ぼくたちと駐在さんの700日戦争

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ショート50連発！の5『ボンタン狩り』

早苗さんの北女スケ番グループは、僕にとってはそうではありませんでしたが、
曲がりなりにも「スケ番グループ」ですから、
それなりのコトはやっていたわけです。

この頃、各地のスケ番グループで流行り初め、
やがて全国に広がったのが

「ボンタン狩り」。

（ボンタン＝幅広ズボン。当時の不良のトレードマーク）

自分の学校の女子に手を出された時、
スケ番グループがのりだして、その相手のボンタンを脱がせて持ち帰る、というもので、
やがて、気に入らなければ相手かまわずやるようになります。

公衆の面前であろうと、電車の中だろうと、容赦なし。

我が校は、早苗さんの弟がいたため、標的にならなかっただけで、
他校、特に、北女地元であるY市内のワルたちは、戦々恐々でした。


僕と同じ中学出身で、Y市内の高校に進学した不良Eくんが、この被害に遭いまして、
なんと僕に泣きついてきたのです。

「なー、俺のボンタンとりもどしてくれよ〜」

「え！お蘭さんのグループにとられたの？」

「そーなんだよ〜。あれ、8千円もしたんだよ〜。たのむ！お前、お蘭のイロなんだろ？」

「いや・・・そうじゃないんだけど・・・・」

「とにかくたのむよ〜。お前くらいしか、スケ番のイロになったヤツっていないんだよ〜」

「それが人にものを頼む言い方か!?」

「わりぃ・・・んじゃ、情夫」

「だからちがうってのに!!」

早苗さんと「親しい」僕には、やたらこういう頼みごとが多かったのですが、

「な、たのむ！たのむよ！」

「うーん・・・・話が通じるかどうか・・・・」

とは言うものの、同じ中学のよしみで、
やむをえず、カトリーヌへと「ボンタン奪還」に向かいました。


カトリーヌには、かんじんな早苗さんはおらず、
あいかわらず風体の悪い女子高生がたむろしておりまして・・・。

手下A。
「ぁあ？ズボン？」

「ええ。おねがいします」

手下B「テメェは姐御に脱がせてもらえばいいだろーー」
手下C「そうだそうだ！」
手下D「アタシらが脱がせたら姐御にシバかれるって！」

「いや・・・そうじゃなくって・・・・」

誰が脱ぎたい、って言った？

そこに、姐御＝スケ番お蘭、登場！

「ああ、待たせたなーー」

「あ！お蘭さん！」と、僕が言うよりも早く、

「あ！姐御。なんか、コイツがズボン脱がされたいそうですよ？」

なんでそうなる!?

「ズ、ズボン〜〜〜〜!?」

「ええ。どうやらおっ立っててのお願いってヤツで〜〜」
「アタシらは遠慮しときました！」

バカヤロ〜〜〜！
「お」付ければ丁寧語ってわけじゃないぞ！

それなのに・・・

「ささっ！どーぞどーぞ、姐御。アタシら店出てますから〜」
「ここからは二人っきりで！」
「看板、しまっときますね！」


二人っきりになりました・・・・・。

「え・・・えっと〜・・・・・・」

　ドスッ!!!

やっぱし・・・・・。



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