ぼくたちと駐在さんの700日戦争

「ん？まてよ？お前とお欄さんだとー。孝昭の兄ちゃんになってー」
また始まったか？

「で、夕子ちゃんだと弟になるわけだから～」
何言いたいんだ？

「おまえら3兄弟じゃん！」

いや。重婚だから。それ。
なんで一緒に結婚する？

「ってことは井上が長男なんだ。おもしれー！年齢ちょうど逆だな！」

だからなんで嫁が2人いるんだよ・・・・。西条・・・。

しかし西条くん。止まりません。
「で。井上がおたかさんと結婚するとぉ・・・・」

またややこしいことを・・・

「えっと～・・・」。

西条くん、なぜか指を折って考えていますが


「えっと。大家族だな！」

ほらみろ。わからないんなら言わなきゃいいものを。


しかし西条くん。ひるみません。
「孝昭。姉ちゃん結婚すると、お前警察官の弟だ！」

今度の標的は孝昭。

「え？あー、そうだな」。

「悪いことし放題だな～～～～」。

そういうもんか？

「っていうか、真っ先に捕まるんじゃないか？」
グレート井上くん。正論。

「うん。なにか事件おきても、容疑者の一人は家にいるんだから楽だな」。

「なんでだっ！」

しかし孝昭くん。
お兄さんができるかもしれない、という立場にちょっと複雑そうです。
照れくさそうでもあり、寂しそうでもあり。
しかし、ここでもう一人、複雑な表情をしていることに、僕たちは気づいていませんでした。


孝昭くん。喫煙で停学中でありながらも、当然反省の色はなく、さっきからマルボロがんがん吸いまくり。
おかげで部屋はモウモウとしています。

「孝昭ぃ。停学中くらいタバコやめれば？」

「あ？やなこった。俺にタバコやめさせたかったら乳首でも持ってこい」。

吸う、という共通点？

「それより、お前ら。酒でも飲むか？」

これです。
この反省のなさ！

これをうけて久保くんが、かつて知ったる他人の部屋でトリスの瓶と、グラスを5つ出しました。

「え～。お前ら飲むわけ？」

「まぁ、停学中なんざ、ほかにやることねぇしな。せっかく明日も休みだし」。

いや、明日休みなのは停学中のお前だけだぞ。


しかし、3悪が互いにつぎあいを始めてしまいました。

「知らないぞ。孝昭。ダブル停学くらっても」。

「ダブル停学？なんか新しい電話の料金制度みたいだな」。

「なにそれ？」「？」「？」　au by KDDI？


「あ。俺も飲も～～～っと！」
と、千葉くん。

「じゃ、俺も」。
そして西条くんも。

高校生くらいというのは、どういうわけかこういう背伸びが好きなものです。
いつしか会議そっちのけで、どんどんできあがっていく5人。

「お。千葉、いけるくちなんだなぁ～」。
「もっといけ！」
「おお」。


が



「だーーーはっはっはっはっはーーーーー！」

「やべ！」
「だ、誰か千葉止めろ！」
「止めろったって・・・」

千葉くん、あっと言う間に酒が回り大暴走！

「ばす～～～ん！ばす～～～ん！ばす～～～ん」

「げ！こいつ、こんなに酒癖悪かったのか～～～～」。
「いや。そもそも千葉飲んだのって見たことねぇもん」。
「まいったなー」。
「しかし、こいつなんだってこんなに馬鹿力なんだ？」
「だいたいなんで飲むんだ。こいつ！」

とにかく上へ下への大騒動！

「さ、西条！千葉を止めろよ！」
が、西条くん。できあがってこの騒ぎのさなか爆睡。
こいつも酒弱いのか・・・。

僕たちが集団で千葉くんをおさえつけようとしますが、とにかくその怪力！
まったく我々をよせつけません。

やがて

「7番、ちば！まいりまーーーーーす！」

いや。まいるってどこへ？
っていうか7番ってなに？

疑問に思う間もなく、千葉くん、部屋の扉を開け、千鳥足で外に出ようとしました。

が。

「うるさいねぇ。なにやってんだい？お前ら！」


「あーー、おら・・・早苗姉さん！」

そうです。ちょうど早苗姉さん、ご帰宅。

千葉くん。うつろな目で早苗お姉さんをにらむと



「ばす～～～～～～～～ん」


「あ！」「え！」「ああああ！」


千葉くん。あろうことか早苗お姉さんに、いきなり抱擁！

「うそ・・・」。
「やべ・・・」。
「千葉・・・」。



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