13.
雑踏へと入って行くと
君はふり向き、ふり向き
わたしのことを待っている
ゴメンネ
わたし・・・わざと遅れてるの・・・
お祭りには、学校の子もいっぱいだし
学校始まったら、ひやかされちゃうでしょ?
ううん。ちがう
君にかまわれたくて・・・
君に振り向いてほしくって
遅れてるんだ、わたし
君はあいかわらず、サエちゃんの面倒をみてて
まるで本当の従姉妹みたい
あ、水ヨーヨー
「お金、出しちゃったの?」
「あ?うん。お金払わないと泥棒だから」
「ゴメンナサイ、いくらだった?」
わたしは小さな小銭入れから
10円玉3つ。
「別にいいよ」
「そういうわけにいかないよ」
そう言って
わざと10円ずつ、
10円・・・
20円・・・
君の手のひらに置いた
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