ぼくたちと駐在さんの700日戦争

＜本日ライブで連続ものです。←第1話からどうぞ＞

そうして夏がすぎ、

秋がすぎて、

それでも、女の子は、毎日毎日ハガキを出しに来て

「よっこいしょ！」

　がんばれ！がんばれ！

届かないハガキと知っても、ポストさんは、女の子を応援しました。
いいえ。前よりも、もっともっと応援するようになりました。

　がんばれ！がんばれ！がんばれ！

　コトン。


冬のある日、大雪が降って、ポストさんも帽子をかぶりました。

「さすがに今日は女の子も来ないだろうなぁ」

と、ポストさん。大きな大きな口で、大きな大きなくしゃみをひとつしましたが、

その日も、やっぱり女の子はやってきました。

「よっこいしょ！」

でも、この日、ずっと『天国』だった女の子のハガキの宛先が変わっていたことに、ポストさんは気づきました。

やっぱり切手は貼られていませんでしたが、宛名が「お母さん」ではなく、「サンタさん」だったのです。

そう。こんな村にもクリスマスはやってきます。

「ポストさん。ポストさん。サンタさんに届きますよーに」。


「あ。それからね。いつもハガキ、お母さんに届けてくれてありがとう」。

「これ。クリスマスプレゼント」。

女の子は、自分のしていた襟巻きを、ポストさんに巻きました。

「よっこいしょ！」

「いつもポツンと立ってて、寒いでしょ？」

女の子は、小さかったので、それは「腹巻き」みたいに見えましたが、
ポストさんはうれしくって、うれしくって。


　ライブで続く→

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