←復習する?
<本日は2話ワンセットです>


翌日。僕はひとり「出頭」のため、駐在所に向かっていました。
校門を出てからすぐ、ひとりの女子生徒が立っていました。
「み、宮崎さん・・・」。
スケ番お欄のおかげで、すっかりごぶさたになっていた2組のアイドル。
「今、帰り?」
「あ?ああ。帰りって言うか、今からちょっと駐在所に・・・」。
「駐在さんと仲いいのね。君って」。
いや。仲がいいって言うか・・、出頭ですけどね・・・。
「えっと・・・。僕を待っていてくれたの?」
コクンとうなづく宮崎さん。
宮崎さんが僕に歩調を合わせて横を歩きます。文化祭以来のことでした。
肩と肩がふれあいそうです。
はたから見れば恋人同士?
「あの・・・ね。クリスマス前に聞いておきたかったことあるんだけど・・・」。
「あ、え?な、なに?」
「うん・・・。今、心の準備するから待ってね」。
「え?あ、うん・・・」。
僕の心臓は破裂しそう、という表現がピッタリでした。
宮崎さんは、耳まで真っ赤です。
宮崎さんは、深呼吸をひとつすると、おもいきったように言いました。
「君、井上くんと親しいわよね?」
・・・・・はぁ?
「え?ま、まぁ・・・ね。中学いっしょだったし・・・」。
「井上くんって・・・つきあってるコ、いる?」
あ?
知るかっ!!ぼけぇ!
「ななな、なんだって僕に?」
「え?・・・・だって・・・。あなたのほうが井上くんより、とっつきやすいし・・・」。
ああ。ああ。さいですか。さいですか。
とっつきやすいね。はいはい。
これだったのか?
1ヶ月の淡い期待はなに?
「これ。井上くんに渡してほしいんだけど・・・」。
ピンク色の封筒を渡す宮崎さん。
受け取る僕。
うーん・・・。中開けて「果たし状」って入れたろか!?
「じゃ、おねがいネ!」。
宮崎さんは去りました・・・。僕のあわい恋心といっしょに・・・。
井上・・お前、妹美人なんだから、あといいじゃん・・・。
傷心のまま駐在所につくと、駐在さんは留守でした。が、
「あら?ママチャリくん。出頭ご苦労さま」。
う~ん。こんな挨拶、全国の警察関連施設でかわされたことあるんでしょうか?
「主人ね。ちょっとのぶくんことで・・・」。
「え?のぶくんの?」
僕は、奥さんの説明で、宮崎さんのショックなど一瞬でふきとびました。
「施設・・・に?」
「ええ・・・。決まりなんですって・・・」。
「決まり・・・って・・・。でも・・・」。
しかし僕は、奥さんの落胆した表情を見て、それ以上の追求をしませんでした。
僕なんかより、ずっと悲しいはずなのです。
それは奥さんのうつろな瞳から読んでとれました。
僕はその足で、広場へと向かいました。
無償にのぶくんの顔が見たくなって。
広場では、いつもと同じように、ミカちゃんとのぶくんがママゴトをしています。
さすがに毎日やっているだけあって、すでに本物の夫婦のようにさえ見えます。いずれにせよ、微笑ましい光景でした。
ミカちゃんがのぶくんの所に来るようになってから、僕たちのメンバーは、かなり少人数になりました。
来ても、ほとんど彼らを見守っているだけだからです。
今日は孝昭くんと、久保くん、そしてチャーリーが「当番」のようです。
「よぉ!遅かったな」。
「え?あ・・・、ま、まぁ。それにしてもチャーリー、連日だな」。
「え?うん」。
孝昭くんが言いました。
「チャーリーさぁ。ほら、のぶとサイズが親友だから」。
「な!なんだ!サイズが親友って!」
「わかるわかる。自信もちたいんだよな!」
「ばかやろう!小学生がなんのなぐさめになる!?」
それって、微妙に認めてるぞ・・。チャーリー。
僕は奥さんから聞いた話を、彼らにするか迷っていました。
が、結局
いいか・・・。西条が来てからで・・・。
「西条は?」
「あ?そのうち来るだろ。ミカちゃん送ってく時間には」。
「最近、下校のときは見かけないんだよな。西条」。
「そう言えばそうだな。部活行ってるってわけでもなさそうだし。なにやってんだ?あいつ」。
チャーリーが口をはさみました。
「それより森田に聞いた?明日あたり、のぶくんの飛行機、完成するらしいぞ」。
「え?ほんとか?いよいよだな」。
「ああ。見ろよ。あれ」。
堤防で遊んでいる小学生たちを指差します。
どうやら模型飛行機の遊びは、それぞれの飛距離を競争しているような、そんな様子でした。
「明日、のぶがぎゃふんと言わせるんだ」。
「まぁ、西条が一度ぎゃふんと言わせちゃったけどな」。
「いや。それとは意味が違う。ぜっんぜん違うぞ」。
うーん。チャーリー。このことについてだけは見違えるようです。
昨日の110番と同一人物とは思えません。
本日は2話ワンセットです。続けて第54話へどうぞ→
<本日は2話ワンセットです>


翌日。僕はひとり「出頭」のため、駐在所に向かっていました。
校門を出てからすぐ、ひとりの女子生徒が立っていました。
「み、宮崎さん・・・」。
スケ番お欄のおかげで、すっかりごぶさたになっていた2組のアイドル。
「今、帰り?」
「あ?ああ。帰りって言うか、今からちょっと駐在所に・・・」。
「駐在さんと仲いいのね。君って」。
いや。仲がいいって言うか・・、出頭ですけどね・・・。
「えっと・・・。僕を待っていてくれたの?」
コクンとうなづく宮崎さん。
宮崎さんが僕に歩調を合わせて横を歩きます。文化祭以来のことでした。
肩と肩がふれあいそうです。
はたから見れば恋人同士?
「あの・・・ね。クリスマス前に聞いておきたかったことあるんだけど・・・」。
「あ、え?な、なに?」
「うん・・・。今、心の準備するから待ってね」。
「え?あ、うん・・・」。
僕の心臓は破裂しそう、という表現がピッタリでした。
宮崎さんは、耳まで真っ赤です。
宮崎さんは、深呼吸をひとつすると、おもいきったように言いました。
「君、井上くんと親しいわよね?」
・・・・・はぁ?
「え?ま、まぁ・・・ね。中学いっしょだったし・・・」。
「井上くんって・・・つきあってるコ、いる?」
あ?
知るかっ!!ぼけぇ!
「ななな、なんだって僕に?」
「え?・・・・だって・・・。あなたのほうが井上くんより、とっつきやすいし・・・」。
ああ。ああ。さいですか。さいですか。
とっつきやすいね。はいはい。
これだったのか?
1ヶ月の淡い期待はなに?
「これ。井上くんに渡してほしいんだけど・・・」。
ピンク色の封筒を渡す宮崎さん。
受け取る僕。
うーん・・・。中開けて「果たし状」って入れたろか!?
「じゃ、おねがいネ!」。
宮崎さんは去りました・・・。僕のあわい恋心といっしょに・・・。
井上・・お前、妹美人なんだから、あといいじゃん・・・。
傷心のまま駐在所につくと、駐在さんは留守でした。が、
「あら?ママチャリくん。出頭ご苦労さま」。
う~ん。こんな挨拶、全国の警察関連施設でかわされたことあるんでしょうか?
「主人ね。ちょっとのぶくんことで・・・」。
「え?のぶくんの?」
僕は、奥さんの説明で、宮崎さんのショックなど一瞬でふきとびました。
「施設・・・に?」
「ええ・・・。決まりなんですって・・・」。
「決まり・・・って・・・。でも・・・」。
しかし僕は、奥さんの落胆した表情を見て、それ以上の追求をしませんでした。
僕なんかより、ずっと悲しいはずなのです。
それは奥さんのうつろな瞳から読んでとれました。
僕はその足で、広場へと向かいました。
無償にのぶくんの顔が見たくなって。
広場では、いつもと同じように、ミカちゃんとのぶくんがママゴトをしています。
さすがに毎日やっているだけあって、すでに本物の夫婦のようにさえ見えます。いずれにせよ、微笑ましい光景でした。
ミカちゃんがのぶくんの所に来るようになってから、僕たちのメンバーは、かなり少人数になりました。
来ても、ほとんど彼らを見守っているだけだからです。
今日は孝昭くんと、久保くん、そしてチャーリーが「当番」のようです。
「よぉ!遅かったな」。
「え?あ・・・、ま、まぁ。それにしてもチャーリー、連日だな」。
「え?うん」。
孝昭くんが言いました。
「チャーリーさぁ。ほら、のぶとサイズが親友だから」。
「な!なんだ!サイズが親友って!」
「わかるわかる。自信もちたいんだよな!」
「ばかやろう!小学生がなんのなぐさめになる!?」
それって、微妙に認めてるぞ・・。チャーリー。
僕は奥さんから聞いた話を、彼らにするか迷っていました。
が、結局
いいか・・・。西条が来てからで・・・。
「西条は?」
「あ?そのうち来るだろ。ミカちゃん送ってく時間には」。
「最近、下校のときは見かけないんだよな。西条」。
「そう言えばそうだな。部活行ってるってわけでもなさそうだし。なにやってんだ?あいつ」。
チャーリーが口をはさみました。
「それより森田に聞いた?明日あたり、のぶくんの飛行機、完成するらしいぞ」。
「え?ほんとか?いよいよだな」。
「ああ。見ろよ。あれ」。
堤防で遊んでいる小学生たちを指差します。
どうやら模型飛行機の遊びは、それぞれの飛距離を競争しているような、そんな様子でした。
「明日、のぶがぎゃふんと言わせるんだ」。
「まぁ、西条が一度ぎゃふんと言わせちゃったけどな」。
「いや。それとは意味が違う。ぜっんぜん違うぞ」。
うーん。チャーリー。このことについてだけは見違えるようです。
昨日の110番と同一人物とは思えません。
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- 7章-第54話 君をのせて(11)
- 7章-53話 君をのせて(10)
- 7章-第52話 君をのせて(9) 書き直しバージョン
感動
>しのっち
成人おめでとう!
でもね。君たちは、友達づくりのツールには恵まれています。僕たちよりもずっとずっと。
数年後には、もっとツールで溢れるでしょう。
大丈夫。
友達をつくるコツは、友達を失う事を恐れないこと、かも知れませんねー。
無責任だけど。なんとなく。
このコメントは管理人のみ閲覧できます
ママチャリさん、カワイソ~
でも、なぜか、笑えてきちゃう。
どうしてかしら?
きっと、かずみちゃんがいるからね。
このコメントは管理人のみ閲覧できます
駐在さんの奥さんきっと、すごく愛情をそそいじゃったんだよネ。のぶくんに・・・。
でもママチャリ軍団も(特に西条君!!!)がっかりしてしまったんだよねぇ。
施設へ入る事は、のぶくんのお母さんの希望でもあるので、変えられない事実なんですものネ。
昔の施設はどんなだったのかは、茶木の妹分の子(ごめんなさい名前が出てきません)が言っていたみたいなのかなぁ・・・?
高一の三学期の終わり頃、やっと好きな人の近くの席になれました。
なんと真後ろの席です!ベストポジション♪
でも席が近くなっても意識してしまって中々話し掛けることは出来ません。
「おはよう」さえも難しい。
もちろん向こうから話し掛けてくれるなんて嬉しいことも期待出来ず・・・。
それが!ある日のこと!
彼が私の方を振り向いて「あのさぁ・・・」と話し掛けて来たのです!!!
でも次の瞬間には「やっぱ、いいや」。
これで気にならない人がいるでしょうか!?
ただでさえ気になる台詞な上に
話し掛けて来た相手は挨拶も交わせずにいる意中の彼ですよ!?
私は「え~、何、何?」と聞きました。
彼が私に聞こうとしていたことは、私が仲良くしている友達についてでした・・・。
入学した時上級生も見に来た位可愛い子だったんです・・・(泣)