ぼくたちと駐在さんの700日戦争

駐在さんは、愛ちゃんを溺愛していますが、
男のプライドか、育児にはからっきし。

僕たちは、これを駐在さんの「育児ナシ」と呼んでいました。

もっとも、この頃の男親というのは、ほとんど育児には関わらなかったので、駐在さんばかりが「育児なし」だったわけでもありません。

ですから、僕が「オムツ交換」ができる、と知ってからと言うもの、
なにかと言うと、コキ使うようになりました。

「あーーーー、ママチャリ！ちょうどいい！」

「な、なにがちょうどいいんですか？」

「下校だろ？」

「見てのとおりですけど・・・・」

「あーーーー、ちょうどよかった！」

「だからなにが？」

「下校」

警察官にとって、高校生の下校は無関係に思われますが、

「愛ちゃんが泣き止まん」

「それ・・・・で？」

「泣き止ませろ」

「なんです？その命令？」

しかし、奥さんの評価としては、
どうやら、駐在さんが「シッカリ子守りできている」というものらしく、

『じゃ、あなた。お夕飯の買い物行ってくるから。愛、おねがいね？』

『おお！まかしとけ！』

『ウフ。あなたって頼りになるワ〜』

　チュ♡（←想像です）

近頃、安心して買い物などに出かけるようになりました。

赤ん坊が生まれる前と後では、主婦の買い物は異なります。
当然、赤ちゃん用のものが加わるため、より遠くの店をまわらなくてはなりません。

が。駐在さんの「まかせとけ！」な時間は、
実は、僕や、三浦のばあちゃんが通る時間帯であり。

「あ〜あ〜。泣かしっぱなしで〜〜〜〜」

「だからさっさと泣き止ませろ。仕事にならん」

「あのですね〜〜〜〜〜」

近頃は、オムツ交換も平然でさせるようになり、

「妊娠するとか言ってませんでしたっけ？」

「愛が？わははは！いくつだと思ってんだ！」

「く・・・・そ〜〜〜・・・・・」

「ただし、タダ見ってのは許さん！」

「金とるつもりですか！0歳児で！」

このヤクザ警察官がぁ！

おかげで僕は、この歳にして、育児万能の珍しい高校生なのでした。

「よちよち。愛ちゃん。オナカちゅいてるんでちゅか〜〜〜？」

「プフッ！」

「笑ってる場合じゃないでしょう！父親が！」

　アンギャ〜〜〜〜〜〜〜〜！

「あ、お前がデカイ声出すから、愛ちゃんが驚いてるだろが！」

さらにデカイ声で怒鳴るダメパパです。

「よ〜ちよちよち♪」

どれほど、駐在さんが「育児なし」かと言いますと、

「駐在さん。乳首は？」

「はあ？」

「乳首どこです？」

「俺の？」

「んなわけないでしょ!?」

　アンギャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜！

というほど。

あ〜〜〜〜〜つまんない想像させられた。

「哺乳瓶の乳首ですよ！」

「え！哺乳瓶のも乳首って言うのか？」

「なんて言うもんだと思ってたんですか？」

「ん〜〜〜〜。プニュプニュ？」

男親って役たたね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！


＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


「え！哺乳瓶のも乳首って言うのか？」

まったく同じ台詞で驚いているのは、アジト教室の西条くん。

「西条も知らなかったのか？」

「めんぼくない・・・・」

そんなに反省することでもありません。
だって西条くんは、まだ高校生ですから

「この俺が、乳首のことなのに知らないとは・・・・・」

反省のしかたは間違っていますが。

哺乳瓶の乳首は、大きさがあって、赤ちゃんが育つまで、同じサイズを用います。
お母さんの乳首の大きさは変わらないからです。

「え〜〜〜〜〜〜〜！」

これにさらに驚く西条くん。

「するってーと・・・・そのサイズで奥さんの乳首のサイズがわかる、と？」

そういうこと・・・・にはなりますが。

「ほほぉ♪」

なんか、へんな期待にあふれている・・・・・・・。


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