ぼくたちと駐在さんの700日戦争

僕は花ちゃんが、井上くんのお嫁さんには許せても
なぜか、河野くんの兄のお嫁さん、ってのは許せませんでした。

「あれ？どうしてだろ・・・・？」

ハッキリ言って、赤の他人の京娘。

一応、花ちゃんに会うのには、許可が必要と思い、
当のグレート井上くんに会ったのですが、

「別に・・・・僕に断ることはないだろ？」

「え？そう？」

「勝手に誰にでも会えばいいだろ」

むしろ不機嫌にそう言い放たれてしまいました。

「わかった。じゃ、夕子ちゃんに・・・」

「そっちは勝手に会うな！」

「え？」


そしてこの日も、カナリ屋食堂。

女将さんは、すこぶる上機嫌で、

「アンタに言われてさ！新しい甘味考えたんだよ！」

「『グラニュウ糖』以外のですか？」

「そう！食べてってみてくんない？」

そこまでおっしゃるので、
たいした期待もせず、テーブルについたのですが。

出て来たのは、

「プリン？」

「そう！これなら女性にも子供にもウケるでしょ？」

「ええ、まぁ・・・・」

この女将にしては、なかなかの発想です。

「いいから食べてみなよ！」

「あ、はい」

食べてみますと、

「まぁまぁ・・・・おいしいです」

「でしょ？いけるかね？」

「いけると思いますよ？」

「よかったぁ〜、じゃ、メニューに追加しとくよ」

「ええ」

「プッチンプリン」

え〜〜〜〜〜〜！

「これって、ただのプッチンプリン？」

「タダってことないよ。お菓子屋でも30円はするんだから」

「いや・・・・そういう意味じゃなく・・・・・」

まさか、まんまプッチンプリンとは思わなかった・・・・。

＜グリコプッチンプリン＝ご存知、ギネスも認めた「世界一売れたプリン」。1972年発売。実はモンドセレクションも受賞している＞

「まんま出す店って、あんまりありませんよ!?」

「まんまってことないよ。ケースから出すのもひと苦労なんだからね」

ウソつけっ!!!

プッチンしただけだろっ！

「やめたほうがいいと思います」

「そう？いいアイディアだと思ったんだけどね〜。じゃ、120円になります」

「金とるの!?」

しかも120円って・・・・
ポプラのカスタードプリンより高い。

「あったりまえでしょ？だからタダのプッチンプリンじゃない、って言ってんじゃない」

「だって・・・・食べてみてくれって・・・・」

「食べてみてくれ、とは言ったけど、タダとは言ってない」

つぶれてしまえっ！


　　カナリ屋繁盛記(5)へつづく・・・・

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