翌日の朝礼。あの女性コーチ”相模さん”が壇上にいました。
教頭先生が子細を説明します。
「えー。今年、3年生を送る会で~、1、2年生は合唱団を形成いたしますが~、その合唱団で~、県の主催する音楽祭に出場するはこびと~なりました~」
「このコンクールは~、一般の人たちも~、参加するもので~、今回~、うちの学校は~」
どこでもそうですが、こういう先生の話はベラボーに長いので、要約いたしますと
どうしてコーラス部のない当校が音楽祭出場校に選ばれたか?と言いますと、今年、うちの学校が春の全国合唱コンクール予選の会場となっている、らしいのです。
会場提供校にコーラス部がないのは前例がないらしく、かと言って、春になってから組織したのではとうてい間に合わないので、今年の「送る会」の合唱団をそのまま使おう、ということになったようです。
そこでこの急ごしらえのために呼ばれたのが
「え~、相模先生は~、武○野音楽大学声楽科を卒業され~、現在~、音楽教師として~」
長いので省略しますが、そういう方らしいです。
つづいて相模コーチの挨拶。
「みなさん。はじめまして。そういうことで時間がありませんので、ビシッバシまいりますのでよろしく!」
→ → → → → → → → → → → → → →
そして放課後の学校放送。
”西条くん、ほか一味は、今すぐ生徒指導室前に集合してください。くりかえします・・・”
「なんだ?一味って・・・」。
「うわー。腹たつなー!いつ西条の家来になった?」
「あんな学校放送ありか?」
が、これだけの放送でありながら、しっかり全員が生徒指導室前に集まっていたのは、みんな自覚があるというか、慣れているというか。
廊下にずらりと並んだ僕たち。
「お。集まったな。わりーわりー」。
現れたのは、生徒指導の工藤先生ではなく、バリトンくんでした。
「え!集めたのお前?」
「うん。手っ取り早いから学校放送使った」。
「てめー、放送委員の職権乱用だぞ、それ」。
「まーまー。孝昭、悪い話じゃないからさ」。
そして僕たちはバリトンくんにつれられゾロゾロと体育館へ。
そこには女子生徒ばかり3、40名もおりました。
見慣れた顔、見慣れない顔、さまざまです。
そこには長内さんはもとより、和美ちゃんの姿もありました。
僕と目が合い、ふとうつむく和美ちゃん。
そこへなんと相模コーチ。
朝礼時と違い、ジャージを着ています。
「はい!男子希望者も集まったわねーーー」。
「希望者?」
「なんの?」
「コーラス部に決まってるでしょ!」
「え!」
「いや、俺ら、そんなこと微塵も・・・」。
が、バリトンくん。
「はい!集まりました!」
「おいおいおい。バリトン、無茶言うなよ。こら」。
「ふん。西条。お前、洗車申し込みを忘れたとは言わせないぞ」。
そうです。西条くんは、ゆき姉の預金をかき集める際に、僕たちを勝手にバイト登録したことがありました。
「西条はともかく俺らはなー・・・」
するとバリトンくん。突如小声で
「お前ら。バレンタイン、いらないのか?」
「あ!」
そうです。そこにはあふれんばかりのチョコの元!
この言葉に、ほとんどのメンバーが黙ってしまいました。
「男子!なにごちゃごちゃ言ってるの?希望してない人いるわけ?」
「いませ~ん」
こらこら・・・・。
しかし元々チョコに困らないグレート井上くんと村山くんはちょっと違いました。
「じょ、じょーだんじゃないよ!」
「そ、そうだ!つきあえるか!」
孝昭くん。大歓び。
「あ。井上くんと村山くんはちがいますから、帰してあげてくださ~い」。
こいつ・・・ライバル減らすつもりだな?
というか、女子から見れば、ライバルにさえなっていませんが。
が、これに今度は女子がだまっていません。
「え~。井上くぅ~ん。いっしょにやりましょ~よ~」。
「むらやま先輩~。おねがいしますぅ~」。
彼らを帰さぬように、取り囲むのでした・・・。
本日は2話連続アップです。第9話へどうぞ!→
教頭先生が子細を説明します。
「えー。今年、3年生を送る会で~、1、2年生は合唱団を形成いたしますが~、その合唱団で~、県の主催する音楽祭に出場するはこびと~なりました~」
「このコンクールは~、一般の人たちも~、参加するもので~、今回~、うちの学校は~」
どこでもそうですが、こういう先生の話はベラボーに長いので、要約いたしますと
どうしてコーラス部のない当校が音楽祭出場校に選ばれたか?と言いますと、今年、うちの学校が春の全国合唱コンクール予選の会場となっている、らしいのです。
会場提供校にコーラス部がないのは前例がないらしく、かと言って、春になってから組織したのではとうてい間に合わないので、今年の「送る会」の合唱団をそのまま使おう、ということになったようです。
そこでこの急ごしらえのために呼ばれたのが
「え~、相模先生は~、武○野音楽大学声楽科を卒業され~、現在~、音楽教師として~」
長いので省略しますが、そういう方らしいです。
つづいて相模コーチの挨拶。
「みなさん。はじめまして。そういうことで時間がありませんので、ビシッバシまいりますのでよろしく!」
→ → → → → → → → → → → → → →
そして放課後の学校放送。
”西条くん、ほか一味は、今すぐ生徒指導室前に集合してください。くりかえします・・・”
「なんだ?一味って・・・」。
「うわー。腹たつなー!いつ西条の家来になった?」
「あんな学校放送ありか?」
が、これだけの放送でありながら、しっかり全員が生徒指導室前に集まっていたのは、みんな自覚があるというか、慣れているというか。
廊下にずらりと並んだ僕たち。
「お。集まったな。わりーわりー」。
現れたのは、生徒指導の工藤先生ではなく、バリトンくんでした。
「え!集めたのお前?」
「うん。手っ取り早いから学校放送使った」。
「てめー、放送委員の職権乱用だぞ、それ」。
「まーまー。孝昭、悪い話じゃないからさ」。
そして僕たちはバリトンくんにつれられゾロゾロと体育館へ。
そこには女子生徒ばかり3、40名もおりました。
見慣れた顔、見慣れない顔、さまざまです。
そこには長内さんはもとより、和美ちゃんの姿もありました。
僕と目が合い、ふとうつむく和美ちゃん。
そこへなんと相模コーチ。
朝礼時と違い、ジャージを着ています。
「はい!男子希望者も集まったわねーーー」。
「希望者?」
「なんの?」
「コーラス部に決まってるでしょ!」
「え!」
「いや、俺ら、そんなこと微塵も・・・」。
が、バリトンくん。
「はい!集まりました!」
「おいおいおい。バリトン、無茶言うなよ。こら」。
「ふん。西条。お前、洗車申し込みを忘れたとは言わせないぞ」。
そうです。西条くんは、ゆき姉の預金をかき集める際に、僕たちを勝手にバイト登録したことがありました。
「西条はともかく俺らはなー・・・」
するとバリトンくん。突如小声で
「お前ら。バレンタイン、いらないのか?」
「あ!」
そうです。そこにはあふれんばかりのチョコの元!
この言葉に、ほとんどのメンバーが黙ってしまいました。
「男子!なにごちゃごちゃ言ってるの?希望してない人いるわけ?」
「いませ~ん」
こらこら・・・・。
しかし元々チョコに困らないグレート井上くんと村山くんはちょっと違いました。
「じょ、じょーだんじゃないよ!」
「そ、そうだ!つきあえるか!」
孝昭くん。大歓び。
「あ。井上くんと村山くんはちがいますから、帰してあげてくださ~い」。
こいつ・・・ライバル減らすつもりだな?
というか、女子から見れば、ライバルにさえなっていませんが。
が、これに今度は女子がだまっていません。
「え~。井上くぅ~ん。いっしょにやりましょ~よ~」。
「むらやま先輩~。おねがいしますぅ~」。
彼らを帰さぬように、取り囲むのでした・・・。
本日は2話連続アップです。第9話へどうぞ!→
- 関連記事
-
- 9章-第9話 アレグロとアダージョ(2)
- 9章-第8話 アレグロとアダージョ(1)
- 9章-第7話 極悪非道
もてる男はつらいですね~;
バリトン君もなかなか悪辣・・・。笑
先ほどやっと
読んでなかった分読み終わりました。
ご無沙汰しております
前に何度か書き込みさせていただいた
桃太と申します。
家を離れていた分まとめ読み♪
うれしいビックリと(おめでとうございますっ!!)、いつものごとく感動、笑いをありがとうございます。
また書き込みさせていただきます
よろしくお願いいたします。
ふふ。
やっぱりコーラス入るんですね~。
みんなの勇姿が見たいw
相模先生を相撲先生と見まちがいしたのはナイショですtt
いろんな意味で男子の皆さんご愁傷様^^
悲喜こもごもです。
さっすが、井上君と村山君♪
もてる男は辛いよ
ってか、
みんなはそんなにチョコが欲しいのか...
でも、おもしろうコーラス部になりそうですね☆
一味ですかw
どこかのヤクザの組合みたいですね。
西条組……?w
一味!
なんてぴったりな。
今まで何をしていたの、村山先輩。
夕子ちゃんは元気ですか?
あー、厳密に言えば、なにもしていないから久々なのかしらぁ。
・・・今書いてて思った。
リアルタイムのブログ小説って雑音多くて書きにくいのでは?
ある意味、修行。
“西条君と、ほか一味”が妙にツボにハマってしまって困っています。
うへへへへ…いひひひひ…
はぁ、おなか痛い。
バリトン君の校内放送で、ちゃんと集まるママチャリさん達は、ある意味西条君一味な訳ですネ。
今も昔も、やっぱ”バレンタイン”って、一大行事だったんですネ。
(昔は義理チョコとか無かったようなぁ???)
本当に真剣にチョコ渡したような気がします。
その恋ですかぁ・・・?!一応受け取ってくれましたヨ。あとは・・・ムフフって感じですか。
なぜぼくちゅうはこんなにおもしろいんですか
ところで1つ疑問なんですが、なぜジェミーはジェミーって名前なんですか?
よかったら教えてくださいヾ(=^▽^=)ノ
村山、うらやまし過ぎる
今日はここまで読みました
下線の文斜体の文太字の文
西条くん、ほか一味の機動力は素晴らしいです!
確かに、
教頭先生の話はながいですよね
(((o(*゚▽゚*)o)))
早く終わりにしたかったのを覚えています(-_-)