ぼくたちと駐在さんの700日戦争

1月4日　はれ

今日は、はたし年賀状をくれたみなさんのところを年始のあいさつにまわりました。

みんな、大ぜいで集まって、大かん迎してくれたので、とっても楽しかったです。

僕が、

「明けましておめでとう」

と言ったら、

みなさんが

「去年のお礼をしたいんです」

と言ったので、

「今年もよろしくおねがいします」

と言い返したら、

「もんどうむようです」

と、いっせいにやってきたので、いっせいにたおしてあげました。

みなさんが、もらったばかりのお年玉を分けてくると言ったのですが、

貧乏な家の子が多いのに、もうしわけないなぁ、と思い、

「いりません」

と言ったのですが、

「どうしても受け取ってください」

と、土下座までするので、受け取ってあげました。

でも、みなさんが、年始はあたたかい病院で過ごせそうで、よかったです。

あとで、ケーキとポイントカードを持って、おみまいに行こうと思いました。


思わぬお金が入ったので、河野くんの食堂で、ばんごはんを食べていたら、

孝昭くんのおねいさんたちがやってきて

「年賀状をありがとう」

「どういたしまして」

「やっぱりテメーか！」

「あ・・・」。

分けてもらったばかりのお年玉を、全部、おねいさんにとられてしまいました(泣)

孝昭くんのおねいさんは、らんぼうだからきらいです。


帰り、商店街を歩いていたら、和美さんが和菓子屋さんでアルバイトしていて

「あら。西条くん、今帰り？」

「おお。バイトか？和美」。

「そう。あ、そうだ。ちょっと待ってて」。

和美さんは、そう言うと、おしるこの元をふたつくれました。

「これ、持ってって。お母さん、鮮魚の仕事してるのよね？」

「でも、金ねぇぞ？」

と、言ったら

「大丈夫、初売りの景品だから。すてきな年賀状ありがとう！」

「ありゃ？ばれてた？」

「ウフフ。だって2通もよこしたりしないもの」。

悪い悪いともだちは「女にだけはマメ」なことをすっかり忘れていました。

「それにね。あぶりだし、なかったし」。

どうやらふたりだけの暗号があったみたいです。
ぼくは、悪い悪いともだちを、あまく見ていました。


家にもどって、仕事から帰った母ちゃんに、もらったおしるこを出してあげました。

母ちゃんは、魚売り場の裏方をしているので、冬はずっと寒いのです。

「これ、女からもらったんだぜ。母ちゃん」

母ちゃんは、あかぎれの手をちゃわんで暖めながら、どういうわけか泣いてしまいました。

「泣いてねーで食ってあったまれよ。母ちゃん」

「うん・・・うんうん」

和美さんは、悪い悪いともだちにはもったいないいい子だなぁ、と、思いました。



　西条くんの正月日記 - 完 -


本年もよろしくお願いもうしあげます　by 西条



人気ブログランキング｜ブログ村ランキング

俺たちは風邪 あらすじ/a>へ→

めおチャ新年版、更新しました～。こちらから

---

関連記事

• 『西条くんのケンカ日記』6月○日
• お正月特番　西条くんのお正月日記(1月4日)
• お正月特番　西条くんのお正月日記(1月3日)