ぼくたちと駐在さんの700日戦争

【第7話 クボレンジャー(2)】

ショージくんたちが戻って来ました。
ショーイチくんたちも戻って来ました。
5人もいるのに、探索したのは2カ所だけ。

しかも

「えっとーーーー。どういうガキどもだっけ？」

そうです。
実は誰も「銀河戦隊」を知りません。
ショージくんのひとりが、ちょっと見かけただけ。

「考えてみたら見たことねーや。ショージはわかってんのか？」

「わかんね！」「ぜんぜん！」「さっぱり！」

なんのために見回って来たのでしょう？

役たたね～～～～～～～。

「あの・・・闇雲に捜してもダメだと思うんで・・・・。どこか思い当たるところはないんですか？」
と、弥生ちゃん。

「思い当たるところ・・・って言っても・・・・」

なにしろ一番知ってる僕の初対面が昨日です。

「え！その程度で付き添ってこられたんですか？」

「ええ・・・まぁ。断れなくって・・・・」

「なんてことするんですか！迷子になってくれって言ってるようなもんじゃないですか！」

弥生ちゃん、意外に手厳しい・・・・。

「そうだ！なんてことしやがんだ！」
「ざけんじゃねーぞ！」
「このボンクラがぁ！」

久保一族。さらに手厳しい。
その久保一族とは、今日初めて会ってるんですが。

「痛たた・・・！や、やめろよ！ショージ！」

当てずっぽうで言ってみましたが、

「詫びて死ね！」「バカヤローがあ！」「コンチクショーめ！」

誰もやめません・・・。
なんて都合のいい同姓同名。

でも、殴られたおかげで、脳が刺激されたのか

「あ！そうだ！」

思い当たるところが一カ所だけあります。

「銀河戦隊の宇宙船・・・・！」

「銀河戦隊？」

「そう！元来た公園にいるかも！」

すると久保一族、
「なんだ！元来たとこじゃねーか！」
「なんだってさっさと思いつかねー！」
「アホか！」

「痛たたたた！や、やめろよ！ショージ！」

誰もやめません・・・。

弥生ちゃんが、
「じゃぁ。そこ、行ってみましょう。わたしも一緒に捜しますから」

「え？いいんですか？」

「ええ・・・。劇団のせいでもあるし・・・」

おお！なんていいコでしょ！

「あ。お名前とか、うかがってませんでしたね？」

「あ、久保です！」
「久保です」「久保です」「久保です」「久保です」「久保です」

「え？みなさん久保さんなんですか？」

僕が、
「いえ・・・僕はちがいますが・・・・」

すると久保一族、
「テメー！ひとりだけ目立とうとしやがってー！」
「ざけんじゃねーぞ！」
「ひとりだけとりいろうってつもりだな!?」

いや・・・名前だから。
無茶言うな。

「クス・・・。。」
と、弥生ちゃん。

「へー。みなさん、ご親族なんですか？」

「そう。コイツひとりを除いて」

なんか、久保一族じゃないのが悪いことみたいに言いました。

「どうりで。みなさん気があってらっしゃるって言うか・・・」
と、弥生ちゃん。

うん。確かに気は合ってる。
特にショージ3人。

「そう！俺ら6人そろってーーーー」

「クボレンジャーーーー！」

ここでも、
「クス。。。クボレンジャーですか？」

う～～ん。確かにかわいい。
大人にばかり見えていましたが、ほほえむ笑顔は女子高生です。

なのに、
「で。どなたが隊長さんなんですか？」

「え？」「え？」「え？」「え？」「え？」「え？」

余計なことを聴いたものですから、

「俺に決まってんだろー」
「テメ！ショージ！弟のくせに！」
「兄貴ヅラすんじゃねぇ！」
「生まれ月は俺が一番早い！」
「ショージは早生まれだろうがぁ！」

さっそく仲間割れするクボレンジャーです。
地球を守るにはほど遠い。

「えっと。もめてる場合じゃないんだけど・・・」

「あ、そうだった！」

公園はすぐ近くなので、クボレンジャーはバイクで、弥生ちゃんは自分の自転車を持って来ました。
どうやら弥生ちゃんは、このあたりの人のようです。

しかし。

「いない・・・・・」

公園に銀河戦隊の姿が見当たりませんでした。

「どこ行ったんだろ・・・・」

途方に暮れる僕に、弥生ちゃんが、

「さっき、上級生とか中学生に、この場所をとられてるっておっしゃってましたよね？」

「ええ」

西条くんが加わって、ようやく治安が保たれたのです。

「じゃぁ・・・・。仕返しに行ったんじゃないでしょうか？」

「え？」

「ヒーローショーを見た後の子供って、とかく好戦的になりますから・・・」

「あ！ありえる！」

現実にもどっても、黒十字軍はいません。
そこで「敵」が欲しくなるわけです。
あのトシオのこと、じゅうぶんにありえます。

「近くの公園とか、広場とか、まわってみては？」

「近くって言っても・・・・」

西条くんの町はよくわかりません。

「わたし、知ってます」

こうして弥生ちゃんの自転車を先頭に、ゾロゾロと久保一族の大型バイクが着いていく、という奇妙な「暴走族」。

「あ！いた！」

弥生ちゃんの言う通りでした。
銀河戦隊は、実にあっけなく、すぐそばの公園にいて、上級生に挑んでいたのです。

「トシオ！めぐみちゃん！」

そして案の定、7,8人の上級生に、泣かされていましたが、

「あーーーー。あれかぁ」
と、久保くん。

「まさか、西条んとこのガキ、助けることになるとはなぁ・・・・」

久保一族は子供ぎらい。

が、弥生ちゃんがおりますので、

「行くぞ！クボレンジャーーーーー！」
「おお！」

「ショージは裏からだ！」
「おお！」「いいぜ！」「まかせろ！」

また3人揃って行っちゃいましたが・・・。
まぁ、今回はいいのか・・・。


ドドドドドドドドド・・・・！


クボレンジャー。ガキのケンカに突入。



人気ブログランキング｜ブログ村ランキング

　ぼくちゅうTシャツへ→
　第8話へ→

　▲目次へ

関連記事

• 銀河戦隊クボレンジャー 第8話
• 銀河戦隊クボレンジャー 第7話
• 銀河戦隊クボレンジャー 第6話