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俺たちは、ただ必死にペダルを漕いだ。
そうしていれば、まるで、時間をも追い越せるような気がして。
やがてそのペダルが、錆び付いて動かなくなることを知りながら。
と、言うわけで、『俺たちは風』続編です。
内容とかけはなれたポエジーな導入部は、当然「直木賞」を意識してのことでございますが、とりあえず「まともなことも書けるんだ」ということだけ、ご理解いただければけっこうです。
前編をお読みでないかたは、『俺たちは風(前編)』よりお読みください。こっちから先に読もうなんざ10年早いのでございます。
さて。ねずみ獲りレーダーで、自転車は捕まるのか?
この人類永劫の謎に挑戦することにいたしました我々ですが、とりあえず、自転車が何キロオーバーまで出せるのか知らなくてはなりません。
そこで捕まったヤツの原付と、自転車を並走させまして、自転車の速度を測定することにいたしました。
いちいち全員やってられませんから、「最も速度超過できるであろう」陸上部にいたやつの記録をとることに決定。
自転車は、スーパーカー「ロードマン」です。ロードマンの開発者(ブリヂストン)も、よもやこんなしょうもないことに使用されるとは思ってもみなかったでしょう。

<ブリヂストン・ロードマン>
で。ロードマンの最高速度。
なんと。「58km」でございました。すげ!
と言うか、もっと出たのだと思いますが、並走した原付バイクがボロで、これ以上計れなかったのです。
いずれにせよ、この大記録に我々は驚喜いたしました。
「やった!ぜんぜん速度オーバーじゃん!」
「ああ。これなららくらく違反間違いなしだ!」
「うまくいけば30kmオーバーも夢じゃないぜ!」
もう、この会話自体、尋常じゃありません。
この広い日本国でかつてかわされたことがあったのかどうか・・・。
これで「違反」確定!
あとは出発するのみ、です。
順番は「インパクトが大切」ということで(そういう問題か?)、ロードマンくんがトップに決定。
次からは、単独ではなく2台ずつの出走、ということにしました。
これは万一の際、逃走に便利だからです。
我々は、良くも悪くも、こういったシチュエーションに馴れておりました。
そうこうしているうちに、後方で待機していた仲間より「車が来たぞ」サイン。
さぁ。第一走者スタートです!
ちょうど軽自動車が見えたか見えないかのうちに、彼は猛烈な勢いでレーダーへと向かって走り出しました。
それはまるで国家権力にひとり立ち向かうヒーローのようでもありました。
我々は、その結果を知るため、道路に出て、彼の背中を見守りました。
彼は速かった!
後方から来た車が、ぜんぜん追いつけません。
そして、レーダー前を全速力で通過!
一瞬。おまわりさんが道路に出て来たのが確認できましたが、彼は捕まりませんでした。
やった!
実験結果は「つかまらない」ということです。
我々は、彼が裏通りから戻ってくるのを待ちました。
とりあえず、飛び出した警官が気になったのです。
やがて息をきらして第一走者がもどってきました。
「どうだった?」
興味津々のみんな。
すると
「なんか声かけられたけど・・・」
お?
「でも、無視しちゃった」
ふむぅ〜。微妙な結果。
これではよくわからないので、第2走者と第3走者を送り出すことに決定。
まぁ、いずれにしても全員走るつもりでおりましたが。
というわけで、第2、第3走者は2台で全速力!
並走すると捕まりますから、縦2台。
これをわくわくと後方から見守る我々。
と。またおまわりさんが飛び出しました。
彼らは、これをよけるようにして通過。
やがて2人も、息を切らしてもどってきました。
「止められた」
え!
「でも無視してきた」
あやしい雲行きです。
ひょっとして捕まるのか?
いや。こちらには速度計も免許もありません。つまり捕まる根拠そのものがないはず。
結論は単純でした。
「じゃぁ次行こう!」
第4、第5走者もまったく同じ結果でした。
そして異変は第6走者でおきました。
続々編へつづく
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俺たちは、ただ必死にペダルを漕いだ。
そうしていれば、まるで、時間をも追い越せるような気がして。
やがてそのペダルが、錆び付いて動かなくなることを知りながら。
と、言うわけで、『俺たちは風』続編です。
内容とかけはなれたポエジーな導入部は、当然「直木賞」を意識してのことでございますが、とりあえず「まともなことも書けるんだ」ということだけ、ご理解いただければけっこうです。
前編をお読みでないかたは、『俺たちは風(前編)』よりお読みください。こっちから先に読もうなんざ10年早いのでございます。
さて。ねずみ獲りレーダーで、自転車は捕まるのか?
この人類永劫の謎に挑戦することにいたしました我々ですが、とりあえず、自転車が何キロオーバーまで出せるのか知らなくてはなりません。
そこで捕まったヤツの原付と、自転車を並走させまして、自転車の速度を測定することにいたしました。
いちいち全員やってられませんから、「最も速度超過できるであろう」陸上部にいたやつの記録をとることに決定。
自転車は、スーパーカー「ロードマン」です。ロードマンの開発者(ブリヂストン)も、よもやこんなしょうもないことに使用されるとは思ってもみなかったでしょう。

<ブリヂストン・ロードマン>
で。ロードマンの最高速度。
なんと。「58km」でございました。すげ!
と言うか、もっと出たのだと思いますが、並走した原付バイクがボロで、これ以上計れなかったのです。
いずれにせよ、この大記録に我々は驚喜いたしました。
「やった!ぜんぜん速度オーバーじゃん!」
「ああ。これなららくらく違反間違いなしだ!」
「うまくいけば30kmオーバーも夢じゃないぜ!」
もう、この会話自体、尋常じゃありません。
この広い日本国でかつてかわされたことがあったのかどうか・・・。
これで「違反」確定!
あとは出発するのみ、です。
順番は「インパクトが大切」ということで(そういう問題か?)、ロードマンくんがトップに決定。
次からは、単独ではなく2台ずつの出走、ということにしました。
これは万一の際、逃走に便利だからです。
我々は、良くも悪くも、こういったシチュエーションに馴れておりました。
そうこうしているうちに、後方で待機していた仲間より「車が来たぞ」サイン。
さぁ。第一走者スタートです!
ちょうど軽自動車が見えたか見えないかのうちに、彼は猛烈な勢いでレーダーへと向かって走り出しました。
それはまるで国家権力にひとり立ち向かうヒーローのようでもありました。
我々は、その結果を知るため、道路に出て、彼の背中を見守りました。
彼は速かった!
後方から来た車が、ぜんぜん追いつけません。
そして、レーダー前を全速力で通過!
一瞬。おまわりさんが道路に出て来たのが確認できましたが、彼は捕まりませんでした。
やった!
実験結果は「つかまらない」ということです。
我々は、彼が裏通りから戻ってくるのを待ちました。
とりあえず、飛び出した警官が気になったのです。
やがて息をきらして第一走者がもどってきました。
「どうだった?」
興味津々のみんな。
すると
「なんか声かけられたけど・・・」
お?
「でも、無視しちゃった」
ふむぅ〜。微妙な結果。
これではよくわからないので、第2走者と第3走者を送り出すことに決定。
まぁ、いずれにしても全員走るつもりでおりましたが。
というわけで、第2、第3走者は2台で全速力!
並走すると捕まりますから、縦2台。
これをわくわくと後方から見守る我々。
と。またおまわりさんが飛び出しました。
彼らは、これをよけるようにして通過。
やがて2人も、息を切らしてもどってきました。
「止められた」
え!
「でも無視してきた」
あやしい雲行きです。
ひょっとして捕まるのか?
いや。こちらには速度計も免許もありません。つまり捕まる根拠そのものがないはず。
結論は単純でした。
「じゃぁ次行こう!」
第4、第5走者もまったく同じ結果でした。
そして異変は第6走者でおきました。
続々編へつづく
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- 序章『俺たちは風』(続々編)
- 序章『俺たちは風』(続編)
- 序章『俺たちは風』(前編)
なんと!信じられないことに、ここだけ、まだ誰もコメント入れていませんでした。
なので、おくらばせながら、新雪に足跡をつけるようなワクワクした気持ちで、書き込みしました。
応援しています。
もう!ぼくちゅう廃人になりそうです。
最近読み始めたばかりなのですが、まず、ストーリーを読み終わったところで、これからコメントを読み始めたところです。
あ、書籍化もおめでとうございます!
あ、月澤サンだ(?▽?;
シマッタ…先を越されたかw
アタシは只単に仕事が休みでヒマになったから読み返してるなんていいませんよ、えぇ(?^?;
>るみちょさん
先を越しました(笑)
誰にも知られずにひっそりとコメントを残したつもりでしたが、見つかっちゃいました。
くろわっさんも気づいてないかも?
けっこうあったよ。初めて読んだとき。
ちょっとくやしい・・・
面白いですね^^これから読み始めますw
コメント読むのも楽しいですね また時間かかりそうで怖いです 笑
書籍化されてるのですね、すごい。
また続きが気になりますね。
私も駐在の人との苦い経験がありまして・・・・・
初めまして。映画化おめでとうごさいます。はてさて、面白おかしく見させて貰いました。紹介したurlのサイトでも同じ考えを持っている人が語ってましたが、車両は決められたスピード以上を出すと捕まるそうで、自転車はセーフと思いきや、法律では自転車も車両なので警官が捕まえようと思えば捕まえても不当逮捕にならないそうです。ほんで世界記録を持ってる100m走ランナーが警官の前で走ると車両じゃないからセーフなんだそうな。でも、警官の前を走り抜けて、警官が注意しても、味を占めて何度も繰り返すと、お仕事を邪魔したら公務妨害罪でこれまた捕まるかも、、、だそうですよ。
???
ほんとに読まれました?
まぁ。続けてごらんください。
このコメントは管理人のみ閲覧できます
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人類永劫の謎に立ち向かうママチャリさんたちカッコいいな~(笑)
みんなの、気持ちがわかります。気になりますよね、自転車の実験のこと。ぼくも、気になってました。この小説のおかげでスッキリです。
おもしろい
ついさっきFC2ブログのアクセス数ランキングから飛んできて読み始めたんですがおもしろいですね!!
前(3年生のころ)に1回だけ坂になっている曲がり角でアホみたいに吹っ飛んで墜落しました。(笑)
やっぱり…すごい試みですね!誰もが(?)一度は疑問に思う事を、検証?(実行)するなんて!…(笑)疑問に思ったら自分達で体を張って調べてみる…学生の鏡です!
面白いですね。私は36才の中年でしたが、昔はこういう遊びが流行りました。自分は交差点を左右見ずに自転車で突進し、車に当たらないか?なんていう遊びをやりましたよ。
今の時代じゃ信じられません。交通量も少なく田舎だったからできたんでしょうけど。
凄いコトやりますネ。映画も見ましたが
もう少し暑くなったら、ぼくちゅうの舞台と
なった季節ですね。あこがれます。
やってみたいです!色んなイタズラ。
怖いからやりませんけど…
私はこのブログを映画で知りました。
いやァ、メッチャ面白いですね!
やってみたいなぁ・・・こういう事
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いやぁ
このへんはコメント
やっぱり少ないですね。
始まったころから
ぼくちゅうをしっていればな、
とおもいます。
やっぱりぼくちゅうは
面白いですね。
学校などで、本を貸し借りし、一部ブームになっています。
直木賞、いけますよ♪w
青春だー(゜゜
ベトナム人の私は内容は100%分かりませんが、面白い。
これから読み続きます。
映画でまたやらないかな・・・・と思います。
もっと早くして
ぼくちゅうサイコオオオオオオオオオ~~~~~~~~~~~~~~~~~
オイラにそんなスピードがあれば三振の山なのに・・・
あ。スピード違いか。
は・・・速い
チャリンコで58キロを出せるなんて
第一走者の使った「ロードマン」って村山くんのですよね
俺も捕まりました。つい最近。下り坂で。レッドカードという名の違反キップをもらい、、、
今は厳しいからね
よい子は真似しないように