ぼくたちと駐在さんの700日戦争

600万HIT御礼～～～～～～
←12章-第42話へ　ギャラリー：早乙女ちゃんへ→
←続・映画発表へ
人気ブログランキングへ　　ブログ村ランキングへ

---

早乙女さん。
「男ならよぉ～。ズバッと決断しろやぁ！え？」

すごみますが

「だからケンイチ兄ちゃん知ってるのかって」。

「え？だからぞんじあげません、って申し上げてるでしょう？」

ケンちゃんの話を出すとすぐに敬語になります。
西条くん。これがおもしろくなったらしく

「う～～ん。そうだなぁ」。

「おれぁ気ぃなげーほうじゃねぇんだよっ！ああん？」

「ケンちゃん・・・」。

「ま、まったく存じ上げませんってば！」

「う～～ん」。

「おらぁ！どうなんだ！え？」

「ケンちゃん・・・」。

「な、なんだってそんなにご質問なさるんですか？」

確かにおもしろい！

しかしとうとう早乙女さん。
「そ、その、よくは存じ上げませんが、その、ケ、ケンイチさんってかたの、なんなんです？」

これには孝昭くんが答えました。
「ああ。西条はケンちゃんの弟弟子だよ」。

「え！その・・・まったく存じ上げないケンイチさんの、お、おとうと弟子様なんですか？」

「そうそう」。

「へ～～～～～。そ、それはまったく存じ上げませんが失礼おばいたしました～～～～」。

存じ上げてるんでしょ？

「そ、そいじゃ今回のスカウトはなかったってことで・・・・」。

「ああ？なんで」。

「いや～～～～。存じ上げないケンイチさんの弟弟子さんとなるとちょっと～～～～」。

「存じ上げないんでしょ？」

「はい・・・。存じ上げませんが・・・なんとなくぅ・・・・」。

早乙女さん。ヤクザなのにおもしろい！

しかし、このしょうもないやりとりをしているうちに、建物のほうが賑やかになりました。

早乙女さん。
「あ。ほら。教祖様のお出ましだぜ」。

大きな門構えの入口をアゴでさしました。

生け垣の陰から、それをのぞきこむ僕たち。

門の扉が開き、何人もの「信者」とおぼしき人たちが入口前に並びました。
6、7人はいるようです。

すると、教祖。全員になにかを配り始め、信者たちがそれをありがたそうに受け取り始めました。

「なんか配ってる・・・」。

これに早乙女さん。

「ああ。ありゃぁな。虹銭っていう、まぁアルミ製のな。コインみたいなもんだ」。

「にじせん？」

「ああ。お布施をした信者がもらえる。教団だけで通用する通貨みたいなもんだな」。

こいつ、ほんとに口が軽い。
早乙女さんは、ふっきれたように続けてベラベラと教団のことを話します。

「通貨？」

「ああ。あれを貯めるといろんなもんと取り替えることができる。勾玉とかお札とかな」。

「へぇ～～～。便利なんだな」。

「はは。便利っつえば便利だが。そうじゃねぇ」。

「？」

「先代のアルマイトにちなんで作られてるが虹銭には価値はねぇ。それで買ったものは詐欺にもならなきゃ返品もきかねぇ。うまいこと考えるもんだ」。

「なる・・・ほど・・・」。

「お布施の礼とか言うが、実際にはスロットのメダル買ってるのと同じだ。他になにも使い道ねぇしな」。

確かに、貨幣で買ったものでなくては返品もきかなければ、詐欺にもなりません。
虹銭自体は、お布施の恩賞。寄付でしかないからです。

「ったく、あんなワッシャーに印押しただけみたいなもんが1枚1000円になるんだから、堪えられネェな」。

「ワッシャー！？」
「ワッシャーーー？」
「ワッシャーだって？」

僕たちは驚きで声を上げてしまいました。
僕たちは、つい先日「ワッシャー」と通貨のことを聴いたばかりだったからです。

そう。それは。


チャーリーの750貯金箱。

「なに驚いてんだ？こう、穴あいてんだよ。虹銭はよ。紐通すためにな」。

ワッシャー・・・。

もしそうだとすれば・・・。
渉くんは、重さをごまかすためではなく・・・。
価値のあるものというつもりで？


早乙女さん。
「どうせお前ら、入信とかで来てるんじゃねぇんだろ？」

「え・・・。うん」。

「へへ。そんなもんだろ。誰だか存じ上げないけどケンイチさんってかたの弟弟子さんじゃなぁ」。

「ん・・・」。

「神っていうより悪魔だからなぁ・・・・」。

しみじみと早乙女さん。
やっぱ存じ上げてるわけだ。


「どうだ？興味あるなら会ってみるか？教祖様によ」。

軽く不敵な笑みを浮かべながら、早乙女さんが言いました。
どうやら早乙女さんは、この教祖を気に入ってはいないようです。

「ええ。お願いできますか？」

「ああ。だが今聴いたことはひとつもしゃべるんじゃねぇぞ」。

「虹銭のことですね？」

「ああ。俺らもビジネスだからよ。関係がこじれんのは困るんだ」。

ケンちゃんの効果か、早乙女さんはすっかり僕たちに心を開いています。

僕たちは、実際にはそこまでするつもりで来てはいませんでしたが、虹銭の話が考えを変えました。
渉くんが入れたものがただのワッシャーでなかったなら・・・。


「ええ。会わせてください」。


敵地侵入。


今週の評語：サボらず押そう！今日のひとポチ

人気ブログランキング

　　　　ギャラリー：早乙女ちゃんへ→

mixiに「ぼくちゅうコミュ」ついに1300名突破~~！。mixiやってる方、ぜひどうぞ！
参加ご希望でmixi招待状の欲しいかたは、トップページから!

関連記事

• 12章-第44話 VS教祖(12)
• 12章-第43話 VS教祖(11)
• 12章-第42話 VS教祖(10)