ぼくたちと駐在さんの700日戦争

「愛ちゃん、風疹だったんですね？」

「あー、うん。やっと治ったと思ったら・・・まさか俺が・・・・」。

落胆する駐在さんですが、愛娘からうつされた駐在さんはともかく、僕は納得いきません。

「まったくー！病気のまま説教しないでくださいよ！」

「え！なんだと？なにか？俺からうつったとでも？」

「あの狭い駐在所内でしょっちゅう説教されてりゃ、うつりもしますよ！」

「説教されるようなことする方が悪いんだろうがぁ!!」

「ふん！病原菌！」

駐在さん、これに激怒！
「くそーーーー！この点滴の管から息ふきこんでやる！」

「じょ、冗談じゃありませんよ！」

「まぁまぁまぁまぁ」。
さすがに看護婦さんが止めに入りました。

「おとなげないですよ！おまわりさん！」

「あ・・・うむ・・・」。

「そうそう。まったくおとなげないんだから！」

「ぬぁんだとぉーーー！」

「君も！病原菌はどこにでもあるんだからね？おまわりさんとは限りません」。

「・・・・」。

「定期的に流行るのよ。風疹とハシカは。今年は、子供さんにはかなり流行ってるみたいね」。

看護婦さんは、そう言いますが、

「そうですか。でも僕のは駐在さんだと思うけど！」

「く・・・・！」

「他に考えられません！」

「ぐ・・・・！」

駐在さん、歯ぎしりしてます。

ひとり冷静な看護婦さん。
「どっかで子供とふれあったとかないの？」

「高校生ですよ？まわりに子供なんて・・・」。

と、考えて



「あ。こないだ愛ちゃん、だっこした・・・」。


「殺す!!」

またも点滴に手をのばす駐在さん。
憎さ余って憎さが100倍。
看護婦さんにひきとめられながらも「死刑」だの、「無期懲役」だのさわいでましたが、

「とにかく！仲良くしてくださいな。同じ病室になるんだから」。

「え！駐在さんとですか？？？」「ママチャリとぉおお？？？」

「そ」。

えええええええええええ・・・・

とんでもない入院生活になりそうです。

だいたい担当医が・・・。

「あ。そうだ。駐在さん、エーちゃんは好きですか？」

「ん？大川栄策か？」

「大川・・・・」。

「いいよなー。エーちゃん」。


駐在さんの入院期間は、僕よりは短そうです・・・。





＜エーちゃん＞


駐在さんは、残務があるとかで、結局、一旦帰宅し、病室にはようやく静けさが・・・・

と、思ったら

　バン！

やたら元気よく扉が閉じられたかと思うと、看護婦さん2人入って来ました。
なにやら怪しい雰囲気です。

　なんだなんだ？

「ほ～～ほっほっほ。お注射しましょうかね～～～～～」。

「え？ま、また注射ですか？」

ビビって顔を上げた僕でしたが

「あーーーーーーーーーっ!!!」

　ドスッ！

「うぅっ！」

「るせーんだよ。お前はよ！静かにしろっ！」

「お・・・・お欄さん、な、な、な、なんでここに？」

なんとナース服のスケ番！

「え？ここ、ウチの母ちゃんの勤め先だからな」。

そう言えば、孝昭くんちのお母さんは、ここの准看護婦でした・・・。

するともうひとりは・・・・？




「あ・てんしょんぷり～～～ず♪」




「は、花ちゃ・・・」

　ドスッ！

「お・・・お蝶・・婦人・・・・」。

風疹とはちがう原因で、子種なくなるかも・・・。


「だいぶ苦しそうだね？」

はい。苦しいです。
あなたがたのパンチが原因の99％ですけど。



人気ブログランキング
ブログ村ランキング

俺たちは風邪 第10話へ→

▲俺たちは風邪 目次へ

関連記事

• 番外編『俺たちは風邪』第10話 Over Heat(5)
• 番外編『俺たちは風邪』第9話 Over Heat(4)
• 番外編『俺たちは風邪』第8話 Over Heat(3)