ぼくたちと駐在さんの700日戦争

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やばい・・・。30分短縮されてしまった・・・。

　たのむ！『PrettyGirl』！お願いだからどスケベであってくれ！

僕はかつて一度もしたことのない種類の祈りを天にささげました。
天だってこんな願い事、かなり珍しいだろうとは思いますが。

しかし『美少女遊戯』であの有様。
青いボールペンで書かれた『PrettyGirl』の文字に、不安を抱くなというほうが無理というものでした。

巻き戻され、映写機でカラカラと音をたてるフィルムを、不愉快そうにはずす駐在さん。
幸いだったのは、駐在さんがここでフィルム交換に手間取り、かなりの時間をくったことでした。

そしてようやく2本目。
『PrettyGirl』。上映開始！

さっきと似たようなタイトル文字。

『PrettyGirl』

ああ・・・もういいや・・・やめて・・・・。

そして画面には悪い予感を上回り


　熊どアップ！


「デートリッヒだ・・・」。
「ほんとだ。デートリッヒだ・・・」。
「あーあ・・・」。

駐在さんは、すでに怒りで鼻をフンフン言わせてます。
五十嵐さんは、さらに期待が大きかったようで、スクリーンではなく僕を睨んでいました。

いや・・・僕を睨まれても・・・・・


　　が

異変はこの後すぐにおきました。

画面は夏の風景に切り替わり、庭では2、3歳くらいの時の夕子ちゃんがはしゃいでいます。

なるほど。こりゃ可愛い。PrettyGirlだ。

と、
画面が切り替わり、そこにはプール遊びする夕子ちゃん。
庭におかれたゴムプールで、夕子ちゃんが水遊びをしていましたが、なんとフルヌード！
まぁ。3歳ですけどね。

駐在さんは、怒りで肩がふるえています。

が、西条くん達は少し違いました。

「お！夕子ちゃん、フルヌード！」
「ほんとだぁ～～～～」。
「って。お前ら、3歳くらいでもうれしいのか？情けない」。
「ふふふ。お前らあまいな。おいらの目には時間を調整できる機能がついているのさ！」

そういうのを妄想って言うんだけどね。

「あ。それすごいかも」。
「秘技！13年後タイムワープ！」
「よし！俺もワープ！」
「俺もーーーー」

と、西条くんたちが特殊能力を発揮したところで

　バンッ！

駐在所の扉が突然開きました。

「おまえら！やめろーっ！」

そうです。飛び込んで来たのはグレート井上くん。

あ～～～～ばか～～～～～井上～～～～～～


「んん？井上ぇ？外にいたのか？」
不思議そうにたずねる駐在さん。

そしてそこからはのっぽさん部隊の作業がまる見え。

「んん？」
当然五十嵐さんも気づきました。
思わぬところでグレート井上くんの「妹思い」があだに。

「ああああああ！」

バレ。


あわてて外に飛び出した五十嵐さん。

「あ～～～～～。お、俺の、俺のし、し、白バイがぁ～～～～～」。

「ば、ば、ば、バラバラ・・・・・」。

呆然とたたずむ五十嵐さんに、対応はジェミー。

「いや。エンジンだけですよ」。

「じゅうぶんすぎるわ！ばか！」

「そんなに褒められても・・・」。

「褒めてねぇ！」

「そうでしたか～・・・」。

「ど、どこの高校生が白バイばらす！」

「ここいらの高校生が・・・」。

「そういう意味じゃねーよ！」

　ガツッ！

五十嵐さん。おもいっきりヘルメットでジェミーを殴打。

「す、すぐにもとにもどします～～～」。

「あたりまえだ！」


駐在さん。さすがに慣れておりますので、読んでいます。

「はは～～ん。ブルーフィルムとかって言いながらこれが狙いか」。

「いやぁ・・・」。

「お前ら！白バイになにした？」

「いえ。なにも。別に。ちょっと白バイの構造がどうなってるかなぁ～って」。
「そうそう。社会勉強です」。
「だってほら。750なんてそうそうないし・・・」。

「だからって白バイか！考えられんやつらだな。ったく！」

映画鑑賞組は、のっぽさん部隊が対応に当たっている間に次から次に逃亡。

結局、僕とグレート井上くんが2時間の説教を受けることになり、その間チャーリーたちが五十嵐さん監視のもと、ピンクバイ復旧作業にあたりました。


やがてあたりが夕焼けに照らされる頃になり、ようやくピンクバイ、復旧完了。

「どうもすいませんでした～～～～」。

「まったく油断もスキもないな！お前ら！」

「もうしませ～～～ん」。

「お前らのその台詞は聞き飽きた！」
ブツブツ言いながらセルを回す五十嵐さん。

「うん。エンジンはかかるようだな」。

「そらぁもう」。

「二度と白バイばらすんじゃないぞ！っていうか、こういう注意自体したことないぞ。ったく！」

「は～～～～い」。

クルルルル～～～～

意外にスムーズに走り出した白バイでした。

が。

クウゥーーーン、クワァーーーーン

100mほど先。ギヤが3rdあたりに入ったところで。


　バーーーーーン!!!


「あ・・・。爆発した・・・」。
「キャブって大事なんだな・・・」。
「ああ。エンジンの心臓部だもんな・・・」。

しかし結論は

「よかった。交換して」。


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