ぼくたちと駐在さんの700日戦争

親熊がいる、それも弱っている、となればハンターは、必ず戻ってくるでしょう。

「まぁ、子熊がいるんだから、親熊はいるとふんでるだろ。どっちかって言えば、おびき出すために捕まえたみたいなもんだ」

「おびき出す・・・・って・・・」「・・・・駐在を？」

「親熊をだ！バカヤロ！」

「な・・・・・っ！」
「きったねーーーー！」
「大人はきたねーぜ！」

「お前らから言われる筋合いの大人は、この世にいない」

この世・・・・。
ずいぶんグローバルに言われちゃってます・・・。

「駐在が下りないってなるとーーー」

「なんでそこから始まる!?」

「だってなぁー」
「そうそう。一番生きちゃってるわけだしー」
「俺ら、まだ17年しか生きてないしー」

「お前らは、人生170年分は楽しんだだろうから、いつ死んでも大丈夫だ！」

勝手に決められては困ります。

「でも、ここは警察官が行くべきでは？」

「私有地の倒れた生き物まで知るか！」

くやしいけれど正論です。

これではラチがあきませんので、

「それじゃーーー」

ってんで、

「多数決で決めよう！誰が下りるのがいいと思いますか！」

「駐在！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」「ママチャリ！」

「では、圧倒的多数ということで・・・」

「そんな多数決あるか！」

不満があるようです。

「しかたないなー。じゃぁ、もう1回」

「駐在！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」「ママチャリ！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」

「きっさまらぁああああああ！」

怒ってはいますが、必ず参加しています。駐在さん。

「え～？公務員なのに民主主義に従わないなんて～」

「お前らの民主主義は、かたよりがある！」

「そんなことありませんよ。じゃぁ、みんな、あれはなんに見える？」

「雲！」「雲！」「雲！」「雲！」「雲！」「雲！」「雲！」「雲！」

「ほらぁ。民主主義は正しいです」

「なんだそれは・・・・」

「では、誰が下りたらいいと思いますか？」

「駐在！」「ママチャリ！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」

やっぱり参加はする駐在さんです。
おもしろい人だ。

「おしい！駐在さん、遅い！」

「くっそぉ！もう1回だ！」

「わかりました。もう1回だけですよ？」

すでに民主主義からは離れ始め、そういうゲームになりつつあります。

「千葉！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」「駐在！」

「わはははは。俺の勝ちだ！」

「あーーーきったねぇ！名前の短い千葉を持ってくるとは！」

「なんとでも言え」

これでは、どんなに多数決をとっても決まるはずがありません。

そこで駐在さん、自分が行きたくない一心で、
「体重が一番軽いヤツが行けばいい」
などということを言い出しました。

「それぞれ体重を言え！」

「俺、4t」「俺、5t」「おいら6t」「僕10万t」

「ウルトラ兄弟か？お前ら」


このメンバー中、最も体重が軽いのはジェミー。

「ボクは1兆万トンありますぅううううう」

「心配すんな、丹下。ちゃんとロープあるから」

と、駐在さんがシビックパトカーから持って来たのが

『立ち入り禁止テープ』

そう。殺人現場などで張られるヤツですが、

「絶対切れます～～～～～～～～！」

「冗談だ」

駐在所のパトカーには、標準で黄黒ロープが積まれているのです(←本当)

これをジェミーのベルトに結びまして、

「行け！ジェミーーーー！」

「熊が襲いそうになったら、引っ張ってくださいよね？」

「わかってるってー」
「心配すんな」
「熊釣れるかなぁー」

「餌じゃありませんっ！」

「つべこべ言わずに行け！」

探索開始～。



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