ぼくたちと駐在さんの700日戦争

＜埼玉TALK & LIVEまで、あと5日！＞

僕は小町がいることにビックリでしたが、
和美ちゃんは、僕が来たことに驚いているようでした。

「あ・・・こんにちは」

「ああ。うん・・・・こんちは」

「こないだは・・・ども、ありがと」

「あー、うん。いや。なんもしてないって」

夏休み直前、和美ちゃんが、バスでイヤガラセに合ったところを助けたことを言っているわけですが。

僕が和美ちゃんと会話している間、小町はずっと黙っていました。

僕は、後輩たちの用意した和美ちゃんへの「サプライズ」でしたので、どうやら和美ちゃん。そんなこととはつゆとも知らず、小町を誘ったたようです。
実はこれもたいへんな勘違いだったのですが・・・。

和美ちゃんは、後輩に対しても、僕のことを「好き」と、公言しておりました。

まぁ、女子は寄るとさわると「ねぇねぇ、誰が好き？」という、文部省制定の会話をします。
これは、英語の「This is a desk」より早く、女子だけ集められて習うらしく、小学校高学年あたりから、まったく同じ発音とイントネーションで話し始めるのです。

男は、せいぜい修学旅行の夜だけなのですが、女子は毎日が「修学旅行の夜」！なんて楽しい動物でしょう？
男女共学校なら、ほぼ「休み時間ごと」にどっかで聴ける、と言っても過言ではありません。

しかし、和美ちゃんのように、まったく臆する事なく公言するのは、当時としてはたいへん珍しいことでした。

が、彼女の後輩たちも「これは実に有効だ！」ということに気づきます。

1.第一に、友人と「好きなカレ」がダブりません。

2.次に、女子にすれば、めっちゃ勇気のいる「告白」を、まわりが「勝手に」やってくれます。

3.虫も非常～～～～～につきにくく、『強力パラゾール』を体中に貼付けたようなもん。
＜パラゾール=白元から1958年より発売された衣類用防虫剤の代表格。主成分がパラジクロベンゼンであることからこの名前がついた＞

4.そればかりか、友達全部が味方のようなもので、
「アンタ、どう思ってんのさ」
「そろそろハッキリしてやればぁ？」
みたいなことを言ってくれるおせっかいさんが、た～～～～くさんた～～～～くさん、アンドロメダ星雲ほど現れます。

僕などは、和美ちゃんの味方のほうが、僕の10倍はいて、
彼女が、たとえ『フランダースの犬最終回』を思い出して泣いていたとしても、
「アンタ！和美になにしたのさ！」
「男って残酷よねー」
とか、責められたものです。

唯一の短所は、自分が「その人の好み」とかになる前に、
「あんなヤツきらいだ」
と、一蹴されてしまう可能性があること。

男にすれば、ひとりに熱烈公言されてしまうと、パラゾールの効果によって、「良い虫」もまったくよりつかなくなるので、その他の「受粉の可能性」はなくなってしまいます。
これは「雄花」としては致命的ですので、そんなに嫌いじゃなくっても「嫌いだぜ」と、言うことになります。
同じ手を使ってフラれたかた。実は、そんなには嫌われていません。

　ふぁいっ！

逆に言えば、和美ちゃんは、僕が「嫌いだ」とは絶対言わない、という確証を持って、この作戦に及んだものと思われるので、実は、なかなかにしたたか？

ただし、僕の場合「まわりにやたら女子が多い」という意味では(モテているというのとは微妙に違う)、うたがいもなく学校一番でしたので、苦肉の策であったのかも知れません。

受粉は～～～～～・・・パラゾールがついてるうちは、望めません。

とにかく、
和美ちゃんの後輩たちは、僕に「ミツバチは寄ってくるのに、まったく受粉の可能性がない」ことに着目しました。

そこでこのパーティです。

どうやらそれぞれが「好きな人」を呼んでいるらしく、次から次にその「男子」たちがやって来ました。

「村山ぁ！」は、まぁ、男子バレーボール部ですし、常識でしたが、
「千葉ぁ！」は、計算外でした。

「よぉー。来てたんだな？」
「じゅふ～～～～～～～ん！」

なんとビックリ。男子7名中、僕たちのメンバーは、ジェミーを含め4名。
グレート井上くんなどは「断った」とも考えられるので、なかなかな割合です。

しかし、女子は12名おりましたので、つりあいません。
1名は小町であるとして。

それもそのはず、

宴もたけなわになって、1年女子のひとりが『勝手に告白』ターイム！

「わたしは町のおまわりさんが好きなのー」

へー。おまわりさんがねー。
危篤な人もいるもんです。
まだうら若いのに、おまわりさんだなんて。

おまわりさん？
おまわり・・・・

なんか、聴いたことあります。おまわりさん。
いや、知らない人はいないでしょうけど。
僕も4歳のときには、もう「おまわりさん」は、わかっていました。
交番の中で立ちションして怒られたのです。
だってもれそうだったんだもん。
あんなに怒られるんなら、ウンコもするんだった。

そうじゃなくって。

おまわり・・・・

「おまわりーーーーーーーーーーー!!??」

ひょっとして駐在？？？？

しかもしかも！これがひとりではありませんでした！

「わたしも駐在さん、好き～～～～～～～～～～」

お前ら。
どうかしてんじゃないの？
駐在に噛まれて、狂犬病うつった？

そうだ、そうに決まってる！



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