ぼくたちと駐在さんの700日戦争

＜本日ライブでフィナーレ。何話になるかわかりません。←第37話からどうぞ＞

ランタボの運転手は、暴走族などふりむきもせずに、泣きそうな顔でへこんだバンパーを見ていたが

「てめぇらがこんなとこにバイク止めてっから～～～！」

いや。場所はかなりバイクから遠いと思うんだけど。
言いがかりもはなはだしい。

当然、暴走族も

「あん？なんだとお？オッサン！」

3台の車からは次から次に人が降りて来た。
7人、8・・・それでも、9人。
暴走族の人数の半分にも満たない。

ところが、その人たちのほうから

「愛ちゃん？」

「・・・はい！」

誰かがわたしを知ってる・・・！

これを聴いた暴走族。突然おだやかではなくなった。
それでも、圧倒的多数なので、たじろぐ雰囲気はない。

「なんだぁ？おっさん！一戦やろうってのか？」

ジリジリと余裕で近づいていく。

男たちは、なにか相談していたけれど、いきなり車のトランクを開けて、なにやら準備を始めた。

「？」「？」「？」
「ん？なんだってんだ？」

暴走族たちも、不思議がっていたが

ひとりがしゃがんで、なにやらバズーカ砲みたいのをかまえたからたいへん！

「！」「！」「！」「！」「！」「！」「！」「！」
「！」「！」「！」「！」「！」「！」「！」「！」
「！」「！」「！」「！」「！」「！」「！」「！」

次の瞬間

「ふぁいあーーーーー！」

うそ！

　ズバーーーーーーーン！

すさまじい火花が吹き、

　ガーン！

暴走族たちが停めていたバイクにぶつかった。

　ガシャガシャ…！

とたんに将棋倒しのように倒れるバイク、バイク、バイク。

さらに。すぐにその真ん中あたりで

　ドーーーーーーーーーーーーーン！


なんとそれは花火だった・・・。


これには暴走族もあわてだどころではない！
わたしもだけど、事態がまったく飲み込めていない。

「う・・・・うわーーーーーーーーー！」

わけもわからず、ちりぢりに走って逃げ出したが

間髪おかずに

「ふぁいあーーーーー！」

　ズバーーーーーーーン！

ガーーーン！

今度は車に当たった音。

　ドーーーーーーーーーーーーーン！

また花火！
火の粉が、ところかまわずちらばる。

「おわっちーーーーーー！」
「あちちちちちちちちち！」

「やつら、キ、キチガイだ！」
「にににに、逃げろ！」

しかし、

花火は人がいようがいまいが、というか、いるほうを狙って容赦なく発射される。

「ふぁいあーーーーー！」
　ズバーーーーーーーン！

　ドーーーーーーーーーーーーーン！

「ふぁいあーーーーー！」
　ズバーーーーーーーン！

　ドーーーーーーーーーーーーーン！

「おあちちちちちちちち！」
「ヒ、ヒエーーーーーーーーーー！」
「ににに、逃げろ！どけ！どけっ！」

「ふぁいあーーーーー！」
　ズバーーーーーーーン！

あんなもんが当たったら死ぬ。
間違いなく死ぬ。
めちゃくちゃだ・・・あいつら・・・・。

　でもきれい・・・。

こんな真冬に、しかも道路で炸裂する花火を見たのは生まれて初めてだ。

暴走族も必死だ。
しかし逃げようにも、倒れたバイクに寄ろうとすると、容赦なくそこに花火が打ち込まれる。
たまらないとばかり走って逃走するのだが

その真ん前。

　キュキュ！

3台のうちの1台が暴走族の逃げる方向にまわりこんだ。
なんてチームワークだろう！

そこからひとりの女性が降りて来て叫んだ。

「行けーーーーーーーー！家来ーーーーーーーーーーー！」

「ええ？まだ家来かよ・・・ミカ・・・」
「はいはい。やりゃいいんでしょ？やりゃ」

家来がいるとは・・・本物のお姫様にちがいない・・・！


＜MINT倶楽部 第41話へつづく→＞

関連記事

• MINT倶楽部 第41話
• MINT倶楽部 第40話
• MINT倶楽部 第39話