<冒頭は、1度紹介してますね、原稿になると少しちがいます>
第1話 護美(ごみ)は世につれ
人は、往々にして、印象や先入観で物事を判断しがちです。
例えば、そこにある球状の物体。
直径は20cm余り。材質はゴム、白と黒の模様。
多くの人は、自らの知識や経験から、それを「サッカーボール」と言うでしょう。
けれども、はたしてそれは本当に「サッカーボール」なのでしょうか?
実はそう思い込んでいるだけで、まったく違う物体である可能性はないでしょうか?
“♪ご町内のみなさま〜〜こちらは〜毎度おなじみ〜〜〜”
毎度おなじみ廃品回収*です。
“♪ご家庭でご不要になりました〜、古新聞〜、古雑誌〜”
“〜〜〜ボロ切れ〜〜、現金などございましたら〜〜多少に関わらず〜‥”
“待て待て待て‥‥。西条”
実は、毎度おなじみの高校生です。
“井上、マイク入ったまんまなんだから騒ぐなよ”
“いくらなんでも『現金』はないだろ。バカか!”
“多少に関わらずって言ってんじゃん”
“多少もない!真面目にやれ!”
“わかったわかった‥‥”
我々が「廃品回収業」に手を染めたのは、高校3年の秋から。きっかけは、駐在さんの半ば強制的な斡旋でした(12巻参照)。
その当時、僕たちは経済的に困窮しており、お金が必要でした。
理由は「馬を買った」から。(ありえね〜〜)
ところがこの商売。やってみると、そこそこに儲かる上、日曜だけでいいので、高校生には大変に都合がよく、その後も当番制で続けていたのです。
“♪ご家庭で〜ご不要になりました〜古新聞〜〜〜古雑誌〜〜〜、妹などございましたら〜〜”
“西条ぉぉぉぉぉお!”
“だから、マイク入ったまんまで騒ぐなって”
“なんだ、『妹など』って!!ご不要になるか!!”
“誰も夕子ちゃんって言ってねーだろ?”
この日の当番は、西条くんとグレート井上くん。トラックの運転は村山くん。
くじ引きで決まりました。
“♪ご家庭で〜ご不要になりました〜、古新聞〜〜、古雑誌〜、ボロ切れ〜、妹の下着などございましたら〜〜”
“西条ぉぉぉぉぉお!”
“だから、誰も夕子ちゃんって言ってないだろ?”
「よぉ〜、西条。やってんな〜」
“お〜、千葉。なんだ、お前らも夕子ちゃんの下着目当てか?”
“言ってるだろっ!!”
「井上。どうでもいいけど町中に聞こえてるぞ?」
(※1978年にTDKがエンドレスカセットテープ『EC-6』を発売するまで、移動販売車などの放送は生だった)
当番の集めた回収品は、最後に建場(回収品を集めて回る元締め業者のこと)に渡すために分別をしなくてはなりません。
古紙は段ボールと新聞・雑誌類、金属は銅(あかがね)とブリキ類、ボロ切れは、綿類とナイロンなどの化学繊維類に、といった具合。
ちなみにボロ切れは、「妹の下着」とかのマニアックな話ではなく、主に工業用の拭き取り布(ウエス)として再生されるのです。
(※ウエスは新しい布では役にたたないため。そういう意味では「妹の下着」と似ていないでもない)
分別は、たいへんに手間のかかる作業なので、みんなが協力に来たのです。
特にこの日は、受験を控えたグレート井上くんが当番でしたから。
「あとは俺らがやるから、井上はもう帰っていいぞ」
「受験勉強あんだろ?」
「そうだったのか。悪いな、みんな‥‥」
美しい友情です。
「いいっていいって〜」
「村山、送ってやれよ。トラックは河野がなんとかすっから」
「ああ‥‥いいよ」
美しい友情に見えます。が、はたしてそうでしょうか?
「仲間って‥‥、いいよな‥‥‥‥」
「俺たちの友情は永遠だぜ!」
はたしてそうでしょうか?
グレート井上くんが痛く恐縮しながら帰宅すると‥‥
「よっしゃぁーー!井上、帰った〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「西条、どうだ?掘り出しもんはあったか?」
「おお!あったあった〜。今日は大漁だぜ〜♪」
「どれどれ〜〜〜♪」
古紙の分別には、さらに「エロ本」という男子高校生オプションがあるのです!
が、当番のグレート井上くんは、正義感が強すぎて、回収品から持ち出すことをよしとしません。
つまり、みんなにとっては、「ただのジャマ者」だったのでした‥‥‥。
ここでお断りしておきますが、僕はエロ本が目的ではありません。
グレート井上くんは会計係でもあるので、彼に代わって建場との折衝を行うために来たのです!
誤解なきよう。
「おい、このグラビアの姉ちゃん、和美に似てるぞ」
「え?ホントに?どれ?」
<実名登場者はこちらでも実名で出て来ます>
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第1話 護美(ごみ)は世につれ
人は、往々にして、印象や先入観で物事を判断しがちです。
例えば、そこにある球状の物体。
直径は20cm余り。材質はゴム、白と黒の模様。
多くの人は、自らの知識や経験から、それを「サッカーボール」と言うでしょう。
けれども、はたしてそれは本当に「サッカーボール」なのでしょうか?
実はそう思い込んでいるだけで、まったく違う物体である可能性はないでしょうか?
“♪ご町内のみなさま〜〜こちらは〜毎度おなじみ〜〜〜”
毎度おなじみ廃品回収*です。
“♪ご家庭でご不要になりました〜、古新聞〜、古雑誌〜”
“〜〜〜ボロ切れ〜〜、現金などございましたら〜〜多少に関わらず〜‥”
“待て待て待て‥‥。西条”
実は、毎度おなじみの高校生です。
“井上、マイク入ったまんまなんだから騒ぐなよ”
“いくらなんでも『現金』はないだろ。バカか!”
“多少に関わらずって言ってんじゃん”
“多少もない!真面目にやれ!”
“わかったわかった‥‥”
我々が「廃品回収業」に手を染めたのは、高校3年の秋から。きっかけは、駐在さんの半ば強制的な斡旋でした(12巻参照)。
その当時、僕たちは経済的に困窮しており、お金が必要でした。
理由は「馬を買った」から。(ありえね〜〜)
ところがこの商売。やってみると、そこそこに儲かる上、日曜だけでいいので、高校生には大変に都合がよく、その後も当番制で続けていたのです。
“♪ご家庭で〜ご不要になりました〜古新聞〜〜〜古雑誌〜〜〜、妹などございましたら〜〜”
“西条ぉぉぉぉぉお!”
“だから、マイク入ったまんまで騒ぐなって”
“なんだ、『妹など』って!!ご不要になるか!!”
“誰も夕子ちゃんって言ってねーだろ?”
この日の当番は、西条くんとグレート井上くん。トラックの運転は村山くん。
くじ引きで決まりました。
“♪ご家庭で〜ご不要になりました〜、古新聞〜〜、古雑誌〜、ボロ切れ〜、妹の下着などございましたら〜〜”
“西条ぉぉぉぉぉお!”
“だから、誰も夕子ちゃんって言ってないだろ?”
「よぉ〜、西条。やってんな〜」
“お〜、千葉。なんだ、お前らも夕子ちゃんの下着目当てか?”
“言ってるだろっ!!”
「井上。どうでもいいけど町中に聞こえてるぞ?」
(※1978年にTDKがエンドレスカセットテープ『EC-6』を発売するまで、移動販売車などの放送は生だった)
当番の集めた回収品は、最後に建場(回収品を集めて回る元締め業者のこと)に渡すために分別をしなくてはなりません。
古紙は段ボールと新聞・雑誌類、金属は銅(あかがね)とブリキ類、ボロ切れは、綿類とナイロンなどの化学繊維類に、といった具合。
ちなみにボロ切れは、「妹の下着」とかのマニアックな話ではなく、主に工業用の拭き取り布(ウエス)として再生されるのです。
(※ウエスは新しい布では役にたたないため。そういう意味では「妹の下着」と似ていないでもない)
分別は、たいへんに手間のかかる作業なので、みんなが協力に来たのです。
特にこの日は、受験を控えたグレート井上くんが当番でしたから。
「あとは俺らがやるから、井上はもう帰っていいぞ」
「受験勉強あんだろ?」
「そうだったのか。悪いな、みんな‥‥」
美しい友情です。
「いいっていいって〜」
「村山、送ってやれよ。トラックは河野がなんとかすっから」
「ああ‥‥いいよ」
美しい友情に見えます。が、はたしてそうでしょうか?
「仲間って‥‥、いいよな‥‥‥‥」
「俺たちの友情は永遠だぜ!」
はたしてそうでしょうか?
グレート井上くんが痛く恐縮しながら帰宅すると‥‥
「よっしゃぁーー!井上、帰った〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「西条、どうだ?掘り出しもんはあったか?」
「おお!あったあった〜。今日は大漁だぜ〜♪」
「どれどれ〜〜〜♪」
古紙の分別には、さらに「エロ本」という男子高校生オプションがあるのです!
が、当番のグレート井上くんは、正義感が強すぎて、回収品から持ち出すことをよしとしません。
つまり、みんなにとっては、「ただのジャマ者」だったのでした‥‥‥。
ここでお断りしておきますが、僕はエロ本が目的ではありません。
グレート井上くんは会計係でもあるので、彼に代わって建場との折衝を行うために来たのです!
誤解なきよう。
「おい、このグラビアの姉ちゃん、和美に似てるぞ」
「え?ホントに?どれ?」
<実名登場者はこちらでも実名で出て来ます>
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- 第1話 護美は世につれ
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もしかして一番⁉
西条くんのスケベ感と、井上くんの妹思い。どっちも強烈ですね!
なんか新章が始まる感じ懐かしい!
これ何話まで公開できるんですか?
発売まで延々となんてことはないですよね~
19巻楽しみっす!
会社の暮れの大掃除でやはり下着類ですね、ランニングならともかくブリーフが混じっていた時はゲンナリでしたね。ウエスはパンツ以外で・・・
始まりましたね♪
友情は綺麗だけど、儚く脆いものですね…
久々のコメっ(笑)
妹落ちてないですかねー、ほんとに(笑)
>迷探偵さん
木綿ならブリーフでもウエスになります。
化繊だとパンティでもウエスにはなりません。
だよな〜。ブリーフ出て来たらガッカリだよね。
なんなんでしょう?このパンティとの差は。
>あんくん
ギリまで続けますよ?
誤解なきよう
と、言いつつ、グラビアの姉ちゃんが和美ちゃんに似てると聞くと、反応してしまうんですね(笑)
それでこそ、健康な男子高校生!(笑)
素晴らしい友情ですね!(笑)
みんなの団結力と熱い友情ってやっぱエロ本ww
西条くん・・・・ww
やっぱりエロいなぁー。
確かに子供の頃、トラックのおじさんと目が合うと、マイクで
「おっす!」
とか言ってました。
井上くん邪魔者なんだ・・・。
すごくかわいそう・・・。
こういうバイトって現在でもできるのかなぁ
儲かるならやってみたいなぁ(^O^)
僕も高校生なのでよくわかります(笑)
エロ本を回収業者に出すのも
勇気要りませんか
はたして私は実名登場出来たのか~
ε=ヾ(*~▽~)ノ
早く続きを読みたいです。
高校3年生の時は毎日欠かさず見てたんですけど
大学生になってからは全然見てなくて
(確かラフマニノフあたりで…)
最近また読み始めました!
久々のコメントです!
続きが楽しみですヾ(@⌒ー⌒@)ノ
美しき友情かな。
俺の名前出てるといいなぁ~
初投稿です(^-^)v
これから宜しくお願いしますm(__)m
毎度♪お楽しみの♪ぼく駐が書き下ろしで読めるなんて夢のような企画
さすが 太っ腹なママチャリさん
こちらもガンガン コメ書かせてもらいます(^-^ゞ
友情とは…
まぁ 男子高校生はこんなもんですよね
ママチャリ君、
和美ちゃんに反応してる時点で
ボロ出てますよ(^^;;
最後のセリフは誰かな?www
ありゃ、井上君がいつの間にかジャマ者扱い…
やりたい放題に(笑)
あの時代のエロ本は、確かに貴重でしたね!!
でも古紙回収は
「濡らすと儲かる」という話もありますね。
エロ本とってから。。。。
ま、エロ本を抜くと
「現金収入が減る」だけの話ですね。
どっちも「宝」でしょうけど。。
井上君・・・。
なんか西条くんに押されてるのかちょっとあほになってませんww??
出だしの廃品回収の下り、おぼえてました。
けっこう細かく注釈が入るんですね。
誤解なきよう…って誤解じゃないじゃないですか!w
やっぱりあったら見てしまうものですよね
だって高校生だし・・・
やっと30になりましたよね
次の展開がたのしみです。ママチャリ………ファィト
井上くんを送って行って
村山くんもいなくなってますね。
「みんな」に森田博士は 入っているのでしょうか。
「歌は世につれ 世は歌につれ」…って、何で聞いたんだっけ…?
廃品回収、やりましたね~(^-^)
古布古紙類は引き取らない(別業者)時代になってましたけど(笑)
おおまかに電化製品・廃金属・機械類・雑品に分別してましたっけね。
名前出るかなー?
おもしろそう
なんでも楽しみを見出だすことが長続きさせるコツ?ですかね(苦笑)
エロ本に勝てない友情・・・
冒頭から面白いですね 井上くんなら美奈子さんですかね
ママチャリ………そこで興味示したらダメじゃん(笑)
見たいので、イラスト希望します。(・o・)ノ
古布ってそういうリサイクルになるなんて知らなかったです。へぇ~。
古新聞古雑誌はどうなるのかな…?
ウエスの中から、女性下着が山のように出て来た時には
逆に引きました(汗
友情ってなんでしょうね・・・
井上の正義感・・・間違ってない。
その他大勢の目的・・・おおむね正しいwww
>やすっぺ
これからゴミ回収のシステムの秘密がぞくぞく出て来ます。
そんなに楽しみでもないでしょうが、お楽しみに・・・
懐かしいですね
小さい頃よくみましたね
こんなに騒がしくわなかったけど笑
美しい友情の裏にはそんな事情があったとは……(^_^;)
それに邪魔者って(~_~;)
まぁ、仕方ないですけどね( ̄▽ ̄)
廃品回収車のマイクの声が
「はい!ありがとうございます!」 という言葉で途切れて
誰かが呼び止めたことが分かる、あの感じが懐かしいですね。
私は育成会の役員をしていた時に
廃品回収に出されている 『ジャンプ』 を
自宅に持ち帰らないために大変な自制心を要しました。
だから西条さん達のことを責められないです(>_<)
最近あんまり廃品回収車見ないなぁ…