ぼくたちと駐在さんの700日戦争

相模コーチが一喝します。
「じゃ、このメンバーで音楽祭と春のコンクールまでいきますからね！いいですね？」

「は～い」。

「じゃ、男子。君たち、パートは？」

「いえ。俺んちは一戸建てです」。

「？」

「ばか。西条。アパートじゃなくってパート」。
「ああああ。母ちゃんは正社員です」。

これだ・・・。
誰がコーラスやるのにお前んちの家庭事情を聞く？

相模コーチ。
「しょうがないわね。じゃ、声出してもらって決めるから」。

これもまたとんだ過ちの元でした。

会場を壇上に移すと女子生徒にピアノを弾かせ始める相模先生。

「はい！男子、はじっこからひとりずつ！」

♪どみそみど～
♪どみそみど～
♪どみそみど～

お。それなり？

が、チャーリーの番になり
♪どみそみど～

「あ？あなた、ちっちゃいわね」。

「んな！なんだとぉ！てめぇ！」

「？」

「くぉらぁ！どこ音大だか知らネェが、初対面のてめーにちっちゃいとか言われる筋合いねぇぞ！」

相模コーチ、言ってはならぬ言葉を言ってはならぬ相手に言ってしまいました。

「チャーリー。ちがうよ。声だよ。声」。

「あ？声？」

「え？あなた、なんだと思ったわけ？」

「どーみーそーみーどー♪」

まったく～。

そして今度はジェミーの番です。

「どーみーそーみーどー♪」

「あら。あなたはいいボーイソプラノねぇ。お名前は？」

「えっと～・・・」
「和美で～す」。

なんでブラジャーの名前言ってんだ。こいつ。
っていうか名前のあるブラジャーもめずらしいのですが。

驚いたのは和美ちゃん当人。目をまるくしてジェミーを見ています。

すかさず僕。
「あー。コーチ、こいつはジェミーでいいです。ジェミーで」。

「ジェミー？くん？」

「はい～」。

今度は西条くん。

「どーみーそーみーどー♪」
言葉は変わっていますが、音階が変わりません。

「えっとねー。君、音程変わってないんだけど。君のはどーどーどーどーどー、だからね？」

「どーどーどーどーどー♪」

「いや・・・そうじゃなくって・・・」。

先生は頭をかかえました。


そして久保くん。

「つぎっ」

「せ、先生。俺、ハウドゥユドゥです・・・」。

「はぁ？」

僕が通訳しました。
「えっとー。先生。彼はアレグロです」。

「アレグロ？」

「そう。アレグロ。つまり、大急ぎです」。
と、僕が言い終わるかいなか、久保くんは壇上を降り、大急ぎでトイレへとむかったのでした。

「なにか・・・・骨がありそうね・・・。男子メンバー・・・・」。

そりゃそうでしょうとも。




人気ブログランキングプチ予告ついてます（予告が変わっていない場合は1時間後再度ごらんください）


　　　　9章-第10話へつづく→


mixiに「ぼくちゅうコミュ」現在589名が参加！。mixiやってる方、ぜひどうぞ！
招待状のほしいかたはトップページから。

関連記事

• 9章-第10話 アレグロとアダージョ(3)
• 9章-第9話 アレグロとアダージョ(2)
• 9章-第8話 アレグロとアダージョ(1)