ぼくたちと駐在さんの700日戦争

僕のとなりで女性雑誌などをめくりながらジェミー。

「あ。ボク、今年は金運最高だそうです！」

「よかったね」。

「先輩は、よくないですね。サイフとか落とさないように注意だそうです」。

「そうか」。

「あ！ボク、恋愛運もいいですよ！運命の人に出会うかも、だそうです！」

「よかったね」。

「先輩は～～～～～～～。あ、先輩は恋愛運もダメですね」

「そうか」。

「和美先輩とは絶望的ですね」。

「そうか。そりゃ残念だ」

「あ、でも、先輩！旅行運はいいみたいですよ？海外旅行が吉です！行ったらどうですか？」

「・・・・・あのなぁ、ジェミー」。

「はい？」

「なんだって大晦日に今年の運勢占う？」

「いや。ここに載ってたんで」。

「あと1日しかねーよ！バカヤロー！どうやって海外旅行行くんだ？」

僕とジェミーは、ジェミーの理髪店で、並んで髪を切ってもらっていました。
ジェミーは理髪店の息子だけあり、毎年、大晦日に髪を整えて新年を迎えるのです。
今日はそのつきあい。
僕にしても、無料で髪を整えてもらえるのはラッキーですので、喜びいさんで来たのですが。

ジェミー。なにを考えたか、今年の『女性セブン』1月号を引きずり出し、『今年の運勢大特集』を読み出しました。大晦日に・・・。
僕は、今年、海外旅行がいいそうです。
あと1日しかないけど。

しかも

「あ。先輩は水難に注意だそうです～～～」。

「はいはい」。

水難ね。はい。
あと1日だけど。
相手してられません。


が。ここでジェミー母。
「はい。じゃ、頭洗うから。前に出して」

「はい」。

　シャーーーーーー

シャワーが頭にかけられましたが
ちょっとすると、

「どわぁ！つ、つめたっ！」

なんと水！

大慌てで頭をひっこめる僕でしたが、

「ほらぁ。水難です～～～～～～～♪」
うれしそうにジェミー。

「テメェが温度下げたんだろうがぁ！」

ジェミー。残り1日しかない『今年の運勢』を、なにがなんでも「当てる」つもりです。

「火傷にも注意のほうがいいですか？」

「こら！なにする気だ！」

こいつといたら、おちおち髪なんぞ洗ってられません・・・。

「だって～～～。先輩の運勢が当たれば、ボクも当たるじゃないですか～」

「お前ひとりで当たれ！」

だいたい占いというのは、そういうものじゃない気がします。

なにが『水難』だ。ふざけやがって。

しばらく黙ったジェミーでしたが、

「先輩。今からA公園にボート乗りに行きません？」

「絶対、行かない」


本年のご愛読
ありがとうございました～～～！



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