ぼくたちと駐在さんの700日戦争

＊＊＊＊＊Inoue's Side

これはあくまでも僕から見た「これまでの流れ」です。

藤木ゆいは、僕たちの小学校A小出身の女子で、
ジュ・・・・・ジュリーが委員長となったクラスになりました。

それまでの藤木は、足が悪いこともあって、内向的な子。
クラスでは和美以外に友達らしい友達もいません。
当然ながら運動会は見学組。

ジュリーは僕たちとちがうK小出身ですが、
小学校の時、同じ見学組だった「あかりちゃん」という子に頼まれて、「藤木さん」を捜していました。

これが「藤木姓が町に2軒しかない」ことから、自分が柿泥棒していたおじいさんの孫娘ではないか？と気づき、同じクラスになったことを期に、柿泥棒に誘います。
おじいさんは、藤木の家とは疎遠になっていて、ちょうどおばあさんが亡くなったこともあり、「なんとか会わせてあげよう」という一石二鳥を狙ったようでした。

これに着いて行ったのが、A小の智枝子と和美。そして智枝子目的の男子、守屋。
K小からは千葉。

ジュリーは、父の幼なじみで神童と言われたタカさんの息子で、奇天烈な行動で次々と周りに影響を及ぼしていきます。
なにより中学生ばなれしていたのが「心を操る方法」を研究していたこと。

どうやらジュリーは、内向的な藤木を柿泥棒へと誘うために、タカさんからは「御法度」とされていた”マインドコントロール”を使ったらしい（あくまで僕の推測です）

当初それはプラスに現れ、藤木ゆいは柿泥棒にも参加。積極的で明るくなりました。
智枝子も、「恋の悩み」から解き放たれて、次第に心を開いていきます。

が、こうしたものは、当然ながら効果のある人がいれば、効果のない人がいて、もともと明るくしっかりした和美や、美容院の陽気な娘、小島なつみなどには、ほとんど通じないようです。

つまり（僕が思うに）、彼のマインドコントロールは、「悩み」から解放するもので、もともと悩みがない者には影響がない？
智枝子が好きな守屋は、うっすらとではありますが、これに気づき、ジュリーに警戒心を抱きます。

そんな折りも折り、その藤木が「家出した」という騒動が持ち上がりました。
同級の和美たちと、守屋は、それぞれ勝手に捜索し始めますが・・・・。

ちょうどこの時、ジュリーは母タカさんに連れられ、我が家を訪れていたところ。
この騒ぎが、和美を通じて、僕や友人・村山にも飛び火してしまいます。

僕はジュリーとともに家を無断外出。
僕たちを追って妹も外出してしまったため、両親が心配してタカさんとともに「夕子捜索」に。

当初、僕は（おそらくジュリーも）中学生が家出することくらい「どってことないこと」と考えていました。
たいていは半日もすれば、ちゃっかり家にもどっていたりするもの。
僕は、藤木の捜索は、和美とジュリーにまかせて、外出した妹を捜しにもどりました。

この頃、別行動していた守屋は、藤木の遠縁の親戚にあたる武志（未登場）と連絡をとっていました。

が、ここは実は守屋の策。
暴れん坊の武志を送り込み、ジュリーにひと泡もふた泡も吹かせよう、という魂胆でしょう。
村山がこれに気づき、和美の後を追いかけます。
どういうわけか、小島も村山について行きました。なんでだ？

ところが、
僕は、妹を見つけた道すがらで、自転車に乗った藤木を発見。
村山も、道に迷っているうちに、『首吊り小屋』近辺で、藤木を見かけます。

僕と村山は、それぞれ藤木を追いかけます。
武志もまた、藤木の家へと向かっていました。

が・・・・。大人の事情は、子供の知り得るものではなかったのです。

藤木は、生まれ付き足が悪かったため、藤木の「お父さんの子ではない」と言われたのが、そもそも、おじいさんと疎遠になった原因。
つまり、藤木自身が、祖父と父を決別させた要因だったのです。
そこに（おそらく）祖父との復縁を言い出したのですから、お父さんも黙ってはいなかったでしょう。

そして「書き置き」が見つかり・・・・・
小島は、僕たちに衝撃的な事実を伝えます。

「ゆいちゃん・・・・、自転車乗れないよ？」

「え・・・・・そんなはずは・・・・・・」

じゃぁ・・・・あれは・・・・なんなんだ？


【井上くんのグレートな行動表】

10:00　家にタカさんと息子ジュリーがやって来る

＜藤木さん家出騒動勃発＞

10:20　智枝子から連絡があるが妹夕子が切ってしまう

13:00　智枝子・和美が来訪。サチコが気づく

13:10　智枝子・和美と合流。無断外出

＜夕子・無断外出＞

13:20　村山と合流

14:00　藤木さんのおじいさんの家へ

14:30　小島なつみが合流。智枝子帰宅

＜麻生一家による夕子・誘拐騒ぎ＞

15:00　電話を借りるために小島美容院・守屋と会う

15:30　単独行動でケーキ屋へ・夕子発見
15:40　タカさんに発見される。タクシーで帰宅の途へ

15:50　自転車の藤木発見。タクシーを降り追いかける

＜和美が書き置きの存在を知る＞

16:00　夕子のタクシーがもどってきて村山・小島組と合流

＜守屋、智枝子に電話。遺書騒動へ＞


　ラフマニノフの憂鬱 第86話へつづく・・・・・

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