ぼくたちと駐在さんの700日戦争

僕が花ちゃんに会いに行く前に、
カナリ屋では、甘味として「お汁粉」を始めました。
思えば、花ちゃんの「大納言」は、こんなとこにも影響を与えたわけですから、たいしたもんです。

「お汁粉始めたんですね。女将さん」

「そうだよ。食べてみてくれるかい？」

「・・・・・タダですか？」

「あっはっはっは。今回はお試しだから〜」

ほ・・・・・。

「お試し価格でいいよ？」

「いりません」


「ちなみにお試し価格っていくらですか？」

10円とかなら頼もうと思いましたが、

「150円」

「・・・・・普段の価格は？」

「なんと150円！」

「おんなじじゃないですか！」

なにが「なんと」だ！

「お試し価格が、定価と同じで悪いってことないだろ？」

「悪いことあります！」

「普段が安いと思えばいいじゃない？」

「どーせ永谷園か森永なんでしょー？」

「・・・・・・・・・・」

反論しろよっ！反論！

「じゃ、145円」

「いりません」

どこまでがめついのでしょう。カナリ屋食堂。
そう言えば、のぶくんの時でさえ、定価でしたが・・・。

「これで女性客来るかねぇ？」

「貼紙替えなきゃダメだと思いますよ？」

「どうして！『お汁粉はじめました』のナニが悪いのさ！」

『お汁粉はじめました』は、悪くありません。

前の『女性客募集』と比べたら、立派な飲食店の貼紙です。

が、

「その横の『嫁入り可』は、いらないと思います」

「え〜〜〜〜〜？そうかい？」

「『お汁粉はじめました　嫁入り可』って意味わかんないし・・・」

「じゃぁ、『嫁入り可』だけにするよ」

「そっちじゃなくっ！」



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