ぼくたちと駐在さんの700日戦争

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「というわけで〜。女王アリ様はソフトクリームが食べたいぞよ？」

「あ、なるほどね。はいはい・・・」

アリさんごっこの趣旨がわかりました。

厳しい井上家では、普段、甘味については制限されていて、
買い食いなど、もちろん禁止。

このため、夕子ちゃんは、存分に「甘い茶菓子が食べられる」僕の来訪を歓迎しました。

僕がいれば、茶菓子はシャービックで、買い食いもOK。
それをよく知っているのです。


つまり。
女王アリ様は、甘い物をご所望のご様子。

さっそく近所の菓子屋に連れ立って行きまして、

「はい！ソフトクリーム」

「ありがと〜〜〜！　あ、女王アリがと〜、ぞよ？」

「はいはい・・・・。どーいたしまして」

女王アリ様は挨拶もちがうのです。


二人並んで店の軒先のベンチ。
（当時の店頭には、必ずベンチがあった）

僕のとなり。むじゃきにソフトクリームをペロペロする夕子ちゃん。

と、

「ネネネ？夕子たち、ほかの人にはどう見えてるのカナ？」

「え・・・・・！」

いきなりのおマセな質問に、
思わず返答につまっていると、

「女王アリと働きアリには見えてないよネ？」

そういう話!?

「・・・・見えてないと思いますよ？女王アリ様」

「ヨカッタ！」

小6の考えることって。よくわかんない・・・・。


「あ！　ほら！　それより夕子ちゃん、ソフト・・・・！」

　ベチャ！

「あーーーーーーーーっ！」

夕子ちゃんのソフトが溶け落ちて、
ちょうど靴の上あたりにベッチャリ！

「ア〜〜〜〜ン。もったいナ〜〜〜〜〜イ」

残念そうに夕子ちゃん。

「・・・・・あれ？」

「なぁに？」

「いや・・・・・・・」

夕子女王アリ様、さすがに「私の靴をおなめ！」までは、言い出しませんでした。



・・・・なんだろ？・・・・この、ガッカリ感・・・・。



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