」
と、駐在さん攻略の作戦を話し始めたのでした。
「え~~~~」
彼の反撃作戦は、突拍子もないものでしたが、反面、彼ならではの面白さがありました。
「よし!やってみよう!駐在、泡喰うぞ」
さっそく速攻で準備にかかる僕たち。
1年坊のジェミー(丹下くん)を呼び出すと、
「いいか。この金でありったけのロケット花火買ってこい」
「え?なにするんですか?」
「んー。大花火大会だよ。大花火大会」
「えー。いいなぁ。僕もやりたいなー」
僕たちは顔を見合わせました。
「うん。いいぞ。お前も入れてやる」
「え!やったー!」
彼はメンバー1小柄だったので、自転車の後ろに乗せるにはたいへん好都合でした。
「じゃぁ、お前、在庫係な。さっさと買って来てくれ」
「わかりましたっ!」
残った僕たちは、10本のパイプを束ね、ロケット花火の発射台をつくりました。
南米の楽器「ケーナ」みたいな形。
そうです。これにロケット花火を一度に仕掛け、自転車で追撃してくる駐在さんに一気に砲撃しよう、という作戦でした。
題して「織田信長も真っ青」作戦。
これはわくわくしましたねー。西条くんにしては、かなり上出来なアイディアでした。
その頃はまだ、ロケット花火の危険性などなにも言われていなかった頃なので、僕たちはいろいろと使いまくっていたのです。
そして僕たちは、村山&千葉(4章で工藤先生の真似したやつ)コンビ、僕&西条コンビ、ジェミーくんを後ろに乗せるためグレート井上くんをひきずりこみ、3組に別れて自転車に分乗。
いざ駐在所前へと向かったのでした。
では例によって作戦を説明いたしましょう。
僕と西条くんの自転車の荷台には、一度に10発のロケット花火を打てるパイプ砲台が仕掛けてあります。これは当時のロケット花火が10本で1袋だったからです。
そしてグレート井上くんたちの自転車は、僕たちと並走してロケット花火を渡す係。これで、連続して何度でもロケット花火を打つことができるわけです。しかも10発ずつ!
村山組は初めに囮として走行。
駐在さんは、最初の二人乗り発見から追撃を開始するはずなので、こうすることで僕たち「砲台」と駐在さんの間を射程距離における、という、もう万全の作戦でした。
さぁ。作戦開始です。
「ジェミー、花火持ったな?」
「はい!もーバッチリです!けど、どこ行くんですか?」
「いいから。お前は俺らにロケット花火渡してくれればいいんだよ」
「わかりました!」
「あー。10本ずつな。袋から出して渡してくれ」
「え?10本ですね。らーじゃーです!先輩!」
村山くんたちが、猛烈なスピードで駐在所前を通りすぎると、駐在さんが飛び出して来ました。作戦通りです。
やがて僕たち4人が駐在所前を通り過ぎたその直後、
「またおまえらかー!」
昨日とまったく同じパターンで、駐在さんの自転車が追いかけて来ました。
「おまえらー、自転車2号をなめるなよぉ!」
いつの間にか2号になっちゃってます。駐在さんの秘密兵器。
が、後ろの西条くん。
「お、おい、に、2号だってさ」
「ああ」
「せ、性能、アップしてるのかなぁ?」
なにわけのわかんないとこでビビってんでしょう?こいつ。
だいたい、こっちだって今日は秘密兵器があります。
やがて僕たちは、村山組と別れ、2台並走のまま道路を左折。人通りのない通りへと移動しました。
なにしろロケット花火。どこへ飛んで行くかわかりません。まわりに迷惑をかけたら悪戯の騒ぎではありません。
でも、この道なら大丈夫。
道路が下り坂ではなくなるので、自転車を漕ぐ人間にはかなりきつくなりますが、まぁ、追いつかれることは「ありえない」と言っていいでしょう。
なんてったって秘密兵器!強烈です。
そして駐在さんが僕たちの20mほど後ろに迫って来たとき。
西条くんがセットされていたロケット花火の導火線に次から次へと火をつけました!
「ふぁいあー!!」
ピューーーーーー
ピューーーーーー
ピューーーーーー
ピューーーーーー
ピューーーーーー
ロケット花火が次から次へと発射!
もう、駐在さんびっくり!
「う、うわぁ!」
あまりの驚きによろける駐在さん。効果は抜群だ!
「よし!ジェミー、次よこせ!」
「え?は、は、は、はい!」
ところが・・・
ジェミーが渡したものは、
「な、なんだよこれ!線香花火じゃん!ロケット花火よこせよ!」
「えっとぉ・・・。あとロケット花火はありません」
はあ?
「なんでだよ!ありったけ買ってこいって言ったろ!?」
「だって・・・先輩、大花火大会だって言うから・・・ロケット花火だけじゃつまんないじゃないですか・・・。それでいろいろと・・・」
「えーーーーーーーーーーーーっ!!!」
「ドラゴンならいっぱいあります」
「ばかーーーーーーーーーーーっ!!!」
10分後、照りつける真夏の日差しのもと、前回よりはるかに広い範囲(町内ぜんぶ)を清掃する高校生4人の姿がありました。
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ジェミーの天然ップリ炸裂www
駐在サンの慌てふためく様を見てみたい(*´艸`)
ジェミーよ・・・ロケット花火ありったけ買ってこいと言われたろう?えぇ?
ジェミーは本当に花火大会をやると思ってたんですね
ドラゴン買ってきちゃうところが、ジェミーのいいところだなぁ~って、思っちゃいます。
おかげでおもしろくなってるし。
なんかジェミーかわいすぎ(≧ω≦)
おもしろくなってるし、最高じゃないですか!
ジェミー最高!!
このコメントは管理人のみ閲覧できます
じぇみーくんかわいい!!
映画、原作のイメージぴったりだっ
自転車2号にびびる、西条君に相変わらず冷静に突っ込むママチャリは何度読んでも面白い!
Yeah bookmaking this wasn’t a high risk decision great post! .