ぼくたちと駐在さんの700日戦争

SCENE11

マスター。
30歳台、らしい。
言うまでもなく、ここのオーナー。当然ながら、ハミングバードの持ち主でもある。

「あのねぇ、よくやってくれてるのはありがたいんだけどサ」
「はい。なんでしょう？マスター」

「なんで、BGM、ずっとアリスなわけ？　好きだっけ？」
「いや・・・・、そんなことはないんですが・・・・」

「ここはさぁー、東京FM、聴きたくって来る人、けっこう多いんだよね。知ってるでしょ？」
「すいません・・・」

「おかげで、あそこはアリスしかBGMかけないって、ヘンなふうに評判になっちゃって」

「あと、少しだけでいいですから・・・・」
「あと少し？」

「ええ・・・・。あと少しの間だけ」

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「殺人事件の犯人、さがしてんだって？」
「え！誰がそんなこと言ってました？」

「孝昭クン、かな？　カナリ屋さんとかでも言ってた。またおもしろいこと始めてるって」

「あのバカがぁ・・・・・！」

「駐在さんに知れる前に、やめたほうがいいよ？」
「いや、やめるもなにも・・・・」

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「まぁ、君のおかげで、5割くらい客増えてるからいいんだけどね」
「え！前って、これより5割も少なかったんですか!?」

「まぁ・・・ね。でなきゃ夜にスナックなんかやんないよ」
「へぇーー。よくつぶれませんねーー。逆に感心しちゃいますよ」

「余計なお世話だっつぅの！」
「すいません・・・」


「アリス・・・ねぇ・・・・・」


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