ぼくたちと駐在さんの700日戦争

「ああ・・・俺はなんてことを・・・・」

まだ悔やんでいる西条くん。

「俺のバカヤローーーーー！」

「いや・・・西条。自分を責めるなよ・・・」

「自分を責めるな」という慰めは、よく使われますが、これほど情けなく使われたことってあるんでしょうか？

「ああ・・・過去にもどって、俺をぶっとばしてやりたい・・・」

そこまで・・・・・。

あまりに哀れだったので、
「まぁ、そう嘆くな。もう1冊・・・・」

「え！もう1冊あるのか？」

まるでキリスト様が降臨してきたかのように、パァ～っと表情の明るくなる西条くん。

「いや・・・あるにはあるんだけど・・・・」。

絶対返してもらえません。
っていうか、今現在は、支払ったのは早苗お姉さんですから、早苗さんの所有物です。

「どこだ！どこにある!?」

「ちょっととりにいけないとこ」。

「え？地獄だろうがとりにいくぜ？」

ああ。ここまで執念を持ってもらえば、エロ本の編集者もたいそう喜ばれることでしょう。

「早苗さんとこ・・・」

「はあ？孝昭の姉ちゃん？」

「だって早苗さんに買ってもらったんだもん」

「え～～～～～～～！お前らってそういう関係？」

「そういう関係ってどういう関係だよ」

「エロ本を買ってもらえる関係」

よくわかんない。

「だってお前、パンティも早苗さんに買ってもらってんじゃん！」

「いや・・・あれは僕が買ってもらったわけじゃないだろ！」

そう。ヒョウ柄パンティです。
覚えていますか？

「いいなぁ。実の弟でもないのに、パンティもエロ本も買ってもらえて」

うーん。短絡的に言えば合ってる。
合ってるけど、なんかがちがう。

はたして実の弟なら買ってもらえるのだろうか？
全国のお姉さん。教えてください。
弟にパンティとエロ本買ってやるものかどうか。

「そうだ！早苗さんがまずい！」

「なんで？エロ本持ってるから？」

「ちがう！」

早苗さんたちの根城『カタリーナ』も繁華街のはずれにあります。
生徒指導の先生がたが寄り合っているということは、見回りの可能性大。

「早苗さんに知らせなきゃ！」

「あ？エロ本？」

「エロ本から離れろ！」

「はなれらんない・・・・・」

泣かせます(悲)。

「西条、早苗さんとこに行く！」

「え？俺、あのお姉さん、苦手なんですけど」。

そうです。西条くんは、早苗さんが苦手です。
弟と友人ということもあってか、女には手をあげないというポリシーからか、あれほど強い西条くんも、早苗さんには殴られ放題。

「エロ本あるぞ？」

「う・・・」。

地獄でも行くと言っていた西条くんが、このおじけづきよう。
スケ番の根城は、地獄以上のようです。

しぶる西条くんをようやく説得。
駐車場の出入り口から、通りに出ると、
そのとたん、

「あーーーー！あそこにいやがった！」
「エロ本！」
「待てーーーーーー！エロ本ーーーーー」

さっきの不良たちです！
この往来で「エロ本」呼ばわり。
まぁ、名前知らないですから、しかたないとは言え、あんまりだ。

西条くん、突然嬉々としまして、

「ここは俺がふせぐ！お前、姉ちゃんとこ行ってこい！」

「わ、わかった！」

「きやがれーーーーーーーーー！」

振り向き様、ゴロツキたちに向かって突撃！

おそらく、倒せばさっきのエロ本がもどると知ってのはりきりです。
間違いありません。

ここはやむをえません。
そっちのエロ本は、西条くんにまかせ、僕ひとり、大急ぎでカタリーナへ。

生徒指導のガサが入れば、早苗さんたちが窮地に陥るのは間違いありません。
彼女たちは、そこで酒、タバコ、好き放題やっているからです。

　バン！

ひとつめの扉はおもいきり開けられましたが、
そこはスケ番たちの根城。2つめの扉は、さすがにそっと開けました。

すると、タバコの煙がもうもうと煙る店内では

「確かに姐御に似てるなー」
「野郎ってなんでこんなもんで興奮すんだ？」
「不思議な生き物だなー」

ひとつのテーブルに集まり、こちらもエロ本談義をしているようでした。
僕の来店には、まったく気づいていない模様。

やがて
「これってよー、■■■■■■■■■■」
「あっはっは。そりゃ■■■■■■■■■」
「■■■■■は■■■■■かな？」
「■■■■■■■■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■■■■■■■に決まってんだろ」
「えーーーー■■■■■■■■■■■」
「ぷ！■■■■■■■■■■■■■■■■だよ」

全面黒塗り的なワイ談に発展。
僕としましては、初めて露骨に聴く女子のワイ談です。

男子と女子のワイ談は、まるでちがいます。
女子の場合、いろいろとオブラートに包まれているので、どっかロマンチックさを残しいます。
でも、黒塗りせざるを得ないようなえげつない内容。

「え～～～っと・・・もしもし・・・・？」

「どわーーーーーーーー！」
「て、てめ！いつの間にいやがった！」
「このエロ本がぁ！」

まさかの男の来客に、あわてふためくスケ番グループ。

こっちでもエロ本・・・(泣)

「テメ！いつからいた!?」

「えーっと。『■■■■■■■■■■』あたりから・・・・」。

「コイツ！黙って聴いてやがったのか！」
「ちょうどいい！コイツの■■■■■■■■■■■■■ぜ！」
「ああ。そりゃいいな■■■■■■■■■■■■■」

じょうだんじゃありません。
せっかく通報に来てやったのに■■■■■■■■■■■■■されてはかないません。

しかし、ひとりが、
「いや。そりゃ姐御が黙ってねーだろ？」
「あ、そうか。姐御が■■■■■■■■■■■■■」
「あはははは。コイツ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」

黒塗りでおわかりにくいと思いますが、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■という理由で、とりあえず助かりました。
あやうく■■■■■■■■■■■■■■とこでした。

「それより、あの、早苗さんは？」

「あ？姐御？姐御は寅エモンとこ行ったぜ？」
「てめぇを迎えに行ったんだぞ。なんでそこにいんだ？お前」

「え・・・・・・」

早苗さんが・・・
『一本どっこ』に？

それはまずい！

「ところで、参考に聴きたいんだけど、■■■■■■■■■■■■■■？」

「え？■■■■■■■■■■■■■■■■ですよ？」

「え～～～～～～～！」


わかりにくい小説ですいません。



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