ぼくたちと駐在さんの700日戦争

＜出先からなので、ぶっつけです＞

うら若き女性の隣りで、パンツ1丁の僕です。
ただし、うら若き女性側は、うら若きスケ番なので、まったく気に留める雰囲気もありません。
うら若きスケ番とは言え、うら若き女性なのですから、うら若き男がパンツ一丁でいるのにまったく気にしないってのは、うら若き女性としていかがなものかと

「うらうらうるせーぞ」

「すいません・・・」

こういうシチュエーションで、男が困るのは、なんかの拍子で興奮状態に陥ってしまうこと。
つまり。「ばす～～～ん」です。

これはもう、とりつくろいようもないほどに「正直な状態」なわけで、「あなたをそういう目で見てました」と顔に、いや、パンツに書いているようなもの。

検便提出の日に、なぜか検便が行方不明になり、
「え？◯◯くん、検便落としたの？」
と、全員の前で先生に言われたあげく、
「どこで落としたの？」
「えっと、この教室だと思います・・・・」
などと、泣きべそ半分で発表させられ、
「はい。じゃ、みなさんで、◯◯くんの検便さがしましょう」
などと、全員に通達され、
「え～～～冗談じゃないぞ～～～」
とか、クラスメイトに嫌な顔されて、
「困ったときはおたがいさまでしょ？」
などと先生に「困った者扱い」されたあげく、
よりによって女子に発見されたくらいに恥ずかしいことです。

僕は、極力そういう状態に陥らぬよう、早苗さんを見ないようにしていました。
だって。
早苗さん。けっこうセクシーだったりするわけです。

「おい」

「は、はい？」

他所を向いたまま返事する僕に、

「てめぇ。どこ向いて返事してやがんだ？」

「あー・・・いえ。す、すいません」

「背広のポッケにザンプ、入ってないか？」

「ダンプですか？」

「ざーーーんーーーぷーーー。残り布のことだ」

「あ～～～～～、はい。あの余り布ですね。ざんぷって言うんですか」

「普通は言わねーが、オーダーでは、そう言うんだよ！」

「オー・・・・・ダー・・・・？？？？」

なんですって!?

「え！この背広、吊るしじゃないんですか!?」

「あ？オーダーだろ、こりゃ。けっこうな高級品だぞ？」

「オーダー・・・・ウソでしょ・・・？」

「なんだ？知らなかったのか？」

やばい・・・・

駐在さんに殺されるかも・・・・

「しかも英国製だ」

「英国・・・・・・・」


それに血しぶき・・・
ズボンはカギ裂き・・・
お揃いのハンカチは変色・・・

「早苗さん、それって・・・・いくらくらいなんでしょう？」

「そうさなー。紳士服の相場はよくわかんねーけど、まぁ、ン十万はくだんねーだろな」

「・・・・・・ン十万・・・・・・？」

背広のクセに、ン十万？

「お前らの学生服だって、1万や2万はすんだろ」

「え！僕らの制服って、そんなにするんですか？」

「あったりまえだ！だからお前にやった制服も高いつったろが」

「あー、あれはセーラー服だし・・・・」

「そういう意味で高いんじゃねーんだよっ！」

「あ。ですよね・・・」

つい『西条算』で計算してしまいました。

そうか・・・・服ってそんなに高いんだ？

なにしろ被服系には、まったくうとい男子高校生。


それにしたってン十万て・・・

「す、少しくらいまかりませんか？」

「アタシに言ってもしかたねーだろ」

「そうですよね～～～・・・・そりゃそうですよね～～～～・・・」

「オーダーなら、信長に言わないと！」

「あーはーはー・・・はー・・・・オーダーのぶながー・・・あはーはー・・・」

「おい、大丈夫か？お前」



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