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<おことわり>本日、シリアスモード。笑えるところはありません。3話連続アップです
和美ちゃんが次に言った言葉。
「あの小屋へ、連れてってくれたの」。
「あの小屋?」
「車つくってた・・・。この前行ったとこ・・・・」。
嘘だろ?
「チャーリーとの?」
「・・・そう」。
「だ、だって。だって君、この前は・・・」。
僕は頭に血が上るのがわかりました。
そうだ。あの時、あの場所を和美は「こんなところもあるのね」って・・・
「だって君、知らなかったって・・・・」。
「あ・・・。あの道は初めてだったから・・」。
いや。あそこに行く道は他にない・・・。
あそこを通るしかないはずだ。
すると、初めてキスしたあの場所も。
「黙っててごめんなさい・・・」。
謝られるところじゃない。彼女の謝るところではない。
わかっていながら。
僕はわかっていながら。
「うそつき!」
僕は思わぬことを口にしていました。
彼女ははっとした顔をして。そして
「渉くん。なにか鬼気迫るものがあったのね。それで・・・」。
僕はその言葉を聴きませんでした。
いえ。すでに聴こえていませんでした。
「あの・・・ごめんなさい・・・」。
僕は約束の通り、ひとまず冷静に振る舞おうとしました。
が。
「バイク、返して来なきゃいけないから。帰るよ」。
「え・・・・」。
僕は別れの言葉さえ言わず、モンキーのエンジンをかけました。
「待って・・・」。
引き止める和美ちゃんの声が、高いエキゾーストノートにかき消されます。
そうだ。あそこにはあの道しかない。
和美はうそをついてる。
なぜ?
一度こういうことを考え始めると、中学時代より無駄な知識が多いぶんだけ、止まりません。
なんで・・・。
あんな人里離れた小屋に・・・。
渉くんの目的は・・・。
坂本。泊まり込んでるって言ってた。
そうなんだ。あそこ、仮眠のベッドまである。
なんで
なんで
なんで
僕は自分の妄想を振り切るかのように、スロットルを開きました。
すでに全開に近く、速度は50km/hを超えていました。
心のどこかで黒を否定する白がいます。
いや。渉くんはそんなことができる子じゃなかった。
チャーリーよりずっと内気だし・・・。
だいたい和美のこと、信じられないのか?
それにあの頃、僕は和美とは無関係
そして白を否定する黒。
中学3年にもなれば知識もある。
激情もありえる。
いや。それより今もやりとりが続いている可能性は?
いつか降り始めていた雨が、ヘルメットのない顔に強くあたります。
雨粒がまぶたにあたるたびに、対向車のヘッドライトがにじんで
そして通りすぎて行きます。
まさか
まさか
まさか
ポプラで洋次とどんな会話をしたのか。
家までどの道のりで帰ったのか。
よく覚えていません。
わかったことは、家についた時にはすでにずぶ濡れだったこと。
「ただいま」。
「おかえり。おやまぁ。水はしたたらなかったんだね。色男」。
母が明るく迎えましたが
「うん・・・」。
「お風呂場にタオルあるからね。頭ふいておいで。それから・・・」。
「なに?」
「和美ちゃんから電話あったわよ」。
母がめずらしくスライドさせずに言いました。
「おり返すって言っておいたから」。
「ああ。いいんだ」。
そうだ。いいんだ。
しかし母。この日はゆずりませんでした。
「おり返すって言っといたっ!」
「え?」
「密教はね。もらった電話返すしきたりなのよ。いいわね?」。
ゾロアスター教じゃなかったのか?
「う・・・わかった・・・」。
おそらく母は、和美ちゃんの電話になにか異変を感じ取ったのでしょう。
しかし僕はその日、和美ちゃんに電話をかけたふりをしただけで。
こんなことなら・・・
人を好きになるんじゃなかったな・・・。
本日3話連続アップ。引き続き12章-第51話へ→



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<おことわり>本日、シリアスモード。笑えるところはありません。3話連続アップです
和美ちゃんが次に言った言葉。
「あの小屋へ、連れてってくれたの」。
「あの小屋?」
「車つくってた・・・。この前行ったとこ・・・・」。
嘘だろ?
「チャーリーとの?」
「・・・そう」。
「だ、だって。だって君、この前は・・・」。
僕は頭に血が上るのがわかりました。
そうだ。あの時、あの場所を和美は「こんなところもあるのね」って・・・
「だって君、知らなかったって・・・・」。
「あ・・・。あの道は初めてだったから・・」。
いや。あそこに行く道は他にない・・・。
あそこを通るしかないはずだ。
すると、初めてキスしたあの場所も。
「黙っててごめんなさい・・・」。
謝られるところじゃない。彼女の謝るところではない。
わかっていながら。
僕はわかっていながら。
「うそつき!」
僕は思わぬことを口にしていました。
彼女ははっとした顔をして。そして
「渉くん。なにか鬼気迫るものがあったのね。それで・・・」。
僕はその言葉を聴きませんでした。
いえ。すでに聴こえていませんでした。
「あの・・・ごめんなさい・・・」。
僕は約束の通り、ひとまず冷静に振る舞おうとしました。
が。
「バイク、返して来なきゃいけないから。帰るよ」。
「え・・・・」。
僕は別れの言葉さえ言わず、モンキーのエンジンをかけました。
「待って・・・」。
引き止める和美ちゃんの声が、高いエキゾーストノートにかき消されます。
そうだ。あそこにはあの道しかない。
和美はうそをついてる。
なぜ?
一度こういうことを考え始めると、中学時代より無駄な知識が多いぶんだけ、止まりません。
なんで・・・。
あんな人里離れた小屋に・・・。
渉くんの目的は・・・。
坂本。泊まり込んでるって言ってた。
そうなんだ。あそこ、仮眠のベッドまである。
なんで
なんで
なんで
僕は自分の妄想を振り切るかのように、スロットルを開きました。
すでに全開に近く、速度は50km/hを超えていました。
心のどこかで黒を否定する白がいます。
いや。渉くんはそんなことができる子じゃなかった。
チャーリーよりずっと内気だし・・・。
だいたい和美のこと、信じられないのか?
それにあの頃、僕は和美とは無関係
そして白を否定する黒。
中学3年にもなれば知識もある。
激情もありえる。
いや。それより今もやりとりが続いている可能性は?
いつか降り始めていた雨が、ヘルメットのない顔に強くあたります。
雨粒がまぶたにあたるたびに、対向車のヘッドライトがにじんで
そして通りすぎて行きます。
まさか
まさか
まさか
ポプラで洋次とどんな会話をしたのか。
家までどの道のりで帰ったのか。
よく覚えていません。
わかったことは、家についた時にはすでにずぶ濡れだったこと。
「ただいま」。
「おかえり。おやまぁ。水はしたたらなかったんだね。色男」。
母が明るく迎えましたが
「うん・・・」。
「お風呂場にタオルあるからね。頭ふいておいで。それから・・・」。
「なに?」
「和美ちゃんから電話あったわよ」。
母がめずらしくスライドさせずに言いました。
「おり返すって言っておいたから」。
「ああ。いいんだ」。
そうだ。いいんだ。
しかし母。この日はゆずりませんでした。
「おり返すって言っといたっ!」
「え?」
「密教はね。もらった電話返すしきたりなのよ。いいわね?」。
ゾロアスター教じゃなかったのか?
「う・・・わかった・・・」。
おそらく母は、和美ちゃんの電話になにか異変を感じ取ったのでしょう。
しかし僕はその日、和美ちゃんに電話をかけたふりをしただけで。
こんなことなら・・・
人を好きになるんじゃなかったな・・・。
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やった!!!
夜更かし一番のりぃ!!!
まだ、見てないですけど・・・・
これから、これからぁ(・∀・;)
まさに修羅場・・・。
どうなるんだろう><
ぎょへ~3連続ですか。
今夜は濃厚ですな。昨夜じらしましたもんね。
。。。いや、深い意味はナシでサービス精神って事。
和美ちゃん、、、、嘘ついちゃったんだ、、汗
ママチャリさん、電話しなかったの?!
白と黒か、、、
ママチャリーちゃんと和美ちゃんと話して~
おタカさん。すっ、するどい。
かないませんねぇ。
切ないですね~(;ω ;)
自分の学生時代思い出しちゃいました…
今思えば「なんでここまで感情的になっちゃったの?」って思えることだったりもするんですよね…
けどその時はいっぱいいっぱいで…
切ないっす…(T.T)
3連発??
寝させてもらえるんですか?
うわあ、なんだか甘酸っぱい・・。
ママチャリの気持ちもわかる!わかるけど・・
最後まで話を聞いてあげて!ママチャリ!!
どっひゃ~~~
「認めたくないものだな…… 若さ故の過ちというものは……」
(ガンダム)なんかしってた。
若い頃はありましたね。
先走って、色々考えて自滅して、聞いたらなんて事なかったこと。
ん~どう展開するのかな。
和美ちゃん関連自滅(?)パターン二回目ですね~
うん……気持ちはわかるんです。両方とも。
一度疑いはじめると、駄目だと思っても止まらないんですよね……。
タカさん、いいなぁ。こんなに察しがよくて、子供の気持ちがわかるお母様って素敵です。
ママチャリ、冷静でいられない気持ちと、冷静になろうとする気持ち、、、
知識は多いけど、
明晰、と言うか、悪辣、と言うか、極悪非道やけど、
所詮は高校生。
ってことでしょうか?
3話連続って、今夜は寝かせないわよってこと?(笑)
こういうのありました。うん。
言わなくていいこと言っちゃったりするんですよね。
言ったら傷つくこと、判りそうなのに・・・
おタカさん。
ここは!という時はさすがに引きませんね!!
ママチャリ君、冷静にね。
青春真っ只中ですねw
わたしも今思えば・・・
後先考えずに激情に駆られ
若気の至りで人を傷つける言葉を
平気で言ってた思い出があります。
しっかしタカ母様は予知能力者かエスパーなのか・・・
もしかして虹色家族の初代教祖と親戚だったりしてw
全部にレスされているの見てて大変だなぁ~とコメント控えてましたが
今日は揚げたてほやほやで見れたのでコメント書きました
ママチャリくん~、和美ちゃんがそんなこと応じる訳ないでしょ~!!
和美ちゃんが絡むと、本当に見境無くなるなぁ…。
大好きなんだねぇ。
ううっ・・
こういうところはやっぱりまだ高校生なのね、ママチャリ
タカさんもさすが真剣なところはおさえますね
そういうところが好きです
うぉおお 続きが気になる~
3話見るまでねれね~
をを!!3話同時アップの日を生で体験できた!!
待つか、寝るか、困るとこです・・・明日朝から講習だからな(苦笑)
どんどん宗教のバリエーション増えますね(笑)しかしみなさんゾロアスター教御存知なんですかね(笑)世界史選択してればわかるでしょうが・・・
あ、くろわっさん!タカさんの宗教シリーズのネタにつまったらいくらでも世界史にでてくる宗教お教えしますのでいつでも言ってくださいね♪
密教で来たかっっ
あああ、青春って切ないねぇ…(おばさんくさっっ)
オイオイ和美ちゃんがかわいそうだぞ。
うわ~たまらん。
知りたいけど知りたくない。
知らなきゃ変な妄想が暴走する。
でも知るのは怖い。
続きを読むのも同じです(TT)
うん、ありがちなパターンですねぇ。
この後どう修復するのかな?
>こんなことなら・・・
人を好きになるんじゃなかったな・・・。
こう思ってしまったり、怒ってしまうママチャリくんの気持ちも分かるけれど。
きっともっと強く「人を好きになってよかった」って思える日もくるんだけどな。
高校時代ってこんな感じだよね。
若い…若いな、ママチャリ。
高校生だもん、そりゃそうか。
和美ちゃんの動揺を察知できるほどの洞察力があるママチャリ母様。素敵です!
その母様に電話を掛けたふりの演技が通用する・・・?
無理でしょ。
母様はママチャリ君のオリジナルなのですよ。追加で年の功もあるし。
それにママチャリ君が生まれてきたときから見てきて
今までの悪戯も全部お見通しの母様が騙される訳が無い!
素直に母様に従ったほうが良さそうです。
このまま行けばママチャリ君が後悔する道に進むような予感が・・・。
ママ……チャリ……
昨夜は変なコメ入れて……ゴメン…な…
ちぃとは空気読めってな……
半年前にフラれて……んだから…さ……
恋って……何だろ……
辛いですね~
好きな人だと余計に…
違うと思っていても、その方向に頭が行ってしまいます…
>こんなことなら・・・
> 人を好きになるんじゃなかったな・・・。
そんなのも、こんなのも、ひっくるめて、人を愛するんだと思う。
でも、それがわかるのも、少し時間がかかるんだろうとも思う。
立ち直れママチャリ~。
ママチャリくん、年相応の面が見れましたね。心配だけど、ちょびっとホッとしました。大事な経験だね。
あぁああああ(T▽T)
ママチャリくぅぅん、何故和美チャンを信じないぃいい(>_<)
切ないぢゃないかぁあああ・゚・(つД`)・゚・
次が気になるから読んでくる(>_<)
こういうときでもつっこむところが「ぼく」ですね。
続いてのお話にいかせていただきます。
わわわ!
続き気になるっ
ママチャリくんの気持ちもわかるなぁ・・・
3話連続アップお疲れさまですm(__)m
やっぱり。ママチャリくんもお年頃の青年ね^^;
早く和美ちゃんと仲直りできるといいですネ。
うわぁ~駄目だよぉ~怒らないって言ったのにぃ~激怒の台詞が「うそつき」ですか?若いなぁ…次、次。
和美ちゃんの衝撃発言!!
ママチャリは動揺隠せず!
ハイ次!!
なんか分かります
歯車が崩れ出したのもそれを戻そうと必死になっても更に崩れるだけなのも
恋愛って難しいなぁ…
( ̄ ̄メ)yー・~うん…まぁ…気持ちは解る。ゥンゥン
渉君の最後の頼みそれが、あの千晶君とのかけがえのない思い出の場所、『スティングレイ2号』を作っていた、小屋へ行く事だったんですネ。
過去の出来事につい嫉妬してしまう、ママチャリさんが素直で、かわいいぃぞぉ!!!
に、してもおタカさんの《折り返し電話させます》発言するどぉーーーいぃ。
>経理のおばんさん
あれ?ここが最後になってますね?
おしいなぁ。
ふぁいっ!