ぼくたちと駐在さんの700日戦争

＜本日3話連続です。←第33話からどうぞ＞


「ちょうどあの日になぁ・・・・・」。

「ええ・・・・」。

「同じ名前の子が・・・・」。

「はい・・・・偶然にしてもできすぎてて・・・」。

「ふむ・・・」


パピィが静かに話し出した。

「俺は・・・・。ほら、ママチャリたちが心霊なんちゃらってのをやってたろ？」

「はい。心霊研究会ですね」。

「それでな。葬儀の日、ママチャリに聴いたんだ。生まれ変わりってあると思うか、ってな・・・？」

「ええ・・・。それで、なんて？」

「あいつは・・・。あっけなく、『ある』って言った」。

「そうですか・・・・」。

「俺はそういうの苦手だったんでな。なんでママチャリがそんな確証を持って言うのかわかんなかったんだが・・・・」

「ええ」。

「アイツは、肉体と魂の話が世界中のどんな国にもあるってことから、えらく科学的に生まれ変わりの話をしてな」。

「はい・・・」

「そりゃママチャリにも願望的なもんはあったんだろう。リョウくんは、西条のお気に入りだったしな」。

「そうですね・・・。花火泥棒までしたくらいですから・・・」。

「しかもな。必ずもう1度出会うとも言っていた」。

「リョウくんと・・・ですか？」

「うん。生まれ変わりってのは、そういうもんなんだそうだ。普通は気づかないもんらしいが」。

それは宗教的とも、心霊的とも、科学的とも言いがたい、不思議な話だった。

わかったことは、涼太は、その子が亡くなった同じ日に生まれて

同じ名前を授かり

そして今、わたしたちがつくった倶楽部から、夕子先生と出会ったこと。


「で。ママチャリたちには言ったのか？」

ここで花さんが
「わたしが夕べ伝えました。夕子ちゃんは・・・伝えられる状況になかったので」。

「それで？あいつらはなんて？」

この時、駐在所の電話が鳴った。


「もしもし」

「アナタ。ママチャリくんから・・・・」

「うそ？」

それは絶妙としか言いようのないタイミングで、ママチャリの「生まれ変わり」の話も、まんざらではなく思わせるほどだった。

いや。それは偶然などというものではなく


「それで・・・彼はなんと？」

「井上を見つけたそうだ」。

「ほんとですか！」

「それでな・・・・・井上がな・・・」

「はい！」

「あのとき上げられなかった花火をあげにくるって」


彼らにとっては必然だったのだ。



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