<シリアスに第一幕終了です>
「理恵は、どうして西高受けたの?」
”わたし?わたしは‥‥‥‥”
受話器の向こう側で、理恵は少し口ごもった。
彼女は、井上クンを好きだったけど、高校になってから知り合った。
つまり。私のように「好きな人を追っかけて」とかのバカな理由じゃない。きっと。
そう。私は、理恵に期待してた。
「いいかげん男に人生左右されんのやめたら?」っていう‥‥‥‥
お説教めいた答えを。
理恵の口ぐせみたいなものだったから。
でも私は‥‥‥‥
私は、やっぱり「男と女はちがう」って思うんだ。
生き物としての「女」を考えたら、私はもう18歳で、とっくに子供を産める。
たぶん、って言うか、もちろんカレの子供だ(照)
それから、子供を育てるために人生の大半を費やす。お母さんがして来たように。
お母さんは20歳で結婚した。今の私と2歳もちがわない。
そして、21歳では姉を出産している。
恋が「母になる」延長線上にある以上、その相手を選ぶのは、女の子にとってとても重要で。
私が、カレに惹かれ続けるのも、最終的にはカレの子供がほしいから、だと思う。実感はないけど。
カレとキスして、なんとなーく分かった。
ああ、そうなんだな、って‥‥‥‥。
逆に、男であるカレは、本能として、母親のタカさんより「頭のいい」子孫をたくさん残したいわけだから、
バナナちゃんに惹かれるのも、美奈子さんにも、
あるいは‥‥‥‥‥
きっと、理恵にも惹かれたんだろう。
男には、女とちがって子育ての期間がない。
文化とか理性とかがなければ、あっちにもこっちにも子孫をつくろうとするわけで‥‥‥‥。
女である私が、それを阻止しようとするのも、また、当たり前のことだ。
ようやっと理恵、
”‥‥‥‥‥笑わない?”
「笑わないよ?どうして?」
”えっとねー‥‥‥‥‥‥”
理恵の答えは、まったく予想外なものだった。
”Mくんが西高に入るって言ったから‥‥‥‥だよ”
「Mくんって‥‥‥‥‥、森田くん?」
”はぁあ?なんでアンタの世界って、そうアイツ中心なワケ?”
「ご‥‥‥‥ごめん」
理恵の言うMくんは、学年でも一番くらいに目立たなそうな、すごくマジメな男の子。
口数も少なくって、学校休んだって誰も気づかないくらいの。
そのこと自体、驚きだったけど、
”そのMくんがね‥‥‥‥‥”
一中でも、学年中を敵にまわしていた理恵を弁護したことがあるのだと言う。
たったひとりだけで。
”うれしかったんだ”
理恵がそういう言いかたするのも珍しい。
”なんかね。人に守られたのって、Mくんと‥‥‥‥あとはアンタのカレシくらいだから”
そうだった。
理恵は、父親に守られたことがない。
正確には、2番目以降の父親に、だけど。
”アンタみたいな『恋』ってのとはちがうんだけどね。味方少ないから。‥‥‥‥‥‥‥‥笑う?”
「ううん‥‥‥‥‥‥」
なんてことだろう。
理恵は、私がカレを好きになったのと、まったく同じ理由で、受験校を決めていた。
それで、ようやくわかった。
女はきっと「守られたい」のだ。
おそらくだけど、妊娠と子育ての期間、自分を守るすべがないから。
だから自分を守れる男性に惹かれる‥‥‥‥。
「ありがとう。理恵」
”はあ?ヘンな和美”
カレは、私でない女性でも守ろうとする。
それが気に入らない。
それが私の「ジェラシー」の正体、だ。
理恵との電話を切った後、すぐにカレに電話した。
「ねぇ‥‥‥‥おねがいがあるの」
”なに?”
「あのね‥‥‥‥‥」
「あたしだけを守って」
”はぁあ?”
「あたしだけを守って。そのために‥‥‥‥‥」
私は、あなたと同じ学校を選んだのだから。
そして‥‥‥‥‥あなたを選んだのだから。
「その代わりに、ね?」
”その代わり?”
「ううん。なんでもないヨ」
”なんだよ、言えよ”
”え?気になる!その代わり、なんだよ?”
さすがに「あなたの赤ちゃん産んであげる」は、言えないなぁ‥‥‥‥‥。
『和美ちゃんの受験事情』 - おしまい -
快傑チバット(予告)へ→
「理恵は、どうして西高受けたの?」
”わたし?わたしは‥‥‥‥”
受話器の向こう側で、理恵は少し口ごもった。
彼女は、井上クンを好きだったけど、高校になってから知り合った。
つまり。私のように「好きな人を追っかけて」とかのバカな理由じゃない。きっと。
そう。私は、理恵に期待してた。
「いいかげん男に人生左右されんのやめたら?」っていう‥‥‥‥
お説教めいた答えを。
理恵の口ぐせみたいなものだったから。
でも私は‥‥‥‥
私は、やっぱり「男と女はちがう」って思うんだ。
生き物としての「女」を考えたら、私はもう18歳で、とっくに子供を産める。
たぶん、って言うか、もちろんカレの子供だ(照)
それから、子供を育てるために人生の大半を費やす。お母さんがして来たように。
お母さんは20歳で結婚した。今の私と2歳もちがわない。
そして、21歳では姉を出産している。
恋が「母になる」延長線上にある以上、その相手を選ぶのは、女の子にとってとても重要で。
私が、カレに惹かれ続けるのも、最終的にはカレの子供がほしいから、だと思う。実感はないけど。
カレとキスして、なんとなーく分かった。
ああ、そうなんだな、って‥‥‥‥。
逆に、男であるカレは、本能として、母親のタカさんより「頭のいい」子孫をたくさん残したいわけだから、
バナナちゃんに惹かれるのも、美奈子さんにも、
あるいは‥‥‥‥‥
きっと、理恵にも惹かれたんだろう。
男には、女とちがって子育ての期間がない。
文化とか理性とかがなければ、あっちにもこっちにも子孫をつくろうとするわけで‥‥‥‥。
女である私が、それを阻止しようとするのも、また、当たり前のことだ。
ようやっと理恵、
”‥‥‥‥‥笑わない?”
「笑わないよ?どうして?」
”えっとねー‥‥‥‥‥‥”
理恵の答えは、まったく予想外なものだった。
”Mくんが西高に入るって言ったから‥‥‥‥だよ”
「Mくんって‥‥‥‥‥、森田くん?」
”はぁあ?なんでアンタの世界って、そうアイツ中心なワケ?”
「ご‥‥‥‥ごめん」
理恵の言うMくんは、学年でも一番くらいに目立たなそうな、すごくマジメな男の子。
口数も少なくって、学校休んだって誰も気づかないくらいの。
そのこと自体、驚きだったけど、
”そのMくんがね‥‥‥‥‥”
一中でも、学年中を敵にまわしていた理恵を弁護したことがあるのだと言う。
たったひとりだけで。
”うれしかったんだ”
理恵がそういう言いかたするのも珍しい。
”なんかね。人に守られたのって、Mくんと‥‥‥‥あとはアンタのカレシくらいだから”
そうだった。
理恵は、父親に守られたことがない。
正確には、2番目以降の父親に、だけど。
”アンタみたいな『恋』ってのとはちがうんだけどね。味方少ないから。‥‥‥‥‥‥‥‥笑う?”
「ううん‥‥‥‥‥‥」
なんてことだろう。
理恵は、私がカレを好きになったのと、まったく同じ理由で、受験校を決めていた。
それで、ようやくわかった。
女はきっと「守られたい」のだ。
おそらくだけど、妊娠と子育ての期間、自分を守るすべがないから。
だから自分を守れる男性に惹かれる‥‥‥‥。
「ありがとう。理恵」
”はあ?ヘンな和美”
カレは、私でない女性でも守ろうとする。
それが気に入らない。
それが私の「ジェラシー」の正体、だ。
理恵との電話を切った後、すぐにカレに電話した。
「ねぇ‥‥‥‥おねがいがあるの」
”なに?”
「あのね‥‥‥‥‥」
「あたしだけを守って」
”はぁあ?”
「あたしだけを守って。そのために‥‥‥‥‥」
私は、あなたと同じ学校を選んだのだから。
そして‥‥‥‥‥あなたを選んだのだから。
「その代わりに、ね?」
”その代わり?”
「ううん。なんでもないヨ」
”なんだよ、言えよ”
”え?気になる!その代わり、なんだよ?”
さすがに「あなたの赤ちゃん産んであげる」は、言えないなぁ‥‥‥‥‥。
『和美ちゃんの受験事情』 - おしまい -
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- 快傑チバット!(予告)
- 受験スペシャル『和美ちゃんの受験事情』(5)
- 受験スペシャル『和美ちゃんの受験事情』(4)
やっぱり和美ちゃんはいい子ですね~(*^^*)
その代わりの先を言ったら、ママチャリくんは頭が真っ白になるかな?(笑)
和美ちゃんみたいな彼女欲しいなぁ笑
あんなに想ってくれる人はママチャリにはもったいないね♪
>かほりんちゃん
>つーくん
よくコメントしてくれました!
感謝!
信じがたいことですが、当時の高3くらいの女子には、こういう意識が少なからずあったみたいです。
当時、女子が話してくれたことが元になってるので。
なんか、とりとめもないショートですみません。
あれ?誰もいらっしゃらない?
深いですね!
和美ちゃんそりゃ~最後のせりふは言えないよね><。
でもママチャリさんにはまた疑問が残って和美ちゃんに質問しちゃうかもしれないですね(^-^)
理恵ちゃんの志望理由も意外でした!
でも女の子ってこういう所がかわいらしいし一生懸命なんですよね~
あぁぁ勘違いだった
人いらっしゃった・・・(>_<;)
はずかしっ(*ノ▽ノ)
和美ちゃん…
切なすぎて泣けてきます
いい子だー‼︎
>ポピーちゃん
結論から言いますと、高校時代にこのセリフ言われたことあります(笑)
今のJKよりは、だいぶ大人でしたね。当時の女子高生。
なんか素敵なお話でした。
同じ女の子でも、夕子ちゃんとの対比がおもしろいですね。
昔の方が結婚時期が早いだけに、精神的に?感覚的に?大人になるのが早いのですかね?
僕ちゅう大好きでよく読んでます。
最近更新大変なのかあまり更新されないのが辛いです泣
がんばってください!!
5年3組も楽しく読んでます!
子供の名前真琴にしようかな笑
なんだろう・・・
彼女ができたら見栄とか意地とか
とりあえずどっか置いて守ってやりたいと思った。
彼女居たためしがないけど・・・
確かに。
当時の18歳女子=自分が結婚しないなんて考えられない。
今時の18歳女子=自分が結婚することなんて想像できない。
くらいの違いがありますね。それ程結婚が当たり前の時代でした。自分にとっても周囲の目も。
お疲れ様でしたm(_ _)m
小町‥‥
まさかの森田博士!?
小町を女性扱いした唯一の男‥河野かと思った
守るかぁ~今になって何となく理解できますね~
年相応に何度も結婚話ありましたが守ったことある女性のが相手からの求愛が強かったような気がします
当時は 女の子は高校卒業したら 進学しないで就職したり家事手伝いなんてのもありましたし、結婚する年齢も 今よりもっと早かったと思います。
だから、男の子よりも ずっと早く大人になっていたんでしょうね。
それにしても 小町が西高に来た理由に驚きました。
小町、可愛いなって 改めて思いました。
小町が西高校に入った理由、かわいらしいです(*^^*)こういう意識が今のJKにもあったら、ちょっとは少子化食い止められるかもしれないですねww
やっぱり和美ちゃんはかわいいですね〜
和美ちゃんは、西高を選んでよかったですね
成る程~ですね。私が18歳のときなんて、恋はしてても自分が結婚するとか考えてませんでした。遠い未来のことに感じてましたね。
深いなぁ〜
なかなかそれは言えないですねぇ
和美ちゃんええこや〜
僕もこんな彼女が欲しいです>_<
人生を見つめるのが早いんですね。
ママチャリくんは手が早いけどね。
和美ちゃんて本当に大人ですね~!
同じ年の頃なんか、勉強しなくてすむ方法を考えてました…
学校のレポートに追われてる最中に読んだのでほっこりしました(*^^*)
しんどいですがレポートがんばれます(-_-;)
Mくんってどんな人だったんでしょう
なんて素敵な話だーーーー!
こんな大人な女子の思いに男子はどのように答えてあげればいいのだろう・・・
素晴らしい女性ってのは和美ちゃんの様な女性を言うんでしょうね(-_-)
ぼくちゅうの中の女性は素晴らしい方が多いですね(^ ^)
理恵ちゃんが西高選んだ理由以外でした
確かに守られないな
味方になってくれる人はかっこいいし頼れますもんね
女性のしんりですね
Mくんって誰でしょうか?
未登場キャラですかね
私も進路を考える時は結婚相手に合わせて
決めようとしていました。
ただ困ったのは結婚相手どころか結婚したい相手もいなかったために
ちっとも具体的に考えることが出来なかったことです(笑)
そんなことがあったとは...‼
女は「守られたい」
当たり前のことだけど1番大事なんですね
このシリーズ読んで女の人って男よりも大人だな〜って思いました‼
楽しませていただきました🎶