「夕子!なにやってたんだ!遅かったじゃないか!」
なんとグレート父さん・・・。
そうです。井上家は厳格な家庭。こんな時間の娘の帰宅が許されるはずもないのでした。
グレート井上くんと手分けしていた?
「ごめんなさい。お父さん」。
覚悟を決めたように答える夕子ちゃん。
うーん。とっても気まずい雰囲気。どうしよ?
「井上・・・。えっとー、僕は・・・」
と言いかけたところで、すかさずグレート父さん。
「君が。娘を送ってくれたのか?」
「え・・。ええ。まぁ」。
「どうだ。お茶でも飲んでいかんか」。
とてもお誘いとは思えぬ強い語気。
「いえ・・。僕は・・」
「どうだ!お茶でも飲んでいかんか!」。
「あの、家に帰るのが遅く・・」
「どうだ!おちゃでも、飲んでいかんかぁ!」
「い、井上・・・」。
僕は親友グレート井上くんを頼りました。
が
「どうだ?お茶でも飲んでいかないか?」。
げ!
グル?
「うぅぅぅぅぅ」
幸子も?
「じ、じゃぁーーー、お言葉にあまえまして~・・・・」。
「わん」。
よく躾けられた犬です・・・。幸子。
まるで犬に諭されて、後をついていく僕。
間もなくしてグレート井上家。
大きなソファの向かい側には、グレート父さん。そのとなりに夕子ちゃん。横の椅子にグレート井上くん。
グレート母さんは、奥でお茶の用意をしているようでした。
うーん。考えれば考えるほどに絶体絶命。
最初に口を開いたのは、予想通り、グレート父さんでした。
「君にはー、テレビの時に世話になったがーーーー」
3章での話です。
「え?ええ」。
「あの後も巨人は勝たなかった。それどころか昨シーズンは最下位だ」。
いや。それはテレビのせいじゃなくって、長島監督に言っていただかないと・・・。
「ま・・・。それは許してやってもいいが・・・」。
なんで巨人最下位なのを僕が許してもらわなきゃならないわけ?
「君とは、まぁ、うちも長いつきあいだから、その~。単刀直入に言うが・・・」。
「・・・はい」。
「娘とはどういうつもりでつきあっている?」
「は?」
「娘とはどういうつもりでつきあっているのか、と聞いたのだ」。
いや・・・。聞いたのだとか言われても・・・。百歩譲ってつき合い始めたと仮定しても、まだ10分くらいですから。
「いや・・・。別につきあってるとかいうわけじゃ・・・」。
「するとなにか?遊びだとでも?」
「え!い、いえいえ!遊びだなんて・・・」。
「じゃ、まじめにつきあってるのか?」
え!その二者択一?
10分前なのに?
僕が答えに窮していると
「夕子。お前はどうなんだ?」
いや~。中学生の夕子ちゃんに、そんな本格的質問しても・・・。
が、夕子ちゃん。
「お父さん。あたし、まじめです」。
やはり。
グレート父さんの顔が、ハニワ状態からみるみる大魔神へと変化していきます。
井上~。助けろよ。友情はどうした?
が、グレート井上くんは、なんと笑みさえ浮かべているではありませんか!
くそーーーーーー!こいつっ!
「いや・・・。お父さん、おちついてくださ・・・」
「きさまに父と呼ばれる覚えはない!」
決まり台詞。
「えっと。じゃー。伯父さん」。
「馴れ馴れしいわい!」
「じゃ、巨人ファンの井上さん・・・」。
「うむ」。
なんだそれ?
「呼びづらければジャイアンツ井上でもいいぞ」。
馬場か?
「僕は今日、偶然に夕子さんを見かけて、送って来ただけですから」。
「偶然?」
が、今度は夕子ちゃんが哀しそうな顔をします。
「えっと・・・。偶然・・・追いかけて・・・・」。
「追っかけただぁ?」
「あ。いえ。なんて言うか・・・。偶然に・・・落ち合いまして・・・・」。
「それでは、つきあってるわけじゃないと?」
「ええ」。
「じゃぁ、なんで娘の編んだマフラーしとるんだ?ええっ!?」。
「え!」
だってこれも10分前・・・。
ここでグレート井上くんが耳打ちします。
「父は、そのマフラー、ずっと自分のために編んでいると思ってたんだ」。
「えええええええ」。
小声で絶句。
「それがお前してるだろ?」
コクコク。
「そりゃぁ、ただじゃすまないわ」。
コクコク。
えらいことになってきました。
「これはその・・・。本日、お嬢様から賜りまして・・・・」。
「ほほぉ。賜った?」
「はい」。
「それでもきさまは、まじめにつきあってはいない、と言うんだな?」
「え!」
なんて言えば納得するのでしょう?
というか、絶対納得するつもりありません。グレート父さん。
「お父さん、おちついて」。
そこへようやくグレート母さんが、コーヒーカップを持ってやってきました。
こういうシチュエーションの場合、お母様はたいていこちらの味方。
「あのね。夕子は手足伸びきったと言っても、まだまだ子供ですからね」。
「はい」。
「しっかり責任持ってつきあっていただかないと」。
「はぁ?」
これにグレート父さん。
「まだ誰も許すとは言っとらん!」
そもそも許してくれと言ってません・・・。
いったいこの窮地をどう逃れましょう?



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なんとグレート父さん・・・。
そうです。井上家は厳格な家庭。こんな時間の娘の帰宅が許されるはずもないのでした。
グレート井上くんと手分けしていた?
「ごめんなさい。お父さん」。
覚悟を決めたように答える夕子ちゃん。
うーん。とっても気まずい雰囲気。どうしよ?
「井上・・・。えっとー、僕は・・・」
と言いかけたところで、すかさずグレート父さん。
「君が。娘を送ってくれたのか?」
「え・・。ええ。まぁ」。
「どうだ。お茶でも飲んでいかんか」。
とてもお誘いとは思えぬ強い語気。
「いえ・・。僕は・・」
「どうだ!お茶でも飲んでいかんか!」。
「あの、家に帰るのが遅く・・」
「どうだ!おちゃでも、飲んでいかんかぁ!」
「い、井上・・・」。
僕は親友グレート井上くんを頼りました。
が
「どうだ?お茶でも飲んでいかないか?」。
げ!
グル?
「うぅぅぅぅぅ」
幸子も?
「じ、じゃぁーーー、お言葉にあまえまして~・・・・」。
「わん」。
よく躾けられた犬です・・・。幸子。
まるで犬に諭されて、後をついていく僕。
間もなくしてグレート井上家。
大きなソファの向かい側には、グレート父さん。そのとなりに夕子ちゃん。横の椅子にグレート井上くん。
グレート母さんは、奥でお茶の用意をしているようでした。
うーん。考えれば考えるほどに絶体絶命。
最初に口を開いたのは、予想通り、グレート父さんでした。
「君にはー、テレビの時に世話になったがーーーー」
3章での話です。
「え?ええ」。
「あの後も巨人は勝たなかった。それどころか昨シーズンは最下位だ」。
いや。それはテレビのせいじゃなくって、長島監督に言っていただかないと・・・。
「ま・・・。それは許してやってもいいが・・・」。
なんで巨人最下位なのを僕が許してもらわなきゃならないわけ?
「君とは、まぁ、うちも長いつきあいだから、その~。単刀直入に言うが・・・」。
「・・・はい」。
「娘とはどういうつもりでつきあっている?」
「は?」
「娘とはどういうつもりでつきあっているのか、と聞いたのだ」。
いや・・・。聞いたのだとか言われても・・・。百歩譲ってつき合い始めたと仮定しても、まだ10分くらいですから。
「いや・・・。別につきあってるとかいうわけじゃ・・・」。
「するとなにか?遊びだとでも?」
「え!い、いえいえ!遊びだなんて・・・」。
「じゃ、まじめにつきあってるのか?」
え!その二者択一?
10分前なのに?
僕が答えに窮していると
「夕子。お前はどうなんだ?」
いや~。中学生の夕子ちゃんに、そんな本格的質問しても・・・。
が、夕子ちゃん。
「お父さん。あたし、まじめです」。
やはり。
グレート父さんの顔が、ハニワ状態からみるみる大魔神へと変化していきます。
井上~。助けろよ。友情はどうした?
が、グレート井上くんは、なんと笑みさえ浮かべているではありませんか!
くそーーーーーー!こいつっ!
「いや・・・。お父さん、おちついてくださ・・・」
「きさまに父と呼ばれる覚えはない!」
決まり台詞。
「えっと。じゃー。伯父さん」。
「馴れ馴れしいわい!」
「じゃ、巨人ファンの井上さん・・・」。
「うむ」。
なんだそれ?
「呼びづらければジャイアンツ井上でもいいぞ」。
馬場か?
「僕は今日、偶然に夕子さんを見かけて、送って来ただけですから」。
「偶然?」
が、今度は夕子ちゃんが哀しそうな顔をします。
「えっと・・・。偶然・・・追いかけて・・・・」。
「追っかけただぁ?」
「あ。いえ。なんて言うか・・・。偶然に・・・落ち合いまして・・・・」。
「それでは、つきあってるわけじゃないと?」
「ええ」。
「じゃぁ、なんで娘の編んだマフラーしとるんだ?ええっ!?」。
「え!」
だってこれも10分前・・・。
ここでグレート井上くんが耳打ちします。
「父は、そのマフラー、ずっと自分のために編んでいると思ってたんだ」。
「えええええええ」。
小声で絶句。
「それがお前してるだろ?」
コクコク。
「そりゃぁ、ただじゃすまないわ」。
コクコク。
えらいことになってきました。
「これはその・・・。本日、お嬢様から賜りまして・・・・」。
「ほほぉ。賜った?」
「はい」。
「それでもきさまは、まじめにつきあってはいない、と言うんだな?」
「え!」
なんて言えば納得するのでしょう?
というか、絶対納得するつもりありません。グレート父さん。
「お父さん、おちついて」。
そこへようやくグレート母さんが、コーヒーカップを持ってやってきました。
こういうシチュエーションの場合、お母様はたいていこちらの味方。
「あのね。夕子は手足伸びきったと言っても、まだまだ子供ですからね」。
「はい」。
「しっかり責任持ってつきあっていただかないと」。
「はぁ?」
これにグレート父さん。
「まだ誰も許すとは言っとらん!」
そもそも許してくれと言ってません・・・。
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いちばん?
ままちゃり氏ぴ~んち
なんか、はめられているような雰囲気ですね。
夕子ちゃん、真剣だったんだ。
巨人ファンの井上さんって。笑
大爆笑でした!!
ママチャリが言い返せないなんて、、井上家なかなかの連携プレー!!
グレート井上くんの父はジャイアンツ井上さんなんですね(^^)
こういうシチュエーションが本当にあるんですね。
なんだか家族みんなで、勝手に交際がスタートさせられそうですけど、
家族みんなの前で夕子ちゃんを振るのも難しいですし、
グレート井上くんも助けてくれなさそうだし、
ものすごく絶体絶命・・・。
がんばってください。
あ!!今日は2話アップなんですね。
続きが楽しみです。
これ、お父さん反対してるけど、
夕子ちゃんを応援してる結果になってるような(笑)
わぁ!こんな展開!
これって、「責任とって嫁にもらえー」状態じゃないですかw
夕子ちゃんにとっては好都合かしら・・・?
「まじめです。」って言葉にも表れてるし!
このピンチ、どうやって逃れるのでしょう~。
楽しみだぁ。
人が窮地に陥るのって、どうしてこんなに面白いんでしょう。
>まずこいつ
>人が窮地に陥るのって、どうしてこんなに面白いんでしょう。
それはあなたの性格が悪いからです。
>まるもさん 初登校一番載り
認定!
おめでとう。
>兵庫のわきやん
>なんか、はめられているような雰囲気ですね。
そういうわけでもないんですけどね。
ただ「つきあう」って感覚がないんですね。厳格な家柄なので。
やたっ!
優先された。(笑)
まだ、つきあってもいないママチャリくんに対してもこんな様子じゃ、村山くんとの結婚の時はどんなすごいことになってたんでしょうね?
しかし、マフラー・・・
父のためには編まないよなぁ、ふつう・・・。
>月澤さん
>まだ、つきあってもいないママチャリくんに対してもこんな様子じゃ、村山くんとの結婚の時はどんなすごいことになってたんでしょうね?
そっちはすん~なりといったみたいですよ。
信望が違いますね。
村山くん。
ザマーミロ!
ぷぷぷ!
いやぁ、学生のころの切ない恋愛を思い出しますねぇ。
学生のころって、なんてこんなにいい思い出なんでしょう。
今も、そのころに負けないくらい楽しいし、幸せなんですけどね。
人生って楽しい(^^)
やばいっ
とても面白い・・・
ルアルタイムでみたかった~
>せいこさん・・・・
>グレート井上くんの父はジャイアンツ井上さんなんですね(^^)
こういうシチュエーションが本当にあるんですね。
いや。だから全部ノンフィクションじゃないっちゅうに・・・。
でも阪神ファンの家ならありそう。
>なんだか家族みんなで、勝手に交際がスタートさせられそうですけど、
>家族みんなの前で夕子ちゃんを振るのも難しいですし、
グレート井上くんも助けてくれなさそうだし、
>ものすごく絶体絶命・・・。
そうなんですよねぇ・・・・。
これはかなり近い場面に遭遇しましたね。
巨人おじさんかどうかは別として。
井上くんと幸子が、ママチャリくんに仕掛けた悪戯なんだろうなぁ。
厳格なお家と言うのは、往々にしてそんなもんですヨ。
グレート井上家の大事な、大事な一人娘に手を出そうなんざぁ、神が許しても、ドーベルマンの”幸子”が許しませんん!!!
グレート井上家のおかぁ様も、なかなかの人物とお見受けしましたぁ。
「しっかりとおつきあい・・・」もうママチャリさん『はいっ』って言うしかないでしょ・・・!!!
やはり井上家
グレートです
ママチャリさんヤバイじゃないですかw
井上クンも笑ってないで助けてあげてぇww
スッゲ~勘違いまあ頑張れママチャリ
読んでて電車の中で吹いた
どうしてくれんだ
ぼくたちと大好きな人が自分のために窮地に陥っているのに
その事を申し訳なく思うよりも自分の恋心を成就させることに一生懸命なところが
いじらしいと言えばいじらしいけれども
やっぱりアイドル育ちなのかなぁ・・・
と思った私は意地悪ですか(≧▽≦)
どうだ!おちゃでも、飲んでいかんかぁ!