ぼくたちと駐在さんの700日戦争

が、こいつらがどこの公務員を好きであろうが、僕には関係のないことです。

問題だったのは、女という動物が、こういうことでは「異様に盛り上がる」ということ。

事態はどういうわけか、
最後に「駐在を好き」と言った子から

「好きな人のイニシャルを当てよう」大会に発展したのでした。

そんなの誰でもいいじゃん。
お前ら、バレーボールが恋人だろ？
さっさとイナズマサーブ覚えろよ？
鮎原こずえ、めざすんだろ？
早川みどりのライバルだろ？

と、心で思ったのですが、通じるはずもなく。

しかも、彼女らはこれに実にくだらないゲーム性を加えました。

「ここにABCビスケットがありま～～～す」

「A～Z、は、各2枚しかありません」

「で～～～。好きな人のイニシャルをとって～～～～」

はい。

「イニシャルは、苗字でも名前でもかまいません」

はい。

「でも、イニシャルが別の人とダブった人は、ビスケットがなくなってます」

はい。

「で～～～～。なくなった人は～～～～。そのイニシャルを持っているであろう人を当てます」

「きゃ～～～～～～～～♪」

きゃ～～～～～～♪

つまり、誰かがKを先にとったら、僕はKのビスケットはなくなっている、と。
そこで、僕が「千葉ぁ、お前持ってるだろ～～～～」
と、言うわけです。

「当てられたら、その人は、ビスケットをもどさなくてはなりません」

いや、それってめちゃくちゃ不公平なゲームじゃないでしょうか？
どう考えても先のヤツは1枚もなくなってないわけで。
てか、ルールめちゃめちゃだろ、それ。
これが万が一小説だったりしたら、なんて説明のヘタな作者だろう、ということになってます。きっと。

なのに女子高生の暴走は続きます。
誰だ？世の中に女子高生つくったヤツは？

「で～～～。2週目は、もうひとつのイニシャルをとります」

「なくなってたら、持っているであろう人を当てます」

「1枚もなくなった人は～～～～」

人は～～～～～～～

「フルネーム告白～～～～～～～～～～」

「きゃ～～～～～～～～♪」

きゃ～～～～～～♪

冗談じゃねーよ。

（だいたいぼくちゅうには、井上夕子ちゃん以外、フルネームあるヤツいません。僕なんか、苗字も名前も持っていません。和美はどうやって参加するのでしょう？）

と、思ったら。

「あ、和美先輩は、もうあきらかでつまんないから審判ね？」

「ええええ・・・・・・？」
ちょっと照れる和美ちゃん。

審判ってなにをするんでしょう？
女子高生の考えることは、まったくわかりません。

とっても参加したくないんですけど。
（だって、名前ないし）

というか、ごくフツーーーに考えて、このゲームはおかしい。
おかしいのに、
「じゃ、みんなメモにイニシャル書いて～～～～」

始まってます。

「じゃ、わたしからいきま～～～す」
と、言い出しっぺ。

いやいやいや、
「アンタからいったらダメでしょ？」
お。少しは脳のあるヤツもいる！

「アタシからいくわ！」
そうでもない。

「和美先輩からがいいんじゃない？」
「あ！それいいわねー！」

さっき「審判」って言わなかったか？

記憶力はないのか？
スパイクを顔面でブロックしてたのか？
回転レシーブしくじって後頭部打ったか？

「じゃ、次～～～～～～～～」

始まっちゃいました・・・。

しかし『1本の矢は折れやすいが、3人女子高生が集まって盛り上がらない宴会はない』という、毛利家に伝わる格言があります。

盛り上がりました！
めちゃくちゃ！
よく末広が苦情言わないなってくらい！

しかし、大問題は、小町の時でした。

「次～～～理恵せんぱ～～～い」

「えっと・・・・」

「和美！持ってる！」

なんと。和美ちゃんはビスケットをもどしました。



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