ぼくたちと駐在さんの700日戦争

 

  
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復習する?
<おことわり>
本日は2話1セットです。

7章[のぶくんの飛行機]第15話 けらい0号(2)

放課後、再び集まっていた僕たちのところに、ジェミーが報告に訪れました。

「どうだった?ジェミー。のぶ君、いたか?」
「えっとねー。ザリガニ池にはいませんでした。駅前の広場でめっけました」。
「駅前の広場?」
「ほら。今、工事やってるとこあるでしょ?あそこの広場に」。
「で?」
「浦島太郎のカメ状態でした。だから見分けついたってのもありますけど」。
「やっぱり・・・か」。
「一応、先輩の言う通りおっぱらいましたけど。効果あったかなー」。
ジェミーの報告によれば相手は10人以上。学年もかなり上級生であったとのこと。

「小学校、そんなに転校生に冷たかったか?」
「うーん。僕らの頃はそんなことなかったけど・・・今はどうなのかなぁ」。
「ああいうのって、追っ払ってもその場限りからな」。

その通りです。小学生のイジメは、長続きするのが特徴とも言えます。

「とりあえず、帰りザリガニ池よってみる?昨日みたいだと困るし」。
「ああ。じゃぁ、千葉たち、そっち頼むわ」。
「お前は?」

僕は、西条くんの”りぼんの手紙”がひっかかっていて、これを確認する必要がありました。
なにしろ、西条くんの手紙で指定されていた時間は、またも「今日の7時」だったのです。

「ところでジェミー、1年の女子にさ、こう髪をこうたばねてて、かわいい・・・」
僕たちは、同じ学年であるジェミーに、西条くんに手紙を渡した女子のことをたずねました。

「あー。それ竹内さんです。きっと。竹内ゆかり。中学んときから一緒ですよ」。
「ふーん。よく知ってる?」
「さぁ・・あまり目立たない子ですからね。体育とかよくできるみたいですが」。
「そっか」。

「そいで。西条、そっちはどうするつもりだ?」

「んー。行かない」。
鼻をするる西条くん。

ウソです。西条くんには、ウソをつくと鼻をすする癖がありました。

← ← ← ← ← ← ← ← ←

下校後、西条くんと駅で別れた僕たちは、歩きながら「果たし状」のことを話していました。

「西条、ウソついてるな」。
孝昭くんでさえ見抜いていました。

「どうする?」

「うん。仲裁する必要あるだろうな。なにしろ次やらかしたら西条、退学確定だから」。

「そうだな。今回は場所もわかってるしな」。

「そうそう。緑が丘公園・・・」。って・・・

ところで緑が丘公園ってどこだ?
聞いた事もありません。

僕たちは、仕方なく、駐在さんに場所を聞くことにしました。
曲がりなりにも駐在所。道案内は任務のひとつです。

「駐在さん~。ちょっとおたずねしたいんですが~・・・」。

「あ?お前らか?ウシガエルの行き先なら知らんぞ」。

げ。根に持ってる・・・。まぁ、無理ないか。

「それからなー。昨日なー。五十嵐のヘルメットからザリガニ大量にとれたんだけどなー」。

げげ。ザリガニだったのか。
ああ・・・なんでここに道を尋ねに来てしまったのでしょう。
他に行けばよかった・・・。

「うん。なんか服の中とかにも入ってたいへんだったらしいんだな。生きたザリガニ」。

「へ、へぇー。めずらしい・・・現象ですね・・。あの、もういいです。帰ります」。

「なんか聞きたいんじゃないのか?」
不機嫌にたずねる駐在さん。

「え?えっとですねー・・。緑が丘公園ってどこにあるのかなーって・・・道順を・・」。

「入れ」。

「は、はい・・」。

駐在所内。

「いいか。緑が丘公園はなー」
「はい」。

「このあたりだ」。

と、机にはさまれた地図を指差す駐在さん。
ところが、この地図が

世界地図!?

指の先には小さな赤い日本。

「あ、あの~。この地図だと、その・・アバウトでわかんないんですけど~・・・」。

「あ?わからんか?なにしろ、ここには町内の地図はさまってたんだけどな。誰かが世界地図に入れ替えやがってなー」。

げげげ!
それはあきらかに、僕たちグループの仕業にちがいありませんでした。
だって、駐在所にこんな悪さするやつ、他に考えられません。

「あー。はい。わかりました。日本ですね。はい。そのあたりだろうなーって思ってました。僕たちも」。

「ありがとうございました~。駐在さん~」。

「あのな」。
「はい~」。
「緑が丘公園は、西条のいる町だから。西条の入院していた病院のすぐ側だ」。

「あ、ありがとうございました!」

← ← ← ← ← ← ← ← ←

僕は、孝昭くんと別れ、グレート井上くんと村山くんとで、彼の家へと向かいました。

「これって相手、女だよね」。
グレート井上くん。すでに読んでいたようです。

「うん。妹がいる男、ってわけじゃなさそうだな」。
と、僕。

「僕たちじゃ歯が立ちそうにないな。相手何人かわかんないしな」。
「ああ。助っ人たのんで仲裁してもらうしかないよ」。
「助っ人?」
「うん。心当たりはあるんだ。まぁ、この後頼みに行ってみる」。

やがて井上宅到着。
なぜ井上くんの家に来たか、と言いますと、妹の夕子ちゃんが「りぼん」を購読していたからです。

「ねぇ。夕子。りぼんとってたよねぇ?」
「うん。とってるけど。どうして?お兄ちゃんも読む?」

続けて僕がたずねました。
「付録さぁ。とってある?」
「うん。とってあるよ。ずっと。たいていの女の子はとってるよ」。
「それ、見せてくれない?」

夕子ちゃんは、こぎれいな箱に入った「付録集」を持って来てくれました。
僕たちは分担して、その付録から便せんをさがしました。

「やっぱりな」。
「どういうことだろ?」

予想はおおよそ当たっていました。
しかし、予想が当たっていただけで、真相はちんぷんかんぷんだったのですが。

「仕方ない。緑が丘公園行ってみるしかないな」。

「僕は・・・ちょっと・・・」。

そうです。グレート井上くんの家は厳格で、とても午後7時にとなり町に行く事などできません。

「ああ。わかってるよ。井上。だいじょうぶ。テキトーに集めるから」。

「あ、ああ。すまないな」。


    本日は2話1セットです。続けて第16話へどうぞ
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コメント


ただ今、準備体操中
2006/10/22(日) 00:59:58 | URL | junkie #-[ 編集]
遅刻だぁ~っ!
次に急がなくっちゃぁ~v-29
待ってろっ!西条ぉ~v-91
2006/10/22(日) 09:16:37 | URL | 2児の母♪ #sADxgzrg[ 編集]

おもしろくなってきたぁ~v-218
2007/08/09(木) 21:54:01 | URL | のほほん #ajsz8.qo[ 編集]

桃バイ五十嵐巡査のヘルメットの中は、ザリガニだった訳ネ。
確かにすぐに気づきそうなのに、五十嵐巡査の髪の毛はパ○チパーマか、何かだったのですかぁ?
えっつ!そう言えば駐在さんのとこの、地図のお話はどこで出てきたんだったけ・・・。
緑が丘公園どこにでもありそうで、ちょっと遠い町の公園で・・・(武蔵と小次郎なのぉ?!)
2008/05/22(木) 15:33:23 | URL | 経理のおばん #5uDVk7ho[ 編集]
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2009/02/03(火) 21:10:04 | | #[ 編集]

悪辣なウソを涼しい顔で平然と吐ける極悪なママチャリと違って正直者ですね西条君。
2011/02/19(土) 14:29:56 | URL | 岐 #-[ 編集]

私も人に場所を説明する時は世界地図を使うことにしようかな。
そしたらいつも大体同じ場所を指していれば用事が済みますね。
きっと誰も私に場所を聞かなくなるゾ(^∀^)♪
2011/03/02(水) 13:59:53 | URL | P子 #-[ 編集]
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