<フィナーレ連続アップです。←第100話からどうぞ>
裏から入るスタッフルーム。
しかし、男女は分かれているので、マリエさんの部屋には入れません。
『一本どっこ』の板場の人たちと、バスケメンバーのいる男子楽屋は、暗く沈んでいました。
やはり・・・・。
「井上!マリエさんの調子悪いのか?」
「そう・・・。腕が上がらなくなったって・・・。今、お姉さんたちがマッサージしてる・・・・」
「じゃ、どうなるんだ?車椅子ダンス・・・・・」
「僕たちに聴かれても・・・・」
そこに、
「さ~~~~みんな~~~~~。踊って来て~~~~~。男子ぜんぜん足りないから~~~~~」
いたって元気に、MCを終えた寅蛍が飛び込んで来ました。
「はい」「はい」「はい」
みんなの沈んだ返事に寅蛍。
「どーした!野郎ども!ノリ悪いぜ!」
板場の寅蛍にもどりました。
「はい!」「はい!」「はい!」「はい!」
「あ、寅蛍先生!」
と、僕。
「君も踊って来てよ。BOY。枯れ木も山のにぎわいだから」
枯れ木・・・
「それよりも・・・・マリエさん、大丈夫なんですか?」
「ン~~~~~。姉のことまで心配しくっていいから」
「だって・・・・・・・:
楽屋裏にも、ホールの賑やかな音は伝わりました。
ダンスが始まったのです。
僕は、マリエさんに会うことはかないませんでした。
会ったからといって、なにが変わるわけでもないのですが。
となると・・・・
車椅子ダンスは・・・・
「そうねー。3曲減らして、里美ちゃんひとりで行くしかないかもねー」
するとそこに、誰だかわからない女性が入って来ました。
「トラ、マリエの手、動いたから!早くして!」
どうやら上のお姉さんのようです。
「ホント?よかった~~~~~~~~」
「マリエ・・・・1曲くらいしか無理かも・・・・・」
「そう・・・・・ありがと。お姉ちゃん」
こうしてまたしてもプログラムが変更されました。
あいつぐプログラム変更にざわつく会場。
「またプログラムの変更?」
和美ちゃんは、僕に言われた通り、同じ場所に座っていました。
「うん・・・和美。踊った?」
「ううん・・・まだ。だって・・・・・」
もっともです。
のるには、あまりに短い1曲でした。
「車椅子のダンスは、つい最近、ドイツで始まって~~~・・・・」
壇上では、寅蛍の『ウィルチャーダンス』の解説が続いていました。
早口なのは、寅蛍もあせっている証拠でした。
僕たち以外、ほとんどの人が、「車椅子ダンス」のことを知りません。
会場は、さらにざわつきました。
「今日は、ウィルチャーダンスの模範演技をごらんいただきます。会場にいらっしゃる車椅子の皆様はぜひ参考にされてくださいまし」
真ん中が円状に空けられ、そこに登場したのは
マリエさんではなく、里美さんでした。
まるでこれからハンドボールの試合でもするように、きっとした表情の里美さん。
奇異なものを見るような多くの視線の中。
彼女の車椅子ダンスが始まりました。
寅蛍相手の、『ラ・クンパルシータ』。
本来は、マリエさんの演目です。
ダメだ・・・・。やっぱりマリエさんにはほど遠い・・・・・。
一度、マリエさんの同じ曲目を見ていた僕には、その差は歴然でした。
が、会場はちがいました。
とりあえず、車椅子でダンスができることに、ひたすら驚いていたのです。
やがて、大きな拍手が里美さんと寅蛍に与えられました。
実は、そのほとんどは「同情」の拍手でした。
2曲目も。
3曲目も。
それでも、もともと男勝りの里美さんは気丈でした。
そして。
その誰も予想だにしなかった事態は、4曲めでおきたのです。
「次が最後です。いままでは、わたくしがパートナーを努めましたが、次は車椅子同士による演目です!」
車椅子同士?
そんなことできるのか?
そこに、また拍手で迎えられ登場したのは、
マリエさんでした。
「みなさん。ようこそおいでくださいました・・・」
マリエさんの挨拶です。
「わたしは、体の筋肉が順番に動かなくなる、というやっかいな病に冒されました」
会場はシンと静まり返りました。
「でも、踊っているのが好きだから。ずっと踊りたかったから。車椅子でも、手が動く限りは踊りたいと思っています」
「それも。おそらく今日が最後・・・・。」
「でも、わたしは不幸だなんて思っていません。今日までずっと、好きな踊りを続けられたのですから」
横で、じっと聞き入る里美さんと寅蛍。
「今日は、たぶん世界でも初めての、車椅子同士によるダンスをご覧にいれます」
「わたしと同じ車椅子の皆さん。どうか希望を失わないでください」
「翼がなくとも、飛ぶことはできます」
そう結んで、マリエさんは、
「トラ。今日までありがとう・・・・」
弟に向かって言いました。
いっせいに起きる大きな拍手の中。
寅蛍は、柄にもなく、
マイクに音が入るのも忘れて、
泣いていました。
最終話へ→
裏から入るスタッフルーム。
しかし、男女は分かれているので、マリエさんの部屋には入れません。
『一本どっこ』の板場の人たちと、バスケメンバーのいる男子楽屋は、暗く沈んでいました。
やはり・・・・。
「井上!マリエさんの調子悪いのか?」
「そう・・・。腕が上がらなくなったって・・・。今、お姉さんたちがマッサージしてる・・・・」
「じゃ、どうなるんだ?車椅子ダンス・・・・・」
「僕たちに聴かれても・・・・」
そこに、
「さ~~~~みんな~~~~~。踊って来て~~~~~。男子ぜんぜん足りないから~~~~~」
いたって元気に、MCを終えた寅蛍が飛び込んで来ました。
「はい」「はい」「はい」
みんなの沈んだ返事に寅蛍。
「どーした!野郎ども!ノリ悪いぜ!」
板場の寅蛍にもどりました。
「はい!」「はい!」「はい!」「はい!」
「あ、寅蛍先生!」
と、僕。
「君も踊って来てよ。BOY。枯れ木も山のにぎわいだから」
枯れ木・・・
「それよりも・・・・マリエさん、大丈夫なんですか?」
「ン~~~~~。姉のことまで心配しくっていいから」
「だって・・・・・・・:
楽屋裏にも、ホールの賑やかな音は伝わりました。
ダンスが始まったのです。
僕は、マリエさんに会うことはかないませんでした。
会ったからといって、なにが変わるわけでもないのですが。
となると・・・・
車椅子ダンスは・・・・
「そうねー。3曲減らして、里美ちゃんひとりで行くしかないかもねー」
するとそこに、誰だかわからない女性が入って来ました。
「トラ、マリエの手、動いたから!早くして!」
どうやら上のお姉さんのようです。
「ホント?よかった~~~~~~~~」
「マリエ・・・・1曲くらいしか無理かも・・・・・」
「そう・・・・・ありがと。お姉ちゃん」
こうしてまたしてもプログラムが変更されました。
あいつぐプログラム変更にざわつく会場。
「またプログラムの変更?」
和美ちゃんは、僕に言われた通り、同じ場所に座っていました。
「うん・・・和美。踊った?」
「ううん・・・まだ。だって・・・・・」
もっともです。
のるには、あまりに短い1曲でした。
「車椅子のダンスは、つい最近、ドイツで始まって~~~・・・・」
壇上では、寅蛍の『ウィルチャーダンス』の解説が続いていました。
早口なのは、寅蛍もあせっている証拠でした。
僕たち以外、ほとんどの人が、「車椅子ダンス」のことを知りません。
会場は、さらにざわつきました。
「今日は、ウィルチャーダンスの模範演技をごらんいただきます。会場にいらっしゃる車椅子の皆様はぜひ参考にされてくださいまし」
真ん中が円状に空けられ、そこに登場したのは
マリエさんではなく、里美さんでした。
まるでこれからハンドボールの試合でもするように、きっとした表情の里美さん。
奇異なものを見るような多くの視線の中。
彼女の車椅子ダンスが始まりました。
寅蛍相手の、『ラ・クンパルシータ』。
本来は、マリエさんの演目です。
ダメだ・・・・。やっぱりマリエさんにはほど遠い・・・・・。
一度、マリエさんの同じ曲目を見ていた僕には、その差は歴然でした。
が、会場はちがいました。
とりあえず、車椅子でダンスができることに、ひたすら驚いていたのです。
やがて、大きな拍手が里美さんと寅蛍に与えられました。
実は、そのほとんどは「同情」の拍手でした。
2曲目も。
3曲目も。
それでも、もともと男勝りの里美さんは気丈でした。
そして。
その誰も予想だにしなかった事態は、4曲めでおきたのです。
「次が最後です。いままでは、わたくしがパートナーを努めましたが、次は車椅子同士による演目です!」
車椅子同士?
そんなことできるのか?
そこに、また拍手で迎えられ登場したのは、
マリエさんでした。
「みなさん。ようこそおいでくださいました・・・」
マリエさんの挨拶です。
「わたしは、体の筋肉が順番に動かなくなる、というやっかいな病に冒されました」
会場はシンと静まり返りました。
「でも、踊っているのが好きだから。ずっと踊りたかったから。車椅子でも、手が動く限りは踊りたいと思っています」
「それも。おそらく今日が最後・・・・。」
「でも、わたしは不幸だなんて思っていません。今日までずっと、好きな踊りを続けられたのですから」
横で、じっと聞き入る里美さんと寅蛍。
「今日は、たぶん世界でも初めての、車椅子同士によるダンスをご覧にいれます」
「わたしと同じ車椅子の皆さん。どうか希望を失わないでください」
「翼がなくとも、飛ぶことはできます」
そう結んで、マリエさんは、
「トラ。今日までありがとう・・・・」
弟に向かって言いました。
いっせいに起きる大きな拍手の中。
寅蛍は、柄にもなく、
マイクに音が入るのも忘れて、
泣いていました。
最終話へ→
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- 続・すもももももも 最終話
- 続・すもももももも 第103話
- 続・すもももももも 第102話
一番?
一番?
あと二話頑張ってください!
マリエさん・・・
なにより精一杯おどってほしいです!!
今日はもう落ちますが、
無理しない程度にがんばってください^^*
朝一で見にきますねっ
ううっ・・・
マリエさんの言葉一つ一つが重く響きます。
でも、なぜか悲壮感ではなく爽やかな感じが・・・。
やばい、涙が出てきた。
里美さん、精一杯頑張ってますね。
精一杯頑張る姿は、たとえ上手ではなくとも
美しいです。
シャワー浴びて、残り二話に備えます。
おお!!一気にすごいアップされてる!!
くろわっさんお疲れ様です~
いつもありがとうございます!!
やっぱり手も
とても良い話ですね
泣けます、、、( p_q)
車椅子同士のダンス・・
車椅子を借りたのはこのためだったんですね。
マリエさん…
がんばってほしいです
翼がなくとも飛ぶことは出来る
いい言葉だとおもいます。
まりえさんの言葉が心に染みます。
翼がなくても飛べる…。
あ~…。
涙が出ます(;_;)
マリエさんの一生懸命な姿が想像できちゃいます。
マリエさん・・・がんば
今涙ボロボロ 鼻水グチョグチョ~です
今日4月13日は25回目の結婚記念日です
山有り谷あり 人生本当に色々ありました
その中でもぼくちゅう毒者になれたのは嬉しいことのベストテンに入ります。
くろわっさん
これからも素敵なお話 読ませてください
毎日の励ましと慰めと癒しになっています
頑張ってください
うぅ~(泣)
マリエさんの勇気に感動です。
マリエさん腕が動いて良かったねえ。
マリエさんは色んな面で強いわ。
マリエさん、体が動かないって本当に辛いんだろうな・・・。
でも、自分のできることがあるって本当にいいですね・・・
寅蛍と一緒に、私も泣いてます…
マリエさん頑張って!!
朽ちてゆく体が世の中にあるのがあるのはかわいそう・・・
世の中不公平だよ。
当たり前の自分が幸せすぎてたまらない・・・
夜中にこれは泣ける・・・
今夜は寝れないなー・・。
続きが気になります。
私も泣いたよトラボルタ!じゃなかった寅蛍!
マリエさん強すぎる…
こんな風に行けていけたら自殺なんて誰もかんがえないでしょうに…
やっぱりマリエさんは強いです
そしてカッコいい!!
車椅子同士のダンス是非とも成功してほしいですね
続きが気になりますね(^O^)
このコメントは管理人のみ閲覧できます
マリエさん、強いですね……
やっぱりいい! 感動!
マリエさん、本当の強い女性なんですね・・・!
そして、とってもとっても素敵です!
最後のマリエさんの挨拶、とっても感動しました。
マリエさん、里美さん、頑張って!!
あとは、明日見に来ます!
あと2話、頑張って下さいね!
明日は部活あるのに、更新が楽しみで眠れないw
どうしてくれるんですか(笑)
特訓が非公式になったのは マリエさんとの車椅子同士のダンスの特訓だったのかな
ついにマリエさんのラストステージ。 切ないですね
マリエさん やっぱり最後なんですか・・・
ついにマリエさんの最後のダンスか……
マリエさんはとても強い人ですね
体が少しずつ動かなくなる辛さや苦しみは僕には分かりませんが、マリエさんがダンスを踊り続けたのは本当にすごいと思います。
いつもネガティブ思考な自分がとても恥ずかしく思えました。
わ~、なんつーいい話!でもママチャリ枯れ木・・・。
寝かけていましたが、
103話アップされていたので、思わず米しちゃいました~。
でも でも
もう本当に無理です
おやすみなさい。
マリエさんの最後の晴れ舞台見たかった~
マリエさん…本当に強い方です。
後二話ですか…。
もう寝なきゃ。
起きたら読みます。
里美さんもマリエさんも強い!!
マリエさんの言葉、泣けました。
マリエさんは本当に・・・・・・・
ママチャリくんは、泣くだけなんだろうか?
駐在さんは?
マリエさん、本当の強さを持った人ですね。
最後ダンス見届けます。頑張って下さい!
寅蛍も皆も、最後まで、ふぁいっ!
>yafさん
25回目の結婚記念日おめでとうございまーす!
これからも、末永く幸せに!
出勤中に読むんじゃなかった。
携帯見ながら泣いたら、まわりから変な人って思われるじゃないですか。
私たちの学校に、マリエさんのように体が少しずつ動かなくなっていく方が来たことがありました。その人はダンスする一度ではなく、歌を歌う人でした。
そのときは、可哀想な人だと思ったのですが、好きなことができて、決して不幸なんかではないということに気づきました。
最終話もきっと感動的なんだろうな~
マリエさん・・・
彼女が、思いのたけ全てを、
今日のダンスにこめて踊ることができますように・・・・
涙があふれてきました・・・。
寅蛍先生の秘密特訓と車椅子借用は、
このためだったんですね・・。
非公式の練習は、この練習だったんですね
ママチャリの努力が報われましたね。
感動的~
このコメントは管理人のみ閲覧できます
マリエさん、かんどーしました。。。
今日が、最後なんて哀しすぎます。
精一杯踊って下さいね。
マリエさん大丈夫なんでしょうか
ほんとに最後が気になります
マリエさん、、、
がんばって!!
ひぎゃー、ば、バグったー!104話みれないし、最新のトコにゃ変わりに(01/01)とかでるし。このコメントも・・・?
うちもバグってます~。
僕もです。
少し時間を空けてきたら直ってましたが。
ちょっとあせりました。
僕もです~
今さっきまでバグってました。焦った~
間にあってよかったけれど・・・
同情はされますよね・・・
実は私の父はたぶんマリエさんと同じ病気です
父の場合は手の痺れからでしたが・・・
なんか、実際に父を見舞うよりこの章ってかこの話(103話)はズドンときました
もう、胸が痛くって痛くって仕方がないです
それに涙が止まらないです。
どうしてくれるんですか?
父はマリエさんのように気丈な方ではありません
だから、マリエさんの強さが眩しくて眩しくて
心が痛くて涙が止まりません
私の父はもう会話はできません
五十音とほかにちょこっと書いてある団扇で会話します
私は実家を離れ、一人暮らしをしています
でもそんなに遠くはないので月に一度は帰ってお見舞いに行きます
でも、今年の春からは難しいかもしれません
んんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!
なんか暗くなってしまいそうなのでこの辺でやめます!私にしみったれた話は合いません
ただ、もう少し父と一緒に何かしたかったなぁーって話です(キャッチボールとか(笑))
そういうわけです
ただ、思わず書きたくなったから書いただけなのでした
私が忙しくなって一度遠ざかっていたぼく駐、父の病気が発覚した?のは皮肉にも??遠ざかった時期でしたね~
きっとこれも何かの縁ですね(笑)
ながながとすいませんでした~
以上弟子からの犯行(反抗)でした(笑)
では~