ぼくたちと駐在さんの700日戦争

カレは、もともと「強い人」に好かれる傾向があった。
理恵しかり、美奈子さんしかり。
みんな芯を持った「強い」女性だ。

代表的なのは、孝昭くんのお姉さん。
いや、北女の歴代のスケ番は、中学の時から、なぜかカレを可愛がった。
（『走れ！チャーリー号』）

　当然のように・・・花ちゃんも・・・。

かく言うわたしも、中学でカレを好きになった時、
クラスの女子では、はしたないほど「強い女」だった。
（『マリア様によろしく』）

夕子ちゃんは。
井上くんの妹なんだから、やはり芯はしっかりしている。

別に女に限った話ではない。
カレの仲間で、カレを好いていたであろう人を順番にすると、
孝昭くん、
西条くん、
千葉くん、
もののみごとに「強い順番」。
（わたしは、西条くんよりは、情け容赦のない分、孝昭くんのほうが強いと思っている）

彼らだけではなく、警察官、果てはヤクザまで。
強い人は、なぜか弱っちい彼を好む。

敵であったはずのフダツキの茶木という人までもが・・・
カレには、本心を打ち明けている。
（『枯れる花、咲く花』）

あるいは、カレは、
自分が弱っちいからこそ、強い人を惹き付けるすべを、本能的に身につけているのかも知れない。

カレは策略家のくせに、人のことになると「浅知恵」とも言えるほど単純に動く。
洋次くんの時には、味方で、親友だった西条くんをも敵にまわした。
（『神様への挑戦状』）

そこが、打算と計算の人・井上くんと似て非なるところ。
その分だけ、井上くんのほうが非情に映る。女の目には特に。
いつも一緒にいるから、なおさらだ。

それは、時折、あぶなっかしいほどで、
だから「ほっとけない」。
わたしも、ほっとけなかったもの。

けれど、それだけではない。
あぶなっかしくって、弱っちぃ人は大勢いる。

強い人っていうのは、わたしもそうだったけれど、
自分を守れるものは「自分だけ」と信じている。
そのために「強く」ある。
カレと出会うまでの西条くんがいい例。
自分以外に自分を守れる者はいない。

それをカレは、いとも容易く打ち砕いてしまう。
ふと気づくと、いつの間にか、弱っちいカレに守られている。

だからカレといると心地いいのだ。


ただし。「恋人」じゃないなら、ね・・・・・。


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