ぼくたちと駐在さんの700日戦争

あっと言う間に行き詰まった『合成作戦』。

「しかたない・・・。和美にたのんでみる・・・」。

「え？ボディ側を？」

「そう。和美ならボディは申し分ない」。

「いやぁ。いくら和美でも、美奈子さんの顔に？」

「すもももももも、この際似たようなもんだ！」

「すもも・・・ねぇ」

和美ちゃんを直接撮れば、美奈子さんの角度に合わせることができます。

「和美ってさー・・・・」

「なんだよ、森田」

「いや。ほんっとにしょーもない男、好きになってるなぁ、って。同情するよ」

「余計なお世話だ！」

というわけで、和美ちゃんに電話。

「ねぇ。市民プール行かない？」

”え？プール？どうしたの急に”

「えっと。ほら。プール日和で・・・・」。

おもいっきり曇天ですが。
撮影には曇天のほうが都合がよかったのです。

なにしろ顔である美奈子さんの写真は、室内撮影。
影がほとんどついていません。
これが晴天だと、体にだけはっきりと影がついてしまって、アンバランスになるのです。

”ふうん・・・・”

あ。やばい。なんか感じ取ってる・・・。

”なんでプール？”

「なんでって・・・。おかしい？」

”うん。だって君、中学の時もプール授業、きらいだったじゃない？”

「今は好きなの！めちゃくちゃ大好きなの！」

”そうなの？”

「ああ、プールがあればなんにもいらないってくらい！」

”そんなに？”

「うん。プール愛してるぜ！」

もう矢でも鉄砲でも持って来いです。

”わかった。いいよ？”

和美ちゃんは、基本、僕からの誘いを断ったことがありません。
まったく。しょーもないヤツを好きになったものです。

「いいか？森田。僕が和美を記念写真と称して、うまく誘導するから」

「はいはい・・・。そん時撮ればいいんだね？」

「そ！美奈子さんの写真持ってくからさ。うまく角度合わせて」

「むずかしそうだ・・・」

「爆弾つくるより簡単だって」


と、言うわけで、曇天に強引に市民プール。

ところがところが。

「か、和美っ！」

「え？どうしたの？」

「なな、なんだってそんなに黒いんだ？」

そう。
運動部の和美ちゃんは、僕が思ったより、ずっと真っ黒でした。
これでは、色白の美奈子さんの顔に合いません。

「あ・・・・」

和美ちゃんが急に困った顔をしたので、

「え？い、いや・・・健康的でいいよ、うん、うん」。

「そう・・・？」

「しかたない・・・美奈子さん側を黒くしよう・・・」

もう、こうなると写真なのか絵なのかわかりません。

さらに、和美ちゃんが水着に着替えて来て、もっとビックリ。

「和美ぃいいいいいい！」

「な、なぁに？」

「なんでスクール水着なんだよ!?」

「え？だって・・・これしか持ってないの・・・・」

いや。それは百歩ゆずっていいとして、

「なんで胸に名前書いてあんだ？」

「だって。学校の指定だもん」

胸にデカデカと和美ちゃんの苗字！

ああ・・・
こんなんじゃ合成写真はバレバレ以前の問題。

「あ。もっと色っぽいほうがよかった？」

「あー、いいよいいよ。和美はなに着ても似合うから」(泣)

ま。いいや。
水着部分は、そのへんのピンナップから取って来よう・・・。

想像を絶する超合成写真になりそうです。

というか、和美の部分って。あるのか？



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