ぼくたちと駐在さんの700日戦争

正月も3日め。
この日、神社へと向かう途中、なんとジェミーと会いました。

「あれ？ジェミー」

「あ～～～～、先輩どこ行くんですか？」

「どこって。・・・神社」

「え！先輩！引っ越したんですか？」

「誰が神社に引っ越す？初詣だよ、初詣」

「あ～～～～。どうりで荷物が少ないと思いました！」

それ以前に思うことはないのか？

「なんで3日めに？」

それは・・・。
実は和美ちゃんと待ち合わせしているからですが、当然、ジェミーにさとられたくありません。
こんなもんが着いて来たのでは、今年は初っぱなから厄年です。

そこで、
「いや。どこの神社がいいか、あちこち試してるんだ」

「へ～～～～。住みやすいところを？」

「引っ越しから離れろよ・・・・」

「じゃ、ボクも行きます～～～～～」

来た！

「いや・・・・お前は来るな」

「なんでですか～～～～～～！」

「えっとー。そう、親戚と待ち合わせしてるんだよ」

「ボク、初対面にも強いタイプです！」

くじけないヤツ・・・・。

「お前も、どっか行くとこだったんだろ？」

なにしろジェミーはとなりの市です。
ここにいること自体不思議。

「あ！そうでした！ボクはお寺に」

「へー。引っ越したんだー？」

仕返し。

「あははは～～～。先輩ってバカじゃないですか？お寺に引っ越すわけないでしょ？」

こいつぅうううううううう！

「お前がさっき言ったんだろうが！」

「あれは神社ですから」

「・・・・・・・・・」

まぁいいや。
コイツの思考を解読していると気が狂う。

「母の姉の嫁ぎ先がこっちなんですよ」

「へぇ～」

「へぇ、って知らなかったんですか？」

「知らねーよ！」

なんでお前の母の姉の嫁ぎ先まで知ってる？
というか、まったくどーでもいいことです。

なのに。

「先輩もたいしたことないですね～。ボクは小学校んときから知ってましたよ～？それくらい」

「そりゃお前の親戚だからだろ！」


ようやっとジェミーを振り切り、和美ちゃんと待ち合わせ。

「ウフフ、たいへんだったのね」

「笑いごっちゃないよ・・・・」

「丹下くんも、連れてくればよかったのに」

「はぁ？冗談じゃないって」

だって神社側には。
ふたりっきりになれる秘密の場所があるからです。

ところが神社に辿り着くと、

「ジェミー！」

なんと、お母さんと、おそらくその姉と、さらにその嫁ぎ先の人と一緒のジェミーが。

なんでここに？？？

「先輩こそ～～～～～～」

・・・・わかりました。
ジェミー。神社とお寺の区別が、いまひとつついていないようです。

「こんにちは。丹下くん！」
と、和美ちゃん。

「親戚って和美センパイだったんですか～～～～～～？」

「いや・・・まぁ・・・・」

「わかりました！」

「なにが？」

「新居さがしてるんですね？」

「神社に住まねーよ！」

でも、和美ちゃんは、というと。

『新居』という言葉に、顔を真っ赤にしているのでした。



　おしまい。

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