ぼくたちと駐在さんの700日戦争

カタリーナのスケ番グループに、「見回りが来るかも知れない」ことを伝え、再び繁華街へ。
『一本どっこ』を目指します。

もし早苗さんが行っているなら、まちがいなく「生徒指導連合」とはち合わせ。
ただではすみません。

「しかし、なんだってそんなとこに・・・・」。

スケ番グループによれば、僕を迎えに行ったらしき話。

ひょっとして、もう1冊のエロ本？
早苗さん、エロ本に魅了されたとか・・・？
まさかね・・・。

しかし、それ以外考えられません。

だとすれば、西条くんが、ゴロツキたちからとりもどしたかどうかも気になります。

もともと50m程度の通りですから、カタリーナを後にして、ほんのわずかで

「あ！早苗さん！」

「おお！なにウロチョロしてんだ！さがしたぜ！」

「えっと・・・・もう1冊のエロ本ですか？」

おそるおそる聴いてみました。

「んば！ば、バカ言えっ!んなわけあるか！」

やぱし・・・。

「アタシはねー。お前が金ないって言ったから、帰りの電車賃持ってんのか心配したんだよっ！」

「え・・・・・」

早苗さん・・・。
そんなことまで・・・。

正直に申しましょう。
この瞬間ホレましたともさ！

僕は感激で、早苗さんにかけよりました。

　バッチーーーンッ！

「それをエロ本だとぉおおおおおお！」

抱きつく寸前、カウンターでビンタ！

「うう・・・」

恋は、痛みとともに、1秒もたずに去りました。

「電車賃はあんのか？ああん？」

「えっと・・・」

電車はないけど、チンはある。
そんなギャグを言おうものなら、半殺しです。

「ありません・・・・」

早苗さんは、また可愛らしいサイフから500円札を抜き出し、

「ほらっ！」

ことさらに面倒くさそうに渡しました。

「すいません・・・」


240px携帯用画像
＜なつかしの500円札＝B券とC券がありC券のほうが3mmほど小さい。1996年4月で支払い停止。500円が硬貨となったのは82年。意外に新しい＞

みなさん、ご存知ないでしょうが、スケ番は、たいていお金持ちです。
なんでお金持ちなのかは、資金管理団体にまかせてあるので、お答えできません。

「倍返しだかんね！」

「え？こっちもですか？」

「ったりめーだろ？ったく、世話のやける！」

「すいません・・・」。

いいとこあるなー。早苗さん。
殴られた顔、痛いけど。

「ま、ダンパのチケット、世話んなったしね」

「あ、そうだ！『一本どっこ』行ったんですよね？」

「ああ、行ったけど？」

「えっと。あそこに生徒指導の先生方がいませんでした？」

「あん？いなかったぞ？」

え・・・・？
どこ行ったんだろ？

「そうですか・・・。じゃ、いらぬ心配でしたね。僕、それを伝えにカタリーナまで行ったんですよ」。

「え？そうなのか？」

「はい」。

「見なかったけどなー」。

でも、早苗さんは、ちょっとだけうれしそうにすると、

「ついといで」。

「はい！」

僕を連れて、一本どっこの方に歩き始めました。

こうして肩を並べて歩いていると、まるで本物の姉弟のようで。
僕は、ちょっとだけうれしかったりもしたのです。

が。

「あ！さっきのエロ本姉弟！」
「ほんとだ！」

さっきの自販機の会社の人たちです・・・。
酔ってるよ・・・。

「まいどー！」
「また買ってくれよなー！エロ本姉ちゃん！わははは」

また余計なことを・・・・。
エロ本姉ちゃんって・・・・。

早苗さん。また顔を真っ赤にして、

「テメー。少し離れてあるけっ！」

　ドスッ！

「うう・・・・」

せまい繁華街は危険がイッパイ。



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