ぼくたちと駐在さんの700日戦争

でもなんで和美ちゃんじゃなく・・・他の女性・・・？

理由がわかったのは、またしても悪寒で毛布にもぐりこんだ時。

　あ・・・・

花ちゃんの匂いだ・・・・。これかぁ・・・・。

香水つけてんのかな・・・。いい匂い・・・。

和美ちゃんは、香水をつけたりしないので、香りの印象はあまりありません。
おそらく、昨日の悪寒で毛布にくるまった時に、この匂いで・・・。
つくづく男って外的刺激に弱い・・・。

この日は、災難なことに休日でした。
「災難なことに休日」って言い方もめずらしいですが。

この日もまったく『面会謝絶』は意味をなしません。

「よ～～～。再び見舞いに来てやったぜ～～～」。
朝から西条くんたち。
夜中にパトロール？してたのに元気のいいことで・・・。

対して僕は、昨日から熱あがりっぱなし。「ものすっごく重い」というE.YAMAZAWAの説明どおりの状況でした。

「どうだ？入院生活」。

「ああ、住めば都だよ。お前らが来なきゃだけど・・・」

皮肉タップリなのに

「いやいや。気にすんなって」。

お前らは気にしろ。

「で、パトロールはどうだったんだ？」

「ん～～。異常ありませんでした」。
「泥棒、出なかった」。
「おしい」。

「そっか・・・」。

「あれだな。水戸黄門が諸国めぐって、悪代官がいなかったらガッカリって気分だな」。

なんとなく理解できる説明です。

「そうそう。夜、お前らのほかにいた1人、誰だったんだ？あれ、久保？」

「え？昨日は3人だぞ」。

え～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～

「いや。西条と孝昭と・・・」

「あとは俺だけ」。
と、チャーリー。

「そ、そんなはずないよ。確かに4人見えたぞ？」

「まさか。昨日は3人だって」。

「ウソ・・・・・・」。

あ。なんかまた、悪寒と僕とときどきオトン。

「なんか熱で幻覚でも見たんじゃねーの？」
「そうそう」。

幻覚・・・・？
でも確かに後ろにひとりいたはず・・・・。

「同じ幻覚なら女見るけどなー。バカだなー。お前は」。

しかもその幻覚までけなされている僕です。

「どうせなら看護婦さんとかなー」
「そうそう」。

「あ！そうだ。西条！お前・・・エロ小説、キャビンの上に置いたまんまだったろ？」

「え？そりゃ見舞いだしよ。続き読んでやろーか？」

「いいよ・・・」。

「え～～～～？病院で読むと臨場感タップリだぞ？『真夜中のナースコール』」。

「いらないから。臨場感」。

しかも朝っぱらから。

「いや・・・あの後によ。患者とナースのシーンがあるんだが、これがまたスゲェ・・・」。

「はいはい」。

「くそ～～～～！お前がうらやましいぜ！」

いやいや。エロ小説といっしょにすんな。
お前のおかげで若い看護婦さんは遠ざけられるし・・・

「あ！わかった！」

「な、なにが！」

「つかぬことをうかがうが、お前ら風疹なったか？」

「俺はもう風疹やってる」
と、孝昭くん。

「俺も」。
と、チャーリー。

ひとり返事がありません。

「西条。お前は？」

「あ～～～～っと・・・。どうだったかな～～～～～～」。

「西条！お前、風疹うつりに来てんだろ!!」

「え・・・・え！そ、そんなことはないぞ？」

それでくんずほぐれつだったのか・・・。
このバカ。

「でよ？母ちゃんに聴いたんだけど、風疹って、女がわざわざうつりに来るってホントか？」

やっぱし・・・。

「きみきみぃ。そんなんじゃうつらないよ。より確実に口移しで～～～～」。

西条くん。幻覚モードに入りました。

「なんなら体液ダイレクト・・・」

「やめい！」

「というわけで風疹わけろっ！」

またも僕を襲撃する西条くん！

「どわ～～～～～～！やめろ～～～～～～～！」

「てめぇだけ風疹独り占めしやがって！」

「別に独り占めしてねーってーーーー！」

「やかましい！俺にも真夜中のナースコールさせろ！」

「は、はなせ～～～～～～！」

しかし、西条くんの寝技をはずせるはずもなく。

くんずほぐれつ。

そこへ

「はいはい。食器下げに来たよー。具合どう？」。

その声は・・・。

マヌケに毛布から首を出す僕と西条くん。

「ア、アンタって子は・・・・・!!」

婦長・・・・さん。


※乱栗。そろそろやりましょー


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