ぼくたちと駐在さんの700日戦争

奥さんが実家に帰った・・・・。

これはとっても良くない状況です。

「お前が、既婚未婚かまわず手ぇ出すから」。

「いや・・・ジェミーだってば」。

元を正せばそこなのに、ジェミーには、なぜか「責任が及ばない」という、不思議な「魔力」がありました。
「責任能力がない」という言い方もあります。
超「未成年」なのです。

「とにかく。なんとかするよ・・・・」。

「けど、奥さんの実家ってどこなんだ？」
検定1級の千葉くん。

「あ・・・・」。

さっぱりわかりません。
当たり前。
なぜなら「人妻」だから。
（9章で奥さんの実家を訪ねるのは、これより半年以上後の話）

「駐在に聴けばいいじゃん」
ジェミーほどではないにせよ、無責任な麻生くん。

「教えてくれると思うか？」

　ぶんぶんぶん。全員一致。

「久保。知らない？」

　ぶんぶんぶん。

誰に聴いても、ぶんぶんぶん。『ハチが飛ぶ』状態。

が、さすが情報通。久保。
「工藤なら知ってんじゃねーか？」

「え！生活指導の？」

「ああ。駐在とは、一緒に飲んだりしてるらしいぞ」

「いやぁ・・・・・」

さすがに、あれだけ駐在所で『人妻には手を出しません』で盛り上がってるのに、なんでわざわざ行けるでしょう？


が。なんと！

工藤先生から声をかけてくださいました！
学校放送で・・・・・・。

つまりは「お呼び出し」。

その理由が
「昨日、お前宛にファックス来たぞ」。

「はい？」

「警察からだ」

1枚の紙を見せました。

それはなんと！『警察機関視察受理案内』！

　やっぱ届いてた！

しかもしかも、送り先は本署からです！

「な、なんで僕宛・・・・・」

「そりゃ出したのがお前だからじゃないか？」

なんでわかった？？？？

あ・・・・。そうか・・・・。
ファックスのモノマネ、やっぱバレてたんだ・・・・。
考えてみたらバレてあたりまえ。

駐在さん。すべてお見通しでした。

「で・・・・・・・」
工藤先生は不機嫌です。

「はい・・・・・・」

「なんで学校のファックス、勝手に使うっ!!」

「すいません・・・・。でも町には、他にファックスはないので」

これくらいの言い訳は考えていました。

「家にあれば、当然、家のを使いますよ。先生」

しかし、送ったのが『視察願い』ですので、

「しかも学校の名前勝手に使いやがって！こりゃ私文書偽造だぞ、私文書偽造！」

「いえ。学校の名前、勝手に使ってません」

「ここに県立西高って書いてあるだろうが！なんで我が校の名前をお前が勝手に使うんだっ！」

視察願い写しもご丁寧にファックスされてます。
駐在・・・・よっぽど怒ってんだなー

「ちがいます。先生。よく見てください。県立西高じゃありませんよ？県立酉高です」

「あ！ホントだ！棒が一本多いっ！」

「でしょ？県立酉(トリ)高校です。うちの学校じゃありません」

「クッ！ぅううう・・・・・・・・・！」

わなわなしちゃってます・・・。

「このバッカもんがぁあああ！公立の学校をバッタもんみたいに扱いやがって!!」

爆発。

でも、ここでヘタな言い訳は火に油。
ここは冷静に、話をそらします。

「あ。それより工藤先生」

「なんだっ！創立者っ！」

「駐在さんの奥さんのご実家なんて知りませんよね？」

「くぅううう・・・・！」



「学校来んなーーーーーっ!!!」

「え？」

「お前は明日から酉高校に通え!!!」


停学になりました・・・・。


ファックスが原因ではありません。
いかな横暴な学校でも、10円の通信費しかかからないファックスくらいで停学にはできません。

理由は「勝手に学校を設立したから」。
スゴイ。
全国でも、学校を設立して停学くらった偉大な高校生は、僕くらいです。

幻の『県立酉高等学校』。

♪わが学び舎に希望あれ～～～　あ～～～県立酉(とり)高校～～～～～～

とか、校歌つくってる場合じゃないよ・・・・。


↓今日も『大きな乱クリの木の下で』

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