ぼくたちと駐在さんの700日戦争

不良の風上にも置けない孝昭くんたちと合流。

「いや～～～～。弱かったな～～～」
「まったくだ」

弱かったんじゃないよ・・・。
手負いだったんだよ・・・。
ここまで来ると相手のS工業に同情します。

「千葉、河野、来てくれたんだ？」

「あ？女風呂まる見えだって、ジェミーが言うもんだからよ」。
「そんなにまる見えなのか？青年の家！」

ジェミ～～～～～！
またテキトーなことを！

「え？だって小町先輩の名前出したら、孝昭先輩たちは来ませんよ」。

うーん。
読みが深いと言うか・・・。
確かに、孝昭くんは、小町を毛嫌いしていましたが

「そんなことねぇぞ！ジェミー！」
孝昭くん憤慨！

「だよな、だよな！孝昭！」

そうですとも。
いくら孝昭くんが外道とは言え、

「それでも女風呂見えれば来るって！」

外道でした・・・。

が、実際のところ、小町の母親の再婚話を教えてくれたのは、他ならぬ孝昭くんであり。
『チエちゃん』を貸してくれたのも孝昭くん。

そうです。
もはや、僕たちの中に、小町を嫌う者は、ひとりもいませんでした。

「じゃ、西条が小町の入浴見たってのはガセか!?　ジェミーー!!」

「いえ。西条先輩には透視能力ありますから～～～」

「透視能力で女風呂カタんじゃねぇっ！」

勤勉で、真っすぐな小町は、僕たちとは対照的なところにありましたが、
彼女の、不器用なまでに「生きる事に真面目」なことには、みんなが敬意をはらっていました。

特に西条くんは、最初から小町を買っていたようで、さすが人を見る目がある、と言うか

「小町の尻はかわいいよな！」

尻を見る目がある、と言うか・・・。

しかも透視能力。


「で？その小町はどうしたんだよ？」
と、千葉くん。

「あ！そうだ！久保、小町どうした？」

肝心なことが抜けていました。
どうやってS工業の手から逃したのでしょう？

「あー、僕と一緒に駅まで行きました」
と、ジェミー。

「ジェミーと？」

「はい～。一緒に防具つけて」

「防具を？」
「剣道の？」
「あの町中、歩いたわけ？」

「はい～～～～。誰がどう見ても剣道部のウォーキングです！」

「いや・・・」

剣道部がウォーキングするかどうかは置いといて、
それでも防具はつけて歩かないと思いますが。

そりゃめっからない、って言うか、めっかるって言うか・・・。

「ジェミーがたてたの？その作戦」

「はい～～～～～～」

やっぱし・・・。
こんな世間知らずな計画、ジェミー以外にはいません。

久保くん。
「それで俺が追っかけて着替えさせたんだ」

よかった・・・・。S工業の目が節穴で。

「井上は？井上はなにしてたんだ？」

「井上は、工藤に捕まってる」

「工藤に？なんだってまた？」

西条くん。
「俺らが侵入したの、気づいてんじゃねぇか？」

「あ！それか・・・」

ありえる。
なにしろアレックスと、あれだけのバカ騒ぎ。
バレてないほうが不思議なほどです。

それはそれで大変な事態でしたが、
しかし、今の問題は小町です。

「じゃ、小町はまだ剣道着のまんま？」

「いえ。ちゃんと脱ぎましたよ。駅周辺を剣道着で歩けるバカいないでしょ～～。あっはっはっは」

町中と駅前、どこがちがうのでしょう？

「それで？」

「さぁ。駅で別れましたから・・・・。こっち来ないと、久保先輩が心配でしょ？」

「テメーはコケて倒れてただけだろーがぁああ！」

久保くんも激怒で、ジェミー危うし！
となったところで、

「で！これが小町先輩が脱ぎたてのハカマです！」

「え！マジか？」
「小町の？」
「脱ぎたて？」

とたんに「脱ぎたてハカマ」奪い合い！
ジェミーってば、先輩たちの弱点をよく知ってます。

「うぉおおおおおお！」
「するってーと、ここ、ここに小町の？」

小町のなんだ？

「久保！独占すんな！こら！」
「やかましい！テメーら後から来たんだろーが！」
「こらーーーーー！千葉ぁ！舐めんな！」

いつの間にか、けっこう人気あります。小町。
ハカマだけかも知れないけど。


＜怒濤のファイナルカウントダウン。本日も2話連続。アップは夜です＞


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