ぼくたちと駐在さんの700日戦争

そこへようやっと

「待たせたなー」。

久保くんと、グレート井上くんがもどってきました。

「おかえり。井上～～～～～～～～！ウッ・・・ウゥ・・・・」

「なに泣いてんだ？」

「いや・・・ようやっとまっとうなヤツに出会えて・・・・」。

グレート井上くん。
まわりのメンバーを見回しまして。

「なるほど・・・・」。
と、ひとこと。

「ジェミーはなんで連れて来たんだ？」

「いやぁ。連れて来たんじゃなくって・・・・」

事情説明。

「え？ここの責任者ってジェミーの叔父さんなの？」

「はい～～～～～～～」

久保くん。
「じゃ、楽勝で抜け出せんじゃん！井上！」

それがダメなんです。

「役たたね～～～～～～～～！」
と、久保くん。
やはり。誰だってそう思いますよね。

「なにしに来たんだ？ジェミー」。

「先輩の作戦が心配で」。

だからこそ来るなっ！

「じゃ、脱出作戦どうするよ？」

「すまないな・・・。みんな。僕のために・・・・」。
と、グレート井上くん。

「いいって！女風呂見つけたし」。
西条くんの基準はそこ。

「師匠！」
弟子の基準もそこ。

「別に・・・無理ならやめてもいいかな・・・・」。
グレート井上くんは弱気です。

「なに言ってんだ。井上」
「わざわざここまで来たんだぞ？」
「美奈子さんと連絡とれねーだろ？」
「やめたらつまんないです～～～～」。
「Eカップはどうなるんや～～～～～～」

2人ほど、趣旨がズレているようにも思えましたが。


「小町のカセットLLは計算外だったなぁ」。
と、僕。

すると久保くん。
「そうなんだ。おかげでさんざんだぜ」

「さんざん？」

「アレックスはお前たちのさしがね？」
と、グレート井上くん。

「ああ。わかった？」

「うん。だってアレックスは理恵のこと知らないはずだし。そんなもんだと思った」。
さすが推理派。

「RIEって誰や？」
さすが推理ぜんぜんダメ派。

「小町のこと。アレックス、キュートって言ったろ？」
「おお！あのキューティガール！KOMACHIはミドルネーム？」
「まぁ、そんなもんだ」。

「キューティガールぅうう？小町があ？」
久保くんは納得できないようです。


「で？かたづかなかったのか？」

「まぁなー。あの後、工藤、シンシアと言い争いになっちゃってよー」

「オカンと？」
アレックス。敏感に反応。

「まーーー、工藤も頑固だが、シンシアも相当なもんだぜ」

わかるような気がします。

「オカンはわるうないで！」

不思議な母子愛。

論争は、想像通り、シンシアに軍配があがったようでしたが。

「その分を小町に当たってるっつうか・・・・」。
と、久保くん。

「そこなんだよ。工藤先生と小町って、仲良くなかったっけ？」

もともとチクリ屋と生徒指導の先生。親しいものとばかり思っていましたが、

答えたのはグレート井上くん。
「知らないのか？理恵、お前らをかばってから、工藤先生との仲、今、微妙なんだ」。

「僕たちって？」

その理由というのが、久保くんの抜擢でした。

「なんで？今さら？」

確かに、去年の英弁代表を疑ってはいましたが。

「え～？だからわざわざ合宿も来たんだぜ。工藤のヤツ」。

「え！そうなのか？」

「たぶんなー」。

久保くんは名うての不良ですから、他校も来る合宿となれば、男性教諭がついて来なくてはなりません。

「それで休みがつぶれたのがおもしろくない？」
「そこは、わかんない」

「それと小町がどういう関係あるんだ？」

グレート井上くん。
「去年の久保の論文、お前が書いたのか、何度か問いただされてたらしい」。

裏をとるとは、さすが工藤。
というか、僕たちも、元の情報は小町から出ているものとばかり思っていました。

「それで？」

「逆に工藤先生にくってかかったらしいよ」。

小町が・・・・・。

「僕をかばって？」

「そう。工藤先生にすれば、信頼してたぶん、裏切られた気分なんだろ」。

「それでラジカセで仕返しかぁ？」
「大人げねぇな」。


「誰からその話を？」

「シンシア先生から」。

シンシア。
彼女は、外国人でありながら、ずっと小町や僕たちのことを理解していたのです。

それはやっぱり

「復讐や！師匠！」

こういう息子がいるからであり。

「その後に女風呂や！サイジョー大師匠！」

こういう息子だから。

師匠にもどれたのはうれしいですが、2階級になってます。

しかも女風呂が上。



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