ぼくたちと駐在さんの700日戦争

さて。Dont Disturbした駐在さんは、どうなったでしょう？
お目覚めになられたでしょうか？
あれだけの看板をかかげたのですから、まさか駐在さんを起こす愚かな住民はいないはずです。

駐在所前。

　看板は？

駐在所前にバッキバッキに折られて捨てられていました。

お目覚めになられたようです。

折られ方がハンパじゃないので、よほどに熟睡されたのでしょう。
これでわが町の今夜の治安はバッチリです。

でも長居は無用。

僕はその足で、グレート井上くんの所へ行くことにしました。
グレート井上くんは、厳しい家ですので、T市などにはつきあえません。
しかし、作戦の事前相談はやっぱり頭脳グレート井上くんです。

自転車をとばして商店街。
バス停前で

「あ！いた！」
「先輩だよ！」

？

「待ってーーーーーーーーーー」
「せんぱーーーーーーーーい！」

女子高生の一団に声をかけられました。
女子テニス部です。

これだけ女子がいると、男子高校生ってのは、どうしてもかっこつけたくなります。

　キキィ！

自転車の後輪を無駄にスリップさせて、女子テニス部員の前にすべりこみました。

「なに？君たち。僕になにか用？」

「あのね・・・・先輩、これ」

なにか紙袋を渡されました。1年生の部員たちです。

「なに、これ？」

まいったなー。また？
和美ひとりにも、ろくな返事してないのに～♪
こりゃ井上よりモテてんじゃないか？

と、言いつつ、顔がゆるみます。

が。

「駐在さんから。替えのパンツですって」

「はあ・・・・・・？」

「ノーパンで困ってるはずだから、なんとしても見つけ出して渡してくれって！」

「へ!?」

ウソ・・・・・

　キャハハハハハ
　キャハハハハハ　キャハハハハハ　キャハハハハハ
　キャハハハハハ

早朝のニワトリよりうるさいものがありました。

女子高生の遠慮ない嘲笑です・・・。

「せんぱ～～～い。なんでパンツ穿いてないんですかぁ？」

　キャハハハハハ
　キャハハハハハ　キャハハハハハ　キャハハハハハ
　キャハハハハハ
　キャハハハハハ　キャハハハハハ

「い・・・いや・・・・・あり・・・がと・・・・」

おあしす運動。

スライドターンですべりこんだ分、立場がなくなりました・・・。


　くっそぉおおおおお
　駐在のヤツうううううう！

怒りで駐在所に引き返した僕でしたが、駐在さんはいませんでした。

代わりに奥さんが、

「あ。ママチャリくん。パンツ受け取った？」

「ええ。受け取りましたともさっ！」

奥さんまでかんでたのか！

もっとも奥さんは、かなり２Vですから、そこに悪意はまったくなく加担しているわけですが。

「ひどい下痢なんですって？たいへんね」

「はあ？」

じゃ、替えのパンツって・・・

「またもらしたら、いつでも来てね！」

「いや・・・奥さん・・・」

またもらしたらって・・・。

「あのですねぇ！」

行ってしまわれました・・・。

ウ○コもらし疑惑をかけたまま・・・。


久保じゃあるまいし。まったく・・・。

　久保？　

　あれ？

　奥さん・・・久保・・・？

　奥さん・・・ネグリジェ・・・久保・・・・？

　あ！そうだった！

「奥さーーーーーん！ちょっと待ってくださーーーーい！」

そうだ。奥さんは、あのネグリジェの日、久保くんと誰かをまちがえたんだった！

確か劇団の春香さんが、A町で「護身術を教わった」というのが、「久保と似た人」！
それを弥生ちゃんに教えました。
その「構え」は、西条くんが習っていたという「柔道＋空手』の、極めてめずらしい流派です。

一方、奥さんが間違えたのも、おそらく、駐在さんが元いた町＝A町の人。

ようやっとたどりつきました！
場所も時期も一致する！
どっちも「久保と似ている」！

「奥さん、待って！」

「どうしたの？もうもらしちゃったの？困ったわねぇ・・・パンツあったかしら？」

「いえ・・・・そうじゃなくって・・・」



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