ぼくたちと駐在さんの700日戦争

＜今週は夕子ちゃんスペシャルです＞

久保くんは、中学の時はグレート井上くんのクラスでしたが
なにしろ、「ワル」でしたから、僕を通しての友達、という、ややこしい関係でした。

この頃、夕子ちゃんはまだ小学6年生で、
家を訪ねた時、グレート井上くんがあいにくと留守。

風体の悪い久保くんは「サチコの洗礼」を浴びることになったのです。

サチコにすれば、家のお嬢様を守りたいがゆえの、当然の行動だったわけですが。

「くっそぉ！あのバカ犬がぁ！」

「サチコ、バカ犬なじゃないよ！」
と、夕子ちゃん。
当然サチコの味方です。

が、悪ガキ久保くん「犬よりも豚のほうがかしこい」と言い出したから大変。

確かに、タカギは、ただでさえ「頭がいい」と言われる豚類でも、とりわけ頭がよく、
犬のやるようなことは、たいていできました。

一方、グレート井上くんちのサチコ。
こちらは、犬の中でも、ダントツに「賢い」とされるドーベルマン・ピンシェル。
もともとの血統がいいですから、

「うそ！サチコ、頭いいもん！豚になんか負けないもん！」

「いや、うちのタカギのほうが絶対かしこい！」

夕子ちゃんの、可愛い意地っ張りにも、
久保くん、これだけは譲りません。

「サチコは、昔、乗れたんだよ？」

「タカギは、今でも乗れるぜ〜？」

「サチコは、フリスビーもできるんだよ？」

「タカギだってできるって〜」

「ケンカしたら、サチコのほうが強いもん！」

「タカギのほうが強ぇーよ！」

これはタカギに軍配が上がる気がしました。

「サチコはねーーーー、サチコはねーーーーー」

夕子ちゃんは、もう泣きべそかきながらの応戦で、
僕の袖を掴んで、援軍をもとめてます。

「よせよ。久保、大人げないって・・・・」

が。この決着は、あっけなくつきました。

「だいたいなぁ、タカギはなぁぁぁあ」



「食えるんだぞ？」

「・・・・・・・・」「・・・・・・・・」


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