*****Mother's SIDE
井上兄妹と分かれた後、タクシーで藤木のおじいさんの家へ向かう途中で『自転車の少女』を見かけ、その自転車の乗り方が、ママチャリと同じ『自転車乗れるの術』であることに気づき、追いかける。
が、結局は見失ってしまい、結局は藤木さんのおじいさんの家に。
そこで、長男次男を相次いで戦争で失い、家督となった三男の嫁(ゆいの母)を嫌って仲違いしたのが、おばあさんであったことを知らされる。
そこに絡んでいたのが、「徴兵逃れ」で有名な祈祷師。
おばあさんは、三男が徴兵を逃れられたのは、この祈祷師のおかげと、心酔していた。
▼▼▼▼
「そのかたが、生まれてくる子のことを?」
つまり孫娘さん。
「ああ。『そのまま結ばれれば五体満足では生まれて来ないであろう』、とな」
「へぇ・・・・」
とは言え、このちょっと前までは、子供が五体満足で生まれて来ないことは、むしろ「幸い」ととられることさえございました。
言うまでもなく「徴兵されなくて済む」からです。
むろん、戦前までの話ではございますが、この祈祷師?さんは、こうした「占い結果」を言うことが多かったのでしょう。
なんの因果か、この「占い」は、結論としては「当たっていた」ことになるわけですが。
「そこにつけて、恋愛結婚などと。ばあさんは、最初っから猛反対じゃったからな」
「そうでしたか・・・・」
「息子としては、この『反対理由』に納得するわけもない。じゃろ?占い師が言うから、結婚すな、ってのもなぁ・・・・」
「ええ。そうでしょうね」
おばあさまは、恋愛結婚の「嫁」を歓迎いたしませんでした。
いえ、ここだけを言えば、藤木家に限った話でもございません。
姑は、たいていの嫁が気に入らないものです。
わたくしとて、姑に歓迎されていたとは言いがたく、
ましてや恋愛結婚の相手では。
普通、息子のお嫁さんは、我が家のように「親が引き合わせる」のが習いでしたから。
まったくもって「どこの馬の骨」だったことでしょう。
わたくしもまた、夫の父に願い倒されて嫁に入ったわけですが、
わたくしは、必ずしもそれが、古のかたが言うように「それが一番しあわせ」とは、考えておりませんでした。
ですから、息子(特に次男)には、「気に入った女の子がいたら、どんどん連れて来るよう」言って育てました。
『うん!わかったよ!母ちゃん!』
『ものわかりがいいねぇ。おまえは』
よもや、その日のうちに2人も連れてくるとは思わなかったのですが・・・。
あの時は、さすがに苦笑いたしました。
それからと言うもの、まったく女に見境いなく・・・ううう・・・・。
『母ちゃん。明日、クラスの女子全員つれてきていい?』
『よしなさい!』
息子は、どうにも「気に入る」基準が低いのでございます・・・・。
「おタカさん。どうかなされたかな?目頭などおさえて・・・」
「え・・・いえ」
思い出し泣きでござますわ。
*****TAKESHI's SIDE
武志は、守屋くんが「いいかっこしたい」ために、探し出したA小の同級生。
藤木さんとは遠縁の親戚で「実は本当の兄弟ではないか?」と噂されている。
村山くんは、当初「武志の暴走」を心配して和美たちを追いかけていた。
待たせたなー。オレが武志だ。
守屋に言われて、3組の委員長と和美たちを待ち伏せしてる。
オレは、藤木ゆいとは遠縁の親戚。
親戚ったって、オヤジが藤木の母親と従兄弟同士ってくらいに遠いんだが
田舎は狭いからな。それでも「親戚扱い」なんだよ。
ちっちゃい頃は、よく遊んだっけなー。
あいつは、足と手がちっとばかし不自由だったけど、その頃は気になんなかった。
よくオレになついてたしな。
「たけしにいちゃん」とか言われてよー。
だからな。その頃に「本当の兄妹だ」とか言われても、うれしいくらいで、気にもとめてなかった。
まさかな。それが「大人の皮肉」で言われてる、なんて思いもよらなかったからな。
けど、小学校に入ると「女と遊んでる」ってだけでも、ひやかされっから。
オレは、次第に、ゆいがうっとうしくなってった。
どっちかって言えば「ワル」に属してたオレには、
まぁ、プライドがゆるさねぇーってーか
それでも、ゆいのヤツは、「たけしにいちゃん」とか呼びやがるもんだからよ。
「ゆい!もう二度とその呼び方すんじゃねーぞ!」
「あ・・・・・・」
あん時の、アイツの面・・・・ったらよ。
なかったな。
けど、心ん中のどっかじゃ、ゆいがいじめられてっと、
「なんとかしてやれよー」って、叫んでる自分がいた。
どっかにゃいたけど・・・。
そんなことしたら、オレが仲間はずれになっからよ。
じょーだんじゃねぇ。
従兄弟同士の子供なんて、ほぼ他人だろ。
いや、他人のほうがまだマシだ。
だから正直なとこ、今回の話はオレには迷惑な話だった。
けど、あんまり「作戦」がおもしろそうなんで、参加したってわけだ。
お!来た来た!
ホントに和美も一緒でやんの!
守屋の言った通りだ。
「よぉ〜。遅かったじゃねぇか〜」
「武志くん!?」
ラフマニノフの憂鬱 第94話へ→
井上兄妹と分かれた後、タクシーで藤木のおじいさんの家へ向かう途中で『自転車の少女』を見かけ、その自転車の乗り方が、ママチャリと同じ『自転車乗れるの術』であることに気づき、追いかける。
が、結局は見失ってしまい、結局は藤木さんのおじいさんの家に。
そこで、長男次男を相次いで戦争で失い、家督となった三男の嫁(ゆいの母)を嫌って仲違いしたのが、おばあさんであったことを知らされる。
そこに絡んでいたのが、「徴兵逃れ」で有名な祈祷師。
おばあさんは、三男が徴兵を逃れられたのは、この祈祷師のおかげと、心酔していた。
▼▼▼▼
「そのかたが、生まれてくる子のことを?」
つまり孫娘さん。
「ああ。『そのまま結ばれれば五体満足では生まれて来ないであろう』、とな」
「へぇ・・・・」
とは言え、このちょっと前までは、子供が五体満足で生まれて来ないことは、むしろ「幸い」ととられることさえございました。
言うまでもなく「徴兵されなくて済む」からです。
むろん、戦前までの話ではございますが、この祈祷師?さんは、こうした「占い結果」を言うことが多かったのでしょう。
なんの因果か、この「占い」は、結論としては「当たっていた」ことになるわけですが。
「そこにつけて、恋愛結婚などと。ばあさんは、最初っから猛反対じゃったからな」
「そうでしたか・・・・」
「息子としては、この『反対理由』に納得するわけもない。じゃろ?占い師が言うから、結婚すな、ってのもなぁ・・・・」
「ええ。そうでしょうね」
おばあさまは、恋愛結婚の「嫁」を歓迎いたしませんでした。
いえ、ここだけを言えば、藤木家に限った話でもございません。
姑は、たいていの嫁が気に入らないものです。
わたくしとて、姑に歓迎されていたとは言いがたく、
ましてや恋愛結婚の相手では。
普通、息子のお嫁さんは、我が家のように「親が引き合わせる」のが習いでしたから。
まったくもって「どこの馬の骨」だったことでしょう。
わたくしもまた、夫の父に願い倒されて嫁に入ったわけですが、
わたくしは、必ずしもそれが、古のかたが言うように「それが一番しあわせ」とは、考えておりませんでした。
ですから、息子(特に次男)には、「気に入った女の子がいたら、どんどん連れて来るよう」言って育てました。
『うん!わかったよ!母ちゃん!』
『ものわかりがいいねぇ。おまえは』
よもや、その日のうちに2人も連れてくるとは思わなかったのですが・・・。
あの時は、さすがに苦笑いたしました。
それからと言うもの、まったく女に見境いなく・・・ううう・・・・。
『母ちゃん。明日、クラスの女子全員つれてきていい?』
『よしなさい!』
息子は、どうにも「気に入る」基準が低いのでございます・・・・。
「おタカさん。どうかなされたかな?目頭などおさえて・・・」
「え・・・いえ」
思い出し泣きでござますわ。
*****TAKESHI's SIDE
武志は、守屋くんが「いいかっこしたい」ために、探し出したA小の同級生。
藤木さんとは遠縁の親戚で「実は本当の兄弟ではないか?」と噂されている。
村山くんは、当初「武志の暴走」を心配して和美たちを追いかけていた。
待たせたなー。オレが武志だ。
守屋に言われて、3組の委員長と和美たちを待ち伏せしてる。
オレは、藤木ゆいとは遠縁の親戚。
親戚ったって、オヤジが藤木の母親と従兄弟同士ってくらいに遠いんだが
田舎は狭いからな。それでも「親戚扱い」なんだよ。
ちっちゃい頃は、よく遊んだっけなー。
あいつは、足と手がちっとばかし不自由だったけど、その頃は気になんなかった。
よくオレになついてたしな。
「たけしにいちゃん」とか言われてよー。
だからな。その頃に「本当の兄妹だ」とか言われても、うれしいくらいで、気にもとめてなかった。
まさかな。それが「大人の皮肉」で言われてる、なんて思いもよらなかったからな。
けど、小学校に入ると「女と遊んでる」ってだけでも、ひやかされっから。
オレは、次第に、ゆいがうっとうしくなってった。
どっちかって言えば「ワル」に属してたオレには、
まぁ、プライドがゆるさねぇーってーか
それでも、ゆいのヤツは、「たけしにいちゃん」とか呼びやがるもんだからよ。
「ゆい!もう二度とその呼び方すんじゃねーぞ!」
「あ・・・・・・」
あん時の、アイツの面・・・・ったらよ。
なかったな。
けど、心ん中のどっかじゃ、ゆいがいじめられてっと、
「なんとかしてやれよー」って、叫んでる自分がいた。
どっかにゃいたけど・・・。
そんなことしたら、オレが仲間はずれになっからよ。
じょーだんじゃねぇ。
従兄弟同士の子供なんて、ほぼ他人だろ。
いや、他人のほうがまだマシだ。
だから正直なとこ、今回の話はオレには迷惑な話だった。
けど、あんまり「作戦」がおもしろそうなんで、参加したってわけだ。
お!来た来た!
ホントに和美も一緒でやんの!
守屋の言った通りだ。
「よぉ〜。遅かったじゃねぇか〜」
「武志くん!?」
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たけしが誰だか思い出せない・・・今度読み返します。
10話ぐらいとばしてよんだら浦島太郎でした笑
読み直してきます( ̄▽ ̄)
大人の皮肉、ですか...
ゆいちゃんが心配です。
占い師の言った事を真に受けて結婚した(奥様にさせられた)職場の先輩がいるなんて、口が裂けてもいえません。
やったぁ楽しみにしてましたっ!!
再開ですね。
武志くんに引っ掻き回されないといいですが・・
武志からトラブルボーイの臭いがプンプンする‥‥。不安だ‥‥(汗)
ひさびさのラフマニノフ!
ここで「武志くん」が何者か思い出せないと、ラストにたどりつけません。
キーマンです。
>エービィくんが
一番載り認定。
+50pt
>カレーパンマンくん
>rainoちゃん
+30pt
あああ、どうなるんだ…
気になる…
昔に濃い結婚の話聞いたことあったけど実話?
大人の皮肉ってどういう意味ですか?
タカさんの影響だったんですか、女好きw・・・ごふぉげふぉ(ー_ー;)
たけしくん。。。。
なんか、危険な臭いがぷんぷん。。。
ママチャリの立てる作戦とは意味合いの違ういたずら(?)作戦??
守屋くんってば。。。んもう。
と、やきもきしながら。
なんか、ますます混乱していきそうなのですが…
武志くんは「キーマン」?
ならば逆転技で一気に解決?
神童タカさんの思い出し泣きに、深く共感してしまって、武志君のことが、全く思い出せません。
すみません。
タカさんでも歓迎されなかったんですか…。
引っ掻き回す予感のする武志くんだけど。
子供の頃にゆいちゃんと兄妹のように遊んでいたから、悪ぶっても ゆいちゃんのことは気にかけていたようだし。
武志くんが何かのキーマンになるかも。
作戦ってなんだ?!
悪い予感しかしないww
>思い出し泣きでござますわ。
ここだけはノンフィクションかな!?
まあ
女性の
「また今度」
に
「じゃ、いつ?」
というタイプでしょうからねえ。
和美ちゃんが嫉妬して
「誰とでも一緒になれば?」
と言おうものなら
「たくさんいるけど・・・」
という返事がありそうな・・・
あー、でもタカさんはその連れて来る女の子達にスライド攻撃してたんですよね?
武志君やっと出てきましたね。
神童だからこそ歓迎されなかったのでは?
姑が嫁を嫌うのも嫉妬ですよねWww
クラスの女子を全員連れてくるって・・・(笑)
チビチャリはもしかしてもっと・・・?
とうとう委員長登場ですかね
武志君のことが全然思い出せない。
もう一回読み返さなくては。
武志くんやっと出てきましたね。
この後どうなるのか楽しみです。
占い師、当たるも八卦当たらぬも八卦と言いながら、どーして頼っちゃうものなんでしょうねー。
藁にもすがる、ってやつかなー
気に入るの基準が低いって言うのは女子からすればイイことです。ちびチャリ。
武志くん、作戦が気に入ったっていうのは守屋くんがたてた計画でしょうか?
どんな作戦だろうと気になるけど、守屋くんだからなぁ(笑)
たいていの女の子は、何処かしら「気に入る」ところがあるもんですよねー
もしくは「気に入る」ところをまだ自分が見つけられないだけw
再開しましたねー!
みなさんと同じく、武志くんを思い出せない…
私も復習してきます(´ー`)ノ
タカさんは褒めて育て過ぎたのかな?(^_^;)
武志くんはこれからどういう役になるのかな(^ ^)
次回も楽しみに待ってます(^ ^)
やっと武志が出たー!
やっとラフマニノフ再開ですね!
ラフマニノフ久し振りです。
一週間、携帯から開くと、変な文字になってしまって、まったくブログが読めません。どうしたらよいのでしょう・・・
誰かがイジメられていても
その子を庇ってしまうと
今度は自分がイジメられてしまう……
その気持ちは、よ~くわかります
でも、それでもママチャリは庇ったのだから
改めて凄いと思います!!!!!
ちびチャリくんは素直なんだ、そうに違いない、うん。
武志くんがどういう子か楽しみです(笑)
武志がキーマンなんですか・・・
しっかり復習しなきゃ・・・
ママチャリは素直なだけなんですよね!
いろいろな教育で、あのママチャリがあるわけですね~。
私も同い年の従兄弟いるんですが・・・。
しかも同じ高校で隣のクラスです。
でも小3から話してないんで
武志君の気持ちが分かるような気がします!!
何か親近感がわきます(^^)
久し振りです~
今日は13の金曜日ですが
不吉なことはなかったですか?
くわばら くわばら
アーメン
観自在菩薩行深般若............
14日になってた
えーと
き昨日はどうでしたか?
見境なしでしたか
こんな頃からママチャリは…ww
思い出し泣きしてたんですね、たかさん笑
武志君がどう話を動かすのか気になります!!
> 中学校100年生くん
よく分かりますね!
その通りです(笑)!
私は息子が生まれた時点で思いました。
「こりゃ、嫁いびりする訳だ」 と・・・(笑)
将来息子がどんなに良い娘さんを連れて来てくれても
最初はやっぱり気に入らないだろうなと思いました。
というか、良い娘さんだったら良い娘さんだったなりに
気に入らないと思います(笑)
だからこれから結婚する若い皆さんは
結婚相手の親から気に入られなかったからといって
落ち込むことはないんですよ♪
当たり前なのですから(^∀^)