誰って、西条くん、孝昭くんコンビです。なんて辞書の似合わない2人でしょう?
「すげっ!そ、そいつはすごいぞ!」
「だろだろ?こいつは俺の勝ちだな」
「くっそー。次は負けねぇからな!」
図書館なのに、とにかく賑やか。
「お前ら・・・。なにやってるわけ?」
「え?金田一耕助ごっこ」。
「なんだそれ?」
「ほら。辞書書いてるじゃん。金田一耕助」。
「おまえら。それ金田一京助だろ?」
区別ついてなかったのか・・・。
「それで?その金田一ごっこってなんだ?」
「うん。辞書かたっぱしから調べてな」。
「ああ」。
「より興奮する言葉さがしたほうの勝ち」。
それのどこが金田一なんだ?
それにしても字で興奮できるとは安上がり。
「図書館なんだから静かにしろよ。仲間ってばれてんだからさ」。
そうです。僕たちは別に「興奮する単語」を探しに来たわけではなく、森田くんのロザリオがなんであるか見つけるために図書館をたずねていました。
森田くんは恵美ちゃんのところへ説得に行っていていません。
調査はもっぱら僕とグレート井上くんで、この2人はひたすらに邪魔しているだけでした。
僕に文句を言われた二人は、しぶしぶ辞書を本棚へと返すと、なにやら次の娯楽をあたっていました。
「なぁ。これ見てくれ」。
グレート井上くんが僕を呼びました。
「あったのか?」
「いや。そうじゃないんだけど。ここに円福寺、載ってるんだけどさ・・・」。
それは地域の歴史を書いた本でした。
「うん。それがどうかしたか?」
「いや・・。ここ」。
「寺?」。
「そう。この地域を見ろ。地図わかりづらいけど、この美濃山って、森田んとこの上だろ?」
「確かに・・・そうだ」。
「そこに昔、円福寺から分家した寺があったって書いてある」。
「うん。万福寺?」
「で、こっちの地図だ」。
井上くんが数ページめくりました。
「寺がないだろ?」
「ああ。なくなってるな」。
「で、詳細を見ると、西暦1660年頃に焼失、とある」。
「うん」。
「江戸大殉教火あぶりが1623年」。
「?」
僕は初め、グレート井上くんがなにを言いたいのか、さっぱりわかりませんでした。
「1637年に天草四郎の乱」。
「キリシタン弾圧のことか?」
「やっとわかったな。この後明治直前まで弾圧続くんだがな」。
「この頃に寺請制度がしかれるんだが」。
「寺請制度・・・。寺請制度ってなんだっけ?」
「お前。日本史だめなんだっけ?」
「いや・・・だめって・・・まぁ、だめだけどさ・・・」。
他の人からならともかく、グレート井上くんから言われると堪えます。
「キリシタンを見つけるために住民はどこかの仏寺の檀家にならなくっちゃいけなくなったんだ」。
「これが後の戸籍台帳になるんだけどね。もともと日本の戸籍制度はキリシタンを見つけるためにしかれたんだよ」。
「へ・・・へぇー」。
「へーって、習ったぞ。お前なにやってた?」
なにやってたって言われたって、授業内容覚えてないくらいですから、なにやってたかなんて覚えていません。
「つまりな。この時万福寺は檀家持ってたってことだよな?」
「あ、ああ。そうだな」。
「で、焼失後だ。檀家はどうなったと思う?」
「え・・・と・・・」。
「寺は再興されていない。つまり」
「なくなった」。
「うん。でな。ここに一人の住職の名前が出て来る」。
「うん」。
「森田草庵って人」。
森田くんの先祖?
「この人な。この本によると、キリシタンをかくまった罪で処刑されてる」。
「火あぶり・・・」。



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「すげっ!そ、そいつはすごいぞ!」
「だろだろ?こいつは俺の勝ちだな」
「くっそー。次は負けねぇからな!」
図書館なのに、とにかく賑やか。
「お前ら・・・。なにやってるわけ?」
「え?金田一耕助ごっこ」。
「なんだそれ?」
「ほら。辞書書いてるじゃん。金田一耕助」。
「おまえら。それ金田一京助だろ?」
区別ついてなかったのか・・・。
「それで?その金田一ごっこってなんだ?」
「うん。辞書かたっぱしから調べてな」。
「ああ」。
「より興奮する言葉さがしたほうの勝ち」。
それのどこが金田一なんだ?
それにしても字で興奮できるとは安上がり。
「図書館なんだから静かにしろよ。仲間ってばれてんだからさ」。
そうです。僕たちは別に「興奮する単語」を探しに来たわけではなく、森田くんのロザリオがなんであるか見つけるために図書館をたずねていました。
森田くんは恵美ちゃんのところへ説得に行っていていません。
調査はもっぱら僕とグレート井上くんで、この2人はひたすらに邪魔しているだけでした。
僕に文句を言われた二人は、しぶしぶ辞書を本棚へと返すと、なにやら次の娯楽をあたっていました。
「なぁ。これ見てくれ」。
グレート井上くんが僕を呼びました。
「あったのか?」
「いや。そうじゃないんだけど。ここに円福寺、載ってるんだけどさ・・・」。
それは地域の歴史を書いた本でした。
「うん。それがどうかしたか?」
「いや・・。ここ」。
「寺?」。
「そう。この地域を見ろ。地図わかりづらいけど、この美濃山って、森田んとこの上だろ?」
「確かに・・・そうだ」。
「そこに昔、円福寺から分家した寺があったって書いてある」。
「うん。万福寺?」
「で、こっちの地図だ」。
井上くんが数ページめくりました。
「寺がないだろ?」
「ああ。なくなってるな」。
「で、詳細を見ると、西暦1660年頃に焼失、とある」。
「うん」。
「江戸大殉教火あぶりが1623年」。
「?」
僕は初め、グレート井上くんがなにを言いたいのか、さっぱりわかりませんでした。
「1637年に天草四郎の乱」。
「キリシタン弾圧のことか?」
「やっとわかったな。この後明治直前まで弾圧続くんだがな」。
「この頃に寺請制度がしかれるんだが」。
「寺請制度・・・。寺請制度ってなんだっけ?」
「お前。日本史だめなんだっけ?」
「いや・・・だめって・・・まぁ、だめだけどさ・・・」。
他の人からならともかく、グレート井上くんから言われると堪えます。
「キリシタンを見つけるために住民はどこかの仏寺の檀家にならなくっちゃいけなくなったんだ」。
「これが後の戸籍台帳になるんだけどね。もともと日本の戸籍制度はキリシタンを見つけるためにしかれたんだよ」。
「へ・・・へぇー」。
「へーって、習ったぞ。お前なにやってた?」
なにやってたって言われたって、授業内容覚えてないくらいですから、なにやってたかなんて覚えていません。
「つまりな。この時万福寺は檀家持ってたってことだよな?」
「あ、ああ。そうだな」。
「で、焼失後だ。檀家はどうなったと思う?」
「え・・・と・・・」。
「寺は再興されていない。つまり」
「なくなった」。
「うん。でな。ここに一人の住職の名前が出て来る」。
「うん」。
「森田草庵って人」。
森田くんの先祖?
「この人な。この本によると、キリシタンをかくまった罪で処刑されてる」。
「火あぶり・・・」。



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- 関連記事
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- 8章-第37話 ロザリオの謎(5)
- 8章-第36話 ロザリオの謎(4)
- 8章-第35話 ロザリオの謎(3)
よく調べましたねぇ。
今後の展開、期待してます。
忘年会中に初登校です(笑)
俺達はカメくらいにたまたま見付けてずっと読んでました、アルコールの勢いで登校してます
辞書での単語探し私もやりました…なかなか見つからなくて広辞苑とかまで探す始末(なんの単語かは秘密…
ずっと応援してますんで頑張って下さい、本出たら即買います!
日本の歴史の残酷さを感じますね。
爺さんは祖先がキリシタン関係で罰を受けたからキリシタンを受け入れられないのかな。
日本史苦手です・・・
>より興奮する言葉さがしたほうの勝ち
やったことありますこれ・・・周りから見るとただの馬鹿だって言われました・・・
日本にも 火あぶりってあったんだぁ~(ーー;)
いつの時代も 残酷な事が あったんですねぇ~(ーー;)
ええ、私も、授業中は ほとんど寝てましたm(__)m
昔、相当長い間、金田一耕助は実在していて、京介さんはその孫だと思ってました。
祟りじゃ~!!!
戸籍台帳の始まりが檀家帳から始まったなんてびっくりです。勉強になりました。
そんなに複雑だったなんて、思いもよりませんでした。
うーん、、、、、
弾圧されたのに、ロザリオとっておいてあるんですよね?
とてもとても大事な物なんですね。
うわぁ~、そっちからかぁ~。
予想してたのは大はずれでした(笑)。
明日仕事なので、朝まで待てないのが、残念です・・・。
カトリックとプロテスタントは確かに習った記憶はあるんですが、
>寺請制度
え~~っと、ん~~・・・
謎解き編、面白いです。
美濃山にあったという万福寺・・これがどう絡んでくるのか?
おぉ・・。
面白くなってきた!!
キリシタン弾圧かぁ。
なんか納得ですね。
線がつながる感じ。
続きに期待!
そうですか...
何か...あれですね...
それはお祖父さん大反対しますよね...
宗教が絡むといつの時代・どこの国でも共通して
残酷な争いが勃発しますよね・・・
自分の信仰すら自由でなかった時代
だからこそのもがきが見て取れます
隠れキリシタンな気はしてましたが、、、、
泊まりの望年会(誤字じゃありません)だったので今頃登校です。
さて、2話目読んでこよっと。
布教活動が強力なキリスト教は、江戸幕府が転覆しかねないほどの力があったため殺害されたのでしょうか。
キリスト教の信者が多い欧米諸国は、前世紀では半神となり、アジアのほぼ全土をいかなる方法で植民地支配したのでしょうか。
キリスト教の信者が多い米国は、原爆や東京大空襲などで、80万人と言われる大量の一般市民を殺害したのにもかかわらず、公式に謝罪する人一人も現れないのでしょうか。
蒋介石に協力し、南京大虐殺と呼ばれる嘘の宣伝をでっち上げたスパイのなかに、キリストの神父が大勢いたのでしょうか。
言論の自由のない中国では、キリスト教などの宗教の自由もないのでしょうか。
宗教と国と戦争って結構繋がっていそうですね。
むずかしすぎる!!!
グレート井上君は、相変わらずの頭脳明晰ぶりに、ママチャリさんちょっぴりピーーーンーーーーチ????
もっとお間抜けなのは、言葉探しゲームに興じる西条君&孝昭君・・・。
力技以外はやっぱりって感じでしょうかぁ?!
森田君のお寺とロザリオの関係益々???
日本史は私も苦手でした。
今日も勉強になるぼくちゅうです。
歴史に隠された関係が解き明かされる。
何かわくわくとドキドキと憂いが混ざってます。
井上さんに日本史を教わりたかったな・・・。
私も国語辞典を見て 「金田一って実在したんだ!?」 と思ったことあります(笑)