ぼくたちと駐在さんの700日戦争

ただいま出張よりもどりました～
指をケガしてしまいまして、あまり長く書くことができません。
ので、今日はBOYS SIDEのみです。

＊＊＊＊＊BOYS SIDE

ギャンギャンギャン！

「なんか、サチコが賑やかだな」

「夕子、見て来る！」

妹が、そう叫ぶなり部屋を出て行った。

気になって、僕も窓の外を見よう、と思った時。

階下で父が呼ぶ声。

「タカさんの息子さんも連れておいで」

用件は、僕ではなく。
お客さんのジュ・・・・リーにだった。

居間へ行くと、

「君、誕生日を当てられるんだってね」

誕生日を当てる？
まさか。

なのに、

「あーーー。当てられますよ？」

こともなげに言った。
そんなこと、できるはずがない。

「本当なら息子の誕生日を当ててみてくれないか」
と、父。

「井上くんのですか？いいですけどー・・・・・・」

なにか、いまひとつ納得しない様子に、

「あーーー！そっか！いいだろう、息子の誕生日を当てられたら、千円はらおう」

「やりますっ！」

が。
これには、さすがに

「バカ言ってんじゃないの！」
彼の母親がたしなめた。

「だってーーーー・・・・」

あんまり、やりたくはなさそうだ。

理由は「手を握らなくてはならないから」と言う。

「手を？」

「ええ」

「じゃ、私じゃどうかしら？」
と、母。

「うーん」

彼はまだ悩んでいたようなので、

「いいから。やってみてくれよ。僕も興味がある」

「じゃーーー、いいですか？誕生月からです」

ジュ・・・リーは、母の片手を握ると。

「こっちの手を見ててくださーい」

目前に手をかざし、

「1月」「2月」「3月」・・・

12月まで手を上げながら、言っていくと、一端6月までもどし、また12月まで数えた。

次は7月から数えて、

「お母さんは9月生まれ」

いきなり当てた・・・・・・・・。

「次、産まれた日です」

同じように1日から始め、15日まで。
次に16日から始めて、31日まで。

「9月には31日はないわよ？」

「あ。そうか。アハハハ」

バカなんだか天才なんだか、よくわからないヤツだ。

しかし、直後には、

「9月12日」

「ど・・・・・どうして？」

言った通り、母の誕生日をイッパツで当てた。

僕は最初、握った手の発汗作用かなにかで当てているものと思った。
嘘発見機でやるそれだが、たとえそうでも、そんな微量な発汗を人間がわかるはずがない。

では、どうやって？

なにがしかのサインを見つけているのには、ちがいない。

父母もさすがに唖然としていたが、

「こ、今度は私のを・・・・」

父が言うと、

「いや～～～。お父さんの手を握るのはちょっと～～～～」

わかるような気もするし。
わかんない気もする・・・・。

「タカさん。ご子息にはどういう教育を？」

「お～ほほほ～～～。ごめんあさ～せ～」

僕は、彼がどこからどうやって誕生日のサインを見破っているのか知りたかった。
それこそ、コナンドイルもアガサクリスティも書いていない。

が。

そこに、またしてもお邪魔虫。乱入。

「お兄ちゃん、お客様」

「僕に？」

「ウン。外にいるから」


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